川路利良
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終戦後の明治11年(1878年)3月、黒田清隆の妻が急死した際、かねてより酒乱で知られていた黒田が酒に酔って妻を斬り殺したとの噂が流れたため、川路が墓を開け、病死であることを確認したと発表した。これについては、川路も薩摩出身であることから黒田をかばってもみ消したという見方が当時からあり[3][4]、同年5月に発生する、川路の庇護者であった大久保利通の暗殺(紀尾井坂の変)の遠因になったともいわれる。また川路は事前に大久保の暗殺を計画していた石川県士族など6名の名前まで情報を知らされていたが「石川県人に何が出来るのか」と意に介さず無視をした。
死去

明治12年(1879年)1月、再び欧州の警察を視察。しかし船中で病を得、パリに到着当日はパレ・ロワイヤルを随員と共に遊歩したが、宿舎に戻ったあとは病床に臥してしまう。咳や痰、時に吐血の症状も見られ、鮫島尚信駐仏公使の斡旋で現地の医師の治療を受け、転地療養も行ったが病状は良くならなかった。同年8月24日、郵船「ヤンセー号」に搭乗し、10月8日帰国。しかし東京に帰着すると病状は悪化、10月13日に死去した。享年46。関西の政商である藤田組汚職の捜査を恐れ毒殺したという噂も立った。墓所は青山霊園
評価川路利良像
鹿児島県警察本部前)川路大警視邸跡(下谷警察署)

川路が警視庁に在職した期間は決して長いものではなかったが、警察制度創始者としての評価は高い。警察の在り方を示した川路の語録は『警察手眼』(けいさつしゅげん)として編纂され、警察官のバイブルとして現在も広く読み継がれている。

明治18年(1885年)、弥生神社(現・弥生慰霊堂)に特別功労者として祀られた。また2018年現在、警視庁警察学校には彫塑家・北村西望の作となる立像が、警視庁下谷警察署敷地内には川路邸宅跡の石碑が建っている。警察博物館には川路大警視コーナーが設けられ、川路の着用した制服サーベルが展示されている。

鹿児島県では「西郷隆盛を暗殺しようとした男」「郷土に刃を向けた男」として長らく裏切り者の印象を持たれて評価が低めであったが、鹿児島市皆与志町の生家近くのバス停は川路にちなみ「大警視」と名付けられており、生誕の地には記念碑が、川路が率いた別働第三旅団の激戦地である霧島市(旧横川町)内には銅像が建っている。平成11年(1999年)に当時の鹿児島県警察本部長小野次郎らの提唱で鹿児島県警察本部前に銅像が設置されるなど、現在の地元でも人気があまりないながらも、ようやくその功績や人物像が再評価の段階に入りつつある。
年譜

元治元年(1864年)- 禁門の変出征

慶応4年(1868年)- 戊辰戦争出征

明治2年9月1869年10-11月) - 鹿児島藩兵具奉行

明治4年3月1871年4-5月) - 御親兵に同行し上京

4月(1871年5-6月) - 東京府大属

10月(1871年11-12月) - 東京府権典事

12月1872年1-2月) - 東京府典事


明治5年5月(1872年6-7月) - 東京府邏卒総長

8月(1872年9-10月) - 司法省警保助兼大警視

9月(1872年10月) - 欧州出張


1873年(明治6年)9月 - 帰国

1874年(明治7年)1月 - 東京警視庁大警視

8月 - 警視長

10月 - 大警視


1877年(明治10年)1月 - 内務省警視局大警視

3月 - 陸軍少将兼大警視・別働第4旅団司令長官西南戦争出征

3月?7月 - 別働第3旅団司令長官

7月 - 東京帰還


1878年(明治11年)12月 - 欧米出張

1879年(明治12年)1月 - フランスへ出発

10月8日 - 帰国

10月13日 - 死去


栄典

1874年(明治7年)2月18日 - 正六位[5]

正五位

勲二等旭日重光章

エピソード

戊辰戦争磐城浅川の戦いで、敵の銃弾が股間に当たり負傷した。銃弾は金玉袋(陰嚢)を貫いたが、金玉(精巣)は無事であった。戦場にあっても金玉袋が縮まず垂れ下がっていた(怖がっていなかった)からで、川路の豪胆さを示す逸話となり、薩摩藩兵は「川路のキンタマ」と讃えた。

明治5年(1872年)の初めての渡欧の際、マルセイユからパリへ向かう列車内で便意を催したもののトイレに窮し、やむを得ず座席で日本から持参していた新聞紙の上に排便、その大便を新聞紙に包んで走行中の列車の窓から投げ捨てたところ、運悪くそれが保線夫に当たってしまった。その保線夫が新聞に包まれた大便を地元警察に持ち込んだことから、「日本人が大便を投げ捨てた」と地元紙に報じられてしまった。


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