峰不二子
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もっともルパン一味も不二子の裏切りを前提にして作戦を立てていることがほとんどであり、終盤不二子が金品宝石を手にできず、痛い目にあう描写がよく見られる。ただし、物欲や所有欲こそ旺盛であるが権力欲や出世欲は一切なく、『TV第2シリーズ』 第63話「罠には罠を!」では、ホワイトハウスを指して「あの中には、私の欲しい物は何もないわ」と切り捨てている。

ルパンを裏切る一方で、ゲストキャラクターの罠によって命の危険にさらされたり、死んだと思った時は悲しんだり驚いたりするなどそれなりにルパンを想う描写がたびたび見られる。『TV第2シリーズ』第16話「二つの顔のルパン」では、「ルパンが本当に殺人鬼なら、あなたを殺して私も死ぬ」と口にしており、同第20話「追いつめられたルパン」では、負傷した次元を庇って窮地に陥ったルパンを単身で救い、2人で籠城した末に、軍隊の総攻撃の中、共に自決しようとしていた。

TV第1シリーズ』ではエンディングアニメーションや本編でオートバイにツナギで疾走するシーンが登場する。これは監督を務めた大隅正秋によると、1968年に公開された映画『あの胸にもういちど』でマリアンヌ・フェイスフルが演じたレベッカ役をモデルにしたのだという[7][注 1]

変装についてはカツラや眼鏡など簡単なもので済ませており、(国際指名手配犯でありながら)上述の依頼時も素顔・本名で接することがほとんどである。しかし、変装技術に関してはルパンに匹敵するほどの能力を持っており、男性に変装するシーンも時折見られる。『TV第1シリーズ』第9話「殺し屋はブルースを歌う」ではルパン、『新ルパン三世』第1話「ルパン一家勢ぞろい」では次元に変装したこともある。

愛用の拳銃はFN ブローニングM1910レミントン・デリンジャー。後者は『TV第2シリーズ』OP4期で、口紅を銃弾にして撃つシーンがある。TVスペシャル『ワルサーP38』ではシグ P230を使用していた。ただし不二子は特定の銃器に執着せず、愛用というほど活躍するシーンはない。拳銃以外ではサブマシンガンを好んで使用する。愛用のたばこはモア・メンソール。ただし、愛煙家のルパンや次元と違い、不二子がたばこを吸う光景は少ない[ep 1]。『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』ではマリファナらしきものを使用している描写がある。愛用の香水は「シャネルの5番」であるが[ep 2]、これも実際に使用しているシーンはほとんどない。またその他の車や服飾品や所持品も、愛用云々以前に常用しているもの自体がほとんどない。

メカについては自ら「男の次に得意」と語る[ep 3]ほどの技能を備えており、身の丈以上の大きさをした銃火器類は勿論のこと、フォーミュラカー戦闘機ドローンまで軽々と扱い、戦術知識については他のルパンファミリーに勝るとも劣らない。大型バイクを操るシーンも多く、主にハーレーダビッドソンを愛用している。楽器の演奏も可能で、『グッバイ・パートナー』では即興のジャズピアノ演奏を見せている。一方、料理は苦手としており、『PART6』でウエイトレスに扮してサンドイッチを作った際は、注文した殺し屋の客(ルパンと次元の変装)から味を酷評されている[ep 4]

格闘能力についても非常に高く、『カリオストロの城』以降の作品では兵士やSPを投げ飛ばしたり、敵方のボディガードをパンチ1発でKOしたりする描写が数多く見られる。映画『DEAD OR ALIVE』では、不二子が武術の達人という設定となり、自分よりはるかに大柄で筋肉質の女性を投げ飛ばす描写や、徒手空拳で敵集団と大立ち回りを演じるシーンもある。

惨たらしい光景を目の当たりにすることで気を失うという一面もある。『TV第2シリーズ』第66話「射殺命令!!」では、ルパンの手作りによる水銀弾で撃たれたことにより木っ端微塵になって跡形もなく消し飛んでしまったビューティーを見て、ショックのあまり悲鳴を上げて気絶した[注 2]

TVシリーズでは、回によっては男性ゲストキャラクターと結婚直前もしくは結婚式を挙げることがある。その場合、相手は必ず大金持ちであるか、貴族階級の二枚目である。全ての結婚・婚約は、結局履行にまで至っていない。アニメではルパン三世との最初の出会い場所はギリシャパルテノン神殿という設定にされている作品[ep 5]もある。

基本的に狙っているものは、お金や宝石、高額のお金に換金できそうなもの全般である(一方でTV第2シリーズ152話「次元と帽子と拳銃と」の終盤では、次元のために彼愛用の帽子を高額のお金を注ぎ込んで帽子屋に作らせてプレゼントするという普段見せない行動をとる)。しかし、自らの美貌がやがて失われる可能性を恐れて、不老不死になることも求めており、金以上の執着心を見せ、形振り構わない行動に出ることも多い。ルパンに不老不死の秘薬を作成するための教典を盗ませようとするも、教典はすでに灰化していたために失敗した上に、自身と同じく男を惑わす悪女であるエマニエルと私闘を演じたことや[ep 6]、ドラキュラの涙という宝石を使って不老不死の薬を得ようとしたが、ルパンがそれの入ったグラスを叩き落としたために失敗し、腹いせにルパンを殴り飛ばしたという例がある[ep 7]。劇場版『ルパンVS複製人間』ではマモーと結託し、ルパンたちを徹底的に陥れてまで自ら不老不死になろうとしたが、クローン技術を使った見せ掛けに過ぎなかったためにその願いは叶わなかった。コラボレーション作品である『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』では江戸川コナン灰原哀が幼児化した薬であるAPTX4869に目を付けている。黒ずくめの組織に所属していた頃の宮野志保(灰原哀の本来の姿)と面識があり、彼女の組織内でのコードネームがシェリーであることも知っていた。薬を完成させるために取引を持ち込もうとするもその目的が自身の若返りとボロ儲けであったために彼女からはかなりの失望を買ってしまっている。その後、江戸川コナンを助けることを条件に薬の秘密を教えるように彼女に迫るが結局、約束を反故にされた(その際に自身が彼女に言った言葉をそっくりそのまま返されている)。

仲間の呼び方は他の三人と同じである。また、銭形に対しては、本人がいないシーン(銭形の噂をする場合など)では基本的に「銭形」と呼び捨てだが回によっては「銭形警部」、「銭形さん」、一度だけ「とっつあん」と呼んだこともある。但し、銭形本人と直接会話するときは、基本的に「さん」などの敬称を付して呼んでいる。なお、銭形に対して敵ながら親しみの感情を抱いているところは他の三人と同じである[ep 8]

不二子の先祖や子孫が登場する作品もある。TVスペシャル『霧のエリューシヴ』では、500年前の先祖として盗賊の「お不三」が登場している。気の強さや、お宝への執着心などが不二子と共通しており、これらの気質は子孫に色濃く受け継がれているようである。担当声優は関根麻里。また、2883年(2007年から876年後)の子孫はショートヘアで、裏切り癖の血筋が引き継がれているようであった。声優は日本テレビアナウンサー(当時)の西尾由佳理

ルパンファミリーの中では一番作画に変化が見られるキャラクターで、各作品ごとに毛髪の色・髪型・長さ・目つきが異なる。『ルパン三世』公式の携帯サイトでは、オリジナルの待ち受け画面として街中で『TV第1シリーズ』と『TV第2シリーズ』の不二子がすれ違うシーンが登場したことがある。作品によってはバストトップが描かれたこともある。
人気

フィクションのキャラクターとしての人気は性別や年齢を問わず高く[8][9][10]、強い女性やセクシーな女性、魔性の女[11]、などの象徴やイメージとしての先駆的ポジションとしてもメジャーである[2][12]

特に女性からの支持は厚く[13]、長年不二子を演じてきた増山江威子のインタビューによれば、不二子のファンは女性が圧倒的であり、増山自身も「不二子は理想の女性像である」と語っている[ep 9]。そのプロフィールやイメージが持つ魅力は、女性の目指す理想像としても高く評価されている[14][13]。また、増山は不二子について「男性への甘えは女性なら誰でも出来るが、不二子は甘えながらもルパンにすべてを委ねることはしない、甘えの中に常に冷めた部分も持ち合わせる女性」と評している[15]。2011年から不二子を演じてきた沢城みゆきはインタビューで、「私そんなに不二子さんのこと好きじゃないかなぁ(笑)。うーん、困っちゃいますね。やっぱり、彼女を許したくなっちゃうところがものすごく大事なんですよ。本当に大事。許す対象だから好きとはまた違うかもしれません。あえて挙げるとしたら、今作でも言っているんですけど、『できもしない嘘はつきたくない』っていうところは好きかもしれませんね。」と語っている[16]

男性人気について、モンキー・パンチは「男性心理として不二子はぴったり」とも答えている[2]。ルパンの初代声優である山田康雄は、不二子の男性人気やルパンが不二子を追うことについて「結局は逃げられるのを分かっているが、だからこそ余計にのめり込む」と述べており、「われ笛ふけどきみ踊らずっていうこの気持ち、男としてはよく分かります。共感する部分があるんですね。


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