巡礼_(通俗)
[Wikipedia|▼Menu]
シャーロック・ホームズシリーズシャーロック・ホームズが住むと設定された「ベーカー街221B」は架空の人物にもかかわらずブルー・プラークが設置され、「最後の事件」の舞台となったライヘンバッハの滝の麓にあるマイリンゲン(英語版)には作中の道順を示す道標や博物館が整備されるなど、世界中からシャーロキアンが訪れる観光スポットとなっている。

世界的に有名な映画のロケ地としては、映画『スター・ウォーズ』で惑星タトゥーイーンとしてロケが行われたチュニジアにファンが訪れたことなどが知られている[16][17]。映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの大ヒットにより、メインのロケ地であるニュージーランド各所に観光客が来訪。映画の前史を描いた映画『ホビット』シリーズ制作・公開にあわせ、ニュージーランド政府観光局などは積極的にロケ地訪問観光旅行のアピールを行うなど[18]、民間だけではなく行政など公的機関がロケ地を宣伝して観光客誘致を狙うこともある。

今日繋がる映画やアニメ作品の聖地巡礼としては[19]1980年代大林宣彦監督の「尾道三部作」辺りにその萌芽が見られ[19][20][21]広島県尾道市には映画のロケ地巡りを目当てに観光客が訪れるようになり[19]1984年にはその数が20万人に達した[19]。大林映画の製作に協力した尾道市の取り組みは、各地方自治体フィルム・コミッションを生む切っ掛けとなり[19]、またアニメ作品の聖地巡礼(アニメツーリズム)の先駆けとなった[19]。また『北の国から』では舞台の富良野市北海道を代表する観光地へと変化するなど、一種の社会現象となる例も存在した。

アニメに限れば、特に作品(メディア)側がロケ先等の具体的地名を隠さずメタフィクション的に作品に取り入れていき、その結果としてファン側が「聖地」を発生させた例として『究極超人あ?る』OVA版(1991年発売)が、一方でロケ地のみならず登場人物名や作内の固有名詞に一定圏域の地名に由来する命名を用い、積極的にこれらのロケ地および命名由来地を結びつけて「聖地」とアピールし、メディア側からニーズを掘り起こした例として『天地無用!シリーズ』などが、その筆頭かつ代表例として挙げられる事が多い[15][22]。逆にメディア側のアピールに拠らず「ファンがロケ先を探し出して探訪する」という形式による場合は『美少女戦士セーラームーンシリーズ』を源流に挙げるケースが見られる[22]。以降、テレビアニメが聖地巡礼を誘発した初期の例としては、2002年放送の『おねがい☆ティーチャー』が挙げられるが[23][24]、特にゼロ年代末の聖地巡礼ブームのきっかけとなったのは、2007年に放送された『らき☆すた』である[15][25]。『らき☆すた』に後続する聖地巡礼を呼び起こすようなアニメでは、しばしば「実際の風景や建物の写真を用意し、それをトレースしてアニメの背景を作る」という手法が採用されている[26]。アニメ化に際して原作の舞台となった場所のロケーションハンティングを行うこと自体は以前から行われていたが、それが聖地巡礼として結びついたのは『涼宮ハルヒの憂鬱』がきっかけであり、原作者谷川流の出身校でもある兵庫県立西宮北高等学校が聖地巡礼の対象となった[27]

2012年3月7日にNHK総合テレビ報道番組クローズアップ現代』にて、アニメの聖地巡礼の特集(題は「激変 アニメ産業 聖地巡礼の謎」)を放送したことがあった[28]。また、2016年12月1日に発表された2016ユーキャン新語・流行語大賞では「聖地巡礼」がトップ10に選ばれている[29]。同年8月に公開された映画『君の名は。』が大ヒットし、その舞台の岐阜県飛騨市に多くの人が巡礼したためである[30]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:103 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef