市町村合併
[Wikipedia|▼Menu]
高度経済成長期の合併

高度経済成長期における都市化やモータリゼーションの進展を背景とする合併の動きに対応するため、1965年(昭和40年)に市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)が制定された。郡山市岡山市倉敷市富士市などの地域拠点になることを目指した合併や、新産業都市の指定を目指して平市磐城市など14もの市町村がいわき市になるなどの大規模な合併が行われた。また、高度経済成長期には山間部の過疎が進行したため、隣接する都市が山間部を取り込むという動きもあった。静岡市などがそれに該当する。市制施行のための人口要件が緩和され、鴨川市備前市東予市(現:西条市)など人口3万人以上での市制施行を目指した合併も行われた。1965年 - 1974年(昭和40年代)の主な合併

合併年月日地方自治体
1965年(昭和40年)5月1日福島県郡山市と5町6村が合併し郡山市が発足。
1965年(昭和40年)7月1日静岡県浜松市庄内村を編入合併。
1965年(昭和40年)8月1日郡山市が西田村中田村を編入合併。
1965年(昭和40年)9月1日群馬県高崎市群南村を編入合併。
1966年(昭和41年)2月10日富山県高岡市戸出町中田町を編入合併。
1966年(昭和41年)5月1日広島県福山市松永市が合併(新設合併)し新たな福山市が発足。
1966年(昭和41年)10月1日福島県平市常磐市磐城市内郷市勿来市と4町5村(久之浜町小川町四倉町遠野町好間村川前村大久村田人村三和村)の合計14市町村が合併(新設合併)しいわき市が発足。
1966年(昭和41年)10月16日長野市篠ノ井市川中島町更北村信更村七二会村松代町若穂町が合併し長野市が発足。
1967年(昭和42年)2月1日大阪府布施市河内市枚岡市が合併(新設合併)し東大阪市が発足。
岡山県倉敷市玉島市児島市が合併(新設合併)し新たな倉敷市が発足。
福岡県久留米市筑邦町を編入合併。
1967年(昭和42年)4月1日滋賀県大津市堅田町瀬田町を編入合併。
兵庫県加西郡北条町加西町泉町が合併して加西市が発足。
久留米市が善導寺町を編入合併。
1967年(昭和42年)4月26日鹿児島市谷山市が合併(新設合併)し新たな鹿児島市が発足。
1967年(昭和42年)5月17日福井市川西町を編入合併。
1967年(昭和42年)7月30日福井市が森田町を編入合併。
1968年(昭和43年)3月1日北海道旭川市神楽町を編入合併。
1968年(昭和43年)4月1日鳥取県米子市伯仙町を編入合併。
1969年(昭和44年)1月1日静岡市大河内村梅ヶ島村玉川村井川村清沢村大川村を編入合併。
1971年(昭和46年)1月1日愛媛県壬生川町三芳町が対等合併し東予町が発足。1972年(昭和47年)10月1日、市制施行して東予市が発足。
1971年(昭和46年)3月31日千葉県鴨川町江見町長狭町が合併し鴨川市が発足(市制施行)。
1971年(昭和46年)4月1日岡山県備前町三石町が合併し備前市が発足(市制施行)。
1971年(昭和46年)4月29日新潟県高田市直江津市が合併(新設合併)し上越市が発足。
1971年(昭和46年)9月1日福井市が足羽町を編入合併。
1973年(昭和48年)12月1日北海道函館市亀田市を編入合併。

平成の大合併

1965年(昭和40年)に10年の時限立法として制定された合併特例法は1975年(昭和50年)以降も10年毎に延長を繰り返して来たが、1970年代後半からは合併の動きが低調になった。1980年代末ごろから、商工会議所などの経済団体や青年会議所を中心として、市町村合併を推進する提言が各地で行われる一方、第二次臨時行政調査会最終答申や地方分権推進委員会勧告等において市町村合併の推進が提言されてきた。

このような中、1995年(平成7年)に地方分権一括法によって合併特例法の改正が行われ、住民の直接請求により法定合併協議会の設置を発議できる制度の新設や、合併特例債を中心とした財政支援措置の拡充がなされ、以降、市町村合併が政府により強力に推進されることとなった。政令指定都市への移行や、町村の市への移行のための人口要件の緩和なども、数度の改定で盛り込まれ、合併論議が加速されることになった。また、1996年(平成8年)の第41回衆議院議員総選挙では主要政党(自由民主党新進党民主党)いずれもが市町村合併の推進を政権公約に掲げるに至った。なお、2000年(平成12年)には、当時の与党3党(自民党・公明党保守党)により「基礎的自治体の強化の視点で、市町村合併後の自治体数を1000を目標とする」との方針が示されている。

市町村側にとって特に影響が大きかったのは、政府(旧:自治省、現:総務省)による合併特例債を中心とした手厚い財政支援と、同時期に進行した三位一体改革による地方交付税の大幅な削減であった。合併特例債は、法定合併協議会で策定する「合併市町村建設計画」に定めた事業や基金の積立に要する経費について、合併年度後10年度に限り、その財源として借り入れることができる地方債のことで、対象事業費の95%に充当でき、元利償還金の70%を後年度に普通交付税によって措置されるという破格に有利な条件であった。合併特例債等の特例が2005年(平成17年)3月31日までに合併手続きを完了した場合に限られたことから、駆け込み合併が相次いだ。一方、地方交付税の大幅な削減は、特に地方交付税への依存度が高い小規模町村にとって大きな打撃となり、財政運営の不安から合併を選択した市町村も数多い。合併自治体への手厚い財政支援の一方での地方交付税の削減は、アメとムチによる合併推進策ともいわれた。

市町村合併の動きは2003年(平成15年)から2005年(平成17年)にかけてピークを迎え、1999年(平成11年)3月末に3,232あった市町村の数は、2006年(平成18年)4月には1,820にまで減少した。ただし小規模町村であっても、原子力発電所の立地にともなう電力事業の交付金、大企業の立地に伴う税金などにより、地方交付税への依存度が低い町村の合併は進まなかった。また、地方において概ね合併が進む一方(新潟県富山県愛媛県大分県など)、都市部における合併はあまり進まない結果となった(東京都神奈川県大阪府など)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:119 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef