川北紘一
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ただし、カメのキャラクターは好きではないらしい[39]

自身の手掛けた平成期の特撮シリーズについては、ゴジラやモスラばかりでなく過去の東宝特撮のようにバラエティ豊かな作品を作らなければならなかったと述懐している[6]

ゴジラシリーズでは、キャラクター展開にも積極的に携わっており、タイアップCMの撮影を精力的に行っていたほか[40]、出版社や玩具メーカーにも協力的で、自ら商品データを制作してバンダイへ持ち込んだこともあった[41]

古物・骨董の収集が趣味で、スタッフ間でも広く知られていた[42]。『ゴジラvsデストロイア』のロケで香港へ赴いた際には、骨董品店を覗いていた川北が動こうとしなかったため、ロケバスが発車してしまっていたこともあった[42]
作風

独特な手法から、「特撮の鬼」の異名で呼ばれることもある[43]。ゴジラ映画や超星神シリーズなどでは、スタジオ内にスモーク(白煙)を張った上で怪獣を逆光で撮影し、怪獣のシルエットを浮かび上がらせるという手法を多く用いており、ファンの間では「川北後光」と称されている[44]。「金粉」のきらめきを画面効果として好み[39][45]、『ゴジラvsビオランテ』や『ゴジラvsデストロイア』などで、ゴジラや怪獣が消滅するといった描写で多用している[注釈 7]。東宝プロデューサーの富山省吾は、『vsデストロイア』でのゴジラが死ぬシーンは、これら川北のテクニックをすべて投入していたと評している[48]

「怪獣はプロレスごっこのような肉弾戦をしないだろう」という考えから、怪獣同士が取っ組み合うような格闘演出を排除し、目や口、触覚などからの光線技の応酬を多用する[出典 15]ため、「川北特撮=光線の打ち合い」などと揶揄する声もある[51]。擬人化した動きは意図的に排除している[出典 16][注釈 8]。円谷英二の意向に則り流血表現は避けつつ、上記金粉やビオランテでの樹液など代替表現を行うことも多い[出典 17]。怪獣が建物を破壊する場面でも、手で壊すような描写は好まないという[27]。こうした効果について、川北は放射能などの目に見えないものを表現するのにわかりやすいとしており、残虐な描写を用いないことで観客に想像の余地を残していると述べている[11]

一方、ゴジラとベビーゴジラ(リトルゴジラ、ゴジラジュニア)の親子愛や、モスラとバトラやゴジラとラドンの命のやり取りなど、擬人化せずとも描ける生物共通の愛情や命のあり方を描くことも重視している[12]

今までとは違うゴジラを描こうという姿勢から、『vsビオランテ』以降のゴジラの歯を2列にしたり、白目を無くしたり、透明素材の背びれにフラッシュを仕込んで光らせたりと、さまざまな新案を持ち込んでいる。従来のゴジラの人間臭さを排して動物的な原点に戻すことを意図した一方、単なるリアル志向にはならず、ファンタジー要素も重視したことも語っている[12]

怪獣は夜間に禍々しく動くものという考えから、ゴジラシリーズではナイトシーンをクライマックスとしている[11][注釈 9]。一方、モスラシリーズはイメージが異なると述べている[11]。『ゴジラvsキングギドラ』(1991年)は監督の大森一樹からの要望で昼間の戦闘が中心となった[54][6]

撮影では、NGが出たカットでは次にまったく異なるアングルで撮影するなど、映像素材を多く得ることを重視していた[55]。これに対応するため、ミニチュアセットも固定されたものではなく、移動や組み換えが可能なものとなっていた[55]。川北は、一見使いようがないカットでも編集や合成で味付けを行うことで観客に美しく見せることが必要だと考えており、自身でも思いがけない効果をあげることもあるという[56]。業界内では「ねばりの川北」とも称されていた[1][57]

照明技師の斉藤薫は、円谷英二がカメラポジションを据えたら横移動かクレーンでの上下移動のみであったのに対し、川北はカメラ自体が迫っていく縦移動が多かったといい、カメラマンの江口憲一も川北は主観カットが多いと述べている[46]。カメラを複数台で撮ることも多く、カメラ同士が向かい合うようなポジションになるため、Bカメラは頭に草をつけたりビルの中に入るなどしていた[46]

「あるものは何でも使えばいい」と雑誌『宇宙船』のインタビューで発言しており[要文献特定詳細情報]、『ゴジラvsメカゴジラ』(1993年)の第2特報では『ガンヘッド』(1989年)の特撮シーンを流用したほか、『超星神グランセイザー』(2003年)では東宝の倉庫に保管されていたゴラス、「ゴジラシリーズ」などの小道具を流用した。また、『幻星神ジャスティライザー』(2004年)でもメカゴジラの模型を流用した。それらに先駆け、『さよならジュピター』(1984年)ではオガワモデリングが所有していた緻密なミニチュアを正式に譲ってもらっており、前述の「超星神シリーズ」の宇宙戦のシーンに流用している。


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