市川哲夫
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視聴率もそれまでの回の最高をマークし、この作品はエンタテイメントドラマとして高い評価を得た。のちに、山田とは1990年に放送の『閨閥』という長時間ドラマで再び仕事を共にするが、このドラマは、女優高峰三枝子の遺作となった。

プロデューサーとしてデビューした作品は、1982年日立テレビシティアイコ16歳』である。このドラマも好視聴率を得て、連続ドラマのプロデューサーとして地歩を築くきっかけとなった。その後、『胸さわぐ苺たち』や、『深夜にようこそ』などを手がけたが、市川の功績で特筆されるのは1988年と翌年に放送された、『代議士の妻たち』シリーズ(全2作。1993年にスペシャルが制作された)のヒットである。政治ドラマの成功作がほとんど見られない日本のテレビ界で例外的な成果を挙げ、アメリカウォール・ストリート・ジャーナル紙でも1989年5月18日に大きく取り上げられた。この作品は社会派ドラマに留まらず、エンタテインメントドラマとしての魅力が評価され、市川自身も記者役として出演している(「ドラマ出演」を参照)。

後年は、プロデューサー業が多くなったが、社会派、アイドル、ホームなど幅広いジャンルのドラマを手掛け、1980年代から1990年代のTBSドラマを牽引。演出家としての会心作は、1986年1月から放送された金曜21時枠のドラマ『親にはナイショで…』である。秋葉原を舞台に展開される青春ドラマだが、今でも、カルト的なファンが多い伝説的なドラマである。加えて、ドキュメンタリーでも成果をあげ、1982年に放送された音楽ドキュメンタリー『ジョン・レノンよ永遠に』、1990年に放送された新世界紀行コーカサス?待ちつづける女たち』は、特筆すべき作品として挙げられる。
平成期

平成期に入ると、1990年には日本人初のTBS宇宙特派員秋山豊寛の中継スタッフとなり、ベルリンブランデンブルク門からのベートーヴェンの『歓喜の歌』の中継を担当し、反響を呼ぶ。また市川ドラマは新たな展開を見せる。

1992年松本清張生前最後のドラマとなった『迷走地図』や、ショーケンこと萩原健一の復活劇となった『課長サンの厄年』の制作を担当。

1995年3月、テレビ編成局に異動。編成局初出勤の朝、地下鉄サリン事件が発生。ドラマ担当ながらもオウム事件の対応にも追われる。同年夏には、モーツァルト住家再建プロジェクト「今、甦るモーツァルト」の編成担当として、ザルツブルク音楽祭を取材し、筑紫哲也頼近美津子と同行。翌年1月には、再びザルツブルク取材。モーツァルト住家再建竣工式に立ち会う。

1997年、制作局に復帰。日曜劇場海まで5分』、『埋葬された愛』などをプロデュース。

2003年から2007年まで2期4年にわたって日本映画テレビプロデューサー協会常務理事[2]、エランドール賞委員会委員長を務める。2007年、制作現場から離れTBS『調査情報』編集長に転じた。
TBS退社後

2016年、TBSメディア総研を退職。中央大学総合政策学部特任教授に就き、放送文化論を講じた。受講生の中から、メディア界で活躍する卒業生を、数多く輩出した。

2023年9月には、『証言 TBSドラマ私史1978?1993』を上梓して、好評を得た。
主な作品
ディレクター プロデューサー

金曜ドラマ突然の明日』(1980年)

金曜ドラマ『港町純情シネマ』(1980年)

水曜ドラマ『娘が家出した夏』(1981年)

日立テレビシティアイコ16歳』(1982年)

音楽ドキュメンタリー『ジョン・レノンよ永遠に』(1982年)

TBS新鋭ドラマシリーズ『ストレイ・シープ』(1983年)

ドラマ『胸さわぐ苺たち』(1983年)

つかこうへい蒲田行進曲』(1983年)

日立テレビシティ『アイコ17歳』(1984年)

テレビ小説『一度は有る事』(1984年)

日立テレビシティ『ザ・監督』(1985年)

新鋭ドラマシリーズ『噂のコンサート』(1985年)

テレビ小説『愛の風、吹く』(1985年)

ドラマ『親にはナイショで…』(1986年)

金曜ドラマ深夜にようこそ』(1986年)

林真理子ドラマ『胡桃の家』(1987年)

はらたいら『ガキ大将がやって来た!』(1987年)

ドラマ『代議士の妻たち』(1988年)

ドラマ『消えた箱船』(1988年)

ドラマ『代議士の妻たち2』(1989年)

ドラマ23『いまさら、初恋』(1989年)

参院選特番ドラマ『永田町?平成元年の変』(1989年)

特別企画3時間ドラマ『閨閥』(1990年)

ハイビジョンドラマ『陰翳礼讃』(1990年)

新世界紀行コーカサス?待ちつづける女たち』(1990年)

ドラマ『雷獣』(1990年)

宇宙プロジェクト「ベルリンからの中継」(1990年)

特別企画ドラマ『イラク人質の妻たち』(1991年)

松本清張作家活動40年記念ドラマ『迷走地図』(1992年)

特別企画ドラマ『派閥人事』(1992年) - ギャラクシー賞奨励賞

特別企画ドラマ『代議士の妻たち』スペシャル(1993年)

東芝日曜劇場課長サンの厄年』(1993年)

特別企画ドラマ『課長サンの厄年』スペシャル(1994年)

東芝日曜劇場『オトコの居場所』(1994年)

金曜ドラマ『揺れる想い』(1995年)

東芝日曜劇場『海まで5分』(1998年)

冬の特選サスペンス『埋葬された愛』(1998年)

実録ドラマ特別企画『獄窓記』(2004年)

松本清張ドラマスペシャル『波の塔』(2006年)

ドラマ出演

『代議士の妻たち』(1988年) - スクープ記者役

『代議士の妻たち2』(1989年) - 政治記者役

十年愛』(1992年) - テレビコメンテーターの論客

派閥人事』(1992年) - 経済部記者役

オトコの居場所』(1994年) - 経済部記者役

悪いオンナ「占っちゃうゾ」』(2000年) - テレビ局編成マン

その他出演

テレビがくれた夢』(2014年)[3]

『ニュースキャスター』(2019年)[4]

『報道特集』(2023年)

編・著書

TBS調査情報』(2007年 - 2016年)

『日本人とテレビ』(「中央評論310号」 2020年)

『ある夏の夜に』(2021年)

『証言 TBSドラマ私史 1978-1993』(2024年)

刊行


編『70年代と80年代 テレビが輝いていた時代』毎日新聞出版、2015年8月。ISBN 978-4-620-32318-3

『証言 TBSドラマ私史1978?1993』言視舎、2023年9月。ISBN 978-4-86565-257-4


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