岸田今日子
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

しかし、あまり若くして良い役に付けると周囲の嫉妬を買い、本人のためにもならないとして文学座創設者の岩田豊雄が反対し、幻となってしまった[9]。また、『サロメ』(1960年)の主演に抜擢された時は、三島由紀夫に「僕のイメージにあるサロメ役とぴったり」と言わしめた[2]

文学座脱退後、「劇団雲」の出演した舞台『聖女ジャンヌ・ダーク』(1963年)が芸術祭賞を受賞[2]。以後、シェイクスピアから日本の作家に至る幅広い意欲作に出演し、芸域を広げる[2]。ちなみに「演劇集団 円」に所属後、つかこうへいとの舞台のオーディションを兼ねた稽古で即興のセリフが上手く言えず、彼から罵倒されたことがある[注釈 11]。その後舞台に加えて映画でも多彩で卓越した演技を見せ、役者として円熟期を迎えた[2]
演技に関して

岸田は「芝居というものは妄想の賜物」と評し、与えられた役柄に自由にアプローチしていく面白さを感じたことが、晩年まで役者業を続ける理由となった[注釈 12]。本人は真面目な新劇女優と思われるのは本意ではなく、「面白いことなら何でもやりたい。観客から『何なのこの役者さん?』と言われ続けるのが本望」としていた[2]

また、文学座の後輩である山ア努[注釈 13]によると、「岸田さんとは役に対する考え方が似ていて、2人とも『一見すると説明の難しいミステリアスな役』が好きだった」とのこと[注釈 14]。演じる難しさはあったが岸田は役作りの苦労を周りには全く見せず、自然体で作品に臨んでいたという[5]
その他1961年の岸田(右)と今井和子(左)

吉行和子冨士眞奈美と親友であった[注釈 15]

趣味は麻雀で、1970年代に「週刊ポスト」で行われていた勝抜麻雀企画に出場し、阿佐田哲也(色川武大)に勝ったこともあるほどの強豪であった。

俳句も嗜んでおり、俳号は眠女(みんじょ)だった[2]

映画監督の利重剛は、「岸田さんの出演映画で、監督との相性が特に良かったのは市川崑監督」と評している[5]。1961年の映画『黒い十人の女』では、華やかな女優陣に混じって1人だけ独特のオーラを放ち、復讐に燃える女を好演[5]。また1996年版『八つ墓村』では、岸田演じる双子の老婆役が観客に強烈な印象を与えた[5]

1988年から16年に亘り放送されたバラエティ番組「あっぱれさんま大先生」は、岸田が明石家さんまに手渡した1本のカセットテープが誕生のきっかけであるという[10]
出演
テレビドラマ

冷えた茶(1962年、
TBS) - ケイコ 役

鏡子の家(1962年、TBS) - 鏡子 役

松本清張シリーズ・黒の組曲 / 紐(1962年、NHK) - 梅田静子 役

男嫌い(1963年、日本テレビ

大河ドラマ(NHK)

赤穂浪士(1964年) - あぐり

春の坂道(1971年) - 淀の方

武田信玄(1988年) - 寿桂尼

徳川慶喜(1998年) - 松島 役


東芝日曜劇場「栄光の旗」(1965年、TBS)

黄色い風土(1965年、NET) - 島内夫人 役

嫌い!好き!!(1966年 - 1967年、日本テレビ)


ゴメスの名はゴメス (1967年、フジテレビ)- 小宮山園子 役


大奥(1968年、関西テレビ) - ナレーション 怨霊 役

写楽はどこへ行った(1968年、NHK) - お春 役

火曜日の女シリーズ「ガラス細工の家」(1973年、日本テレビ / ユニオン映画) - 土門冴子 役

銀座わが町(1973年、NHK)

傷だらけの天使(1974年 - 1975年、日本テレビ) - 綾部貴子 役

連続テレビ小説(NHK)

水色の時(1975年) - ナレーション

ロマンス(1984年) - 香木艶子 役

かりん(1993年 - 1994年) - 小森晶乃 役


あなただけ今晩は(1975年、フジテレビ

愛のサスペンス劇場 / 歯止め(1976年、日本テレビ) - 津留江利子 役

非情のライセンス 第2シリーズ(1976年、NET) - 深海綾 役

前略おふくろ様 第2シリーズ(1976年、日本テレビ) - 三宅花恵 役

赤い運命(1976年、TBS) - 吉野世津子 役

破れ新九郎(1978年、テレビ朝日) - おきん 役

赤穂浪士(1979年、テレビ朝日) - りく

銀河テレビ小説(NHK)

太郎の青春(1980年、NHK) - 太郎の母 信子 役

太郎の卒業(1981年、NHK) - 太郎の母 信子 役


あ・うん(1980年、NHK) - 門倉君子 役

ハウスこども劇場(1980年、テレビ朝日)

火曜サスペンス劇場(日本テレビ)

あの三億円事件の真相は?父と子の炎(1981年) - 横溝よしえ 役

秘密(2003年) - 稗田喜久子 役


土曜ワイド劇場(テレビ朝日)

華麗な殺しの三重奏・決闘の女(1980年)

女弁護士 朝吹里矢子(5)華やかな狙撃者(1981年)

愛の妖精殺人事件(1983年)

法医学教室の事件ファイル(1992年 - 2006年)[注釈 16]

松本清張スペシャル・鉢植えを買う女(1993年) - ナレーション


新・事件 わが歌は花いちもんめ(1981年、NHK) - 小坂静子 役

日本犯科帳・隠密奉行(1981年 - 1982年、フジテレビ) - 朝日奈りん 役

竜馬がゆく(1982年、テレビ東京) - 坂本乙女

影の軍団III(1982年、関西テレビ) - 千愁尼(本理院孝子) 役

リラックス?松原克己の日常生活(1982年11月13日、関西テレビ) - 幸江 役

いつもお陽さま家族(1982年 - 1983年、TBS) - 瀬下 役

木曜ファミリーワイド / マザコン刑事の事件簿(1983年、フジテレビ)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:113 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef