軍歌やジャズを取り入れた漫談で、川柳の代表作とも言える演目[22]。近代日本の世相や風俗を流行歌という観点から振り返る内容である[23]。紹介される流行歌のうち多くを占めるのが第二次世界大戦期の軍歌で[23]、『大東亜決戦の歌』『英国東洋艦隊潰滅』『空の神兵』『加藤隼戦闘隊』『ラバウル海軍航空隊』『月月火水木金金』『轟沈』『比島決戦の歌
』『同期の桜』『若鷲の歌』などを実際に歌ってみせる[23][24]。題名の『ガーコン』は本編中のオチに出て来る足踏式脱穀機の動作音の擬態語に由来する。脱穀機のくだりで、登場人物の母親が父親に声援を送ると『大ガーコン』という演題に変わる[25][26]。ガーコンの長講が大ガーコンとなるわけではなく、上演時間は関係ない。『ガーコン』と命名したのは前座時代の古今亭右朝で[26]、それまでこの演目は「歌で綴る太平洋戦記」「昭和歌謡史」「歌は世につれ」などと表記されていた。
1970年頃に作った噺で、その後は寄席に出演する際はこの『ガーコン』ばかりを演じていた[23]。全盛期には年に100回以上演じており、そのため寄席の上演回数の年間ランキングでは、『時そば』、『寿限無』、『金明竹』、『子ほめ』などの前座からベテランまで分け隔てなく演じられる定番ネタと、川柳のみが演じる『ガーコン』とが張り合っていた[27]。
『ガーコン』は五代目柳家小せんが若手時代に川柳の許可を得て演じ、その後も引き続き高座にかけている[28][29][30]。また古今亭右朝[31][32]や立川談之助[33]も演じたことがある。 『義太夫息子』や『宗論』を踏まえた川柳作の新作落語。終戦後、ジャズに熱狂する若者たちと、それに苦言を呈する父親のひと騒動。ジャズを根底から否定する父親は、自宅で義太夫の『摂州合邦辻』をうなるが、息子と友人たちは対抗して2階でジャズの『聖者の行進』を大音量で演奏する。義太夫とジャズ、両極端な2種類の口演が見どころである。なお三代目三遊亭金馬に同名の新作落語があるが、内容は別の作品である。 少なくとも2011年ごろからほとんど演じなくなっていた。そのことを古今亭志ん輔に聞かれた際、川柳は「だってさぁ、ジャズと義太夫をカブせていくだろ。どんどんテンション上げてかないとお客さんの張りが緩んじゃうしさ 兎に角 疲れるんだよ」と説明していた[34]。 『ジャズ息子』は本人以外に、六代目五街道雲助[31][35][32]、春風亭小朝[36]、三代目橘家文蔵[37]、四代目柳亭市馬[38]がそれぞれ演じたことがある。 音楽・音声外部リンク
ジャズ息子
ラ・マラゲーニャ
『ラ・マラゲーニャ
(※川柳川柳の歌唱ではなく原曲)
La Malaguena - トリオ・ロス・パンチョスの演奏、ロス・パンチョス公式YouTube。
川柳の二ツ目のころの売り出しのきっかけともなり、圓生に「色物」と呼ばれる所以ともなった演芸。高座着の上からソンブレロにサラッペのいでたちでギターを抱えて『ラ・マラゲーニャ(英語版)』を歌いながら艶笑小咄を展開する[39]。寄席で主任の時に大喜利として演じていた。
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