農林関係の国の研究機関が立地していることでも知られ、農林水産省管轄の東北農業研究センター、森林総合研究所東北支所はいずれも盛岡市郊外にある。
水産業では、三陸海岸周辺が、黒潮による豊かな漁場として知られている。リアス式海岸の岩礁は、ワカメや海苔といった海藻類の養殖にも適しており、ワカメとあわびの養殖で、生産高全国1位の規模を持つ。カキ(牡蛎)やホヤの養殖も盛ん。珍しいものでは陸前高田市広田湾におけるエゾイシカゲガイ養殖が知られる。流通量が少なく高値で取引される。 製造品出荷額は2兆1000億円で、東北地方では福島県(全国順位19位)、宮城県(同24位)、山形県(同28位)に次いで4位(同31位)である。
商工業
特に、2008年(平成20年)2月に決定された東芝・フラッシュメモリ工場の北上市への建設は、波及効果を合わせると1兆円程度の経済効果があるとされ、県は法人事業税減免や低利融資などを通じて、これを後押しするとしている。東芝が「行政からの融資措置だけでなく、質の高い人材の確保が容易なことが決め手になった」とし、「金のかからない新しい産業誘致モデル」として注目された[31][32]。工場新設に当たって、北上市はこれまでに蓄積した企業誘致と合わせて、法人市民税、固定資産税の大きな増収が見込まれることから、国から地方交付税の交付を受けない「不交付団体」への昇格を果たすことになった。岩手県では、かつて製鉄業が隆盛を極めていた時代に釜石市が不交付団体となっていた前例があり、「それに次ぐ快挙」(2008年(平成20年)2月・岩手県知事定例記者会見)と評された。
自動車産業に関しては、トヨタ自動車が、東北地方を新たな生産拠点とする意向を示しており[24]、すでに金ケ崎町に立地する自動車工場も、現行より10万台増の25万台生産規模まで拡大されることが決まっている。自動車関連産業の集積を進めるため、岩手県は、トヨタ自動車東日本が進出している宮城県や山形県、福島県などと連携して、今後も誘致活動を展開していくとしている。
県内に拠点を誘致した主な製造業が望まれています。
盛岡市
美和ロック
八幡平市
アステラス東海(旧東北山之内製薬)
岩手郡雫石町
小岩井乳業
セイコーインスツル
花巻市
リコー
EN大塚製薬(旧雪印乳業岩手医薬品工場)
北上市
キオクシア(旧東芝メモリ)
明治製菓
北上ハイテクペーパー(旧三菱製紙)
東京製綱
アイメタルテクノロジー
金ケ崎町
トヨタ自動車東日本(旧関東自動車工業)
塩野義製薬
デンソー
奥州市
東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ(旧東京エレクトロン東北)
フジキン
関東化学
コンバム
田中貴金属工業
日成ビルド工業
ファインシンター
一関市
LIXIL(旧トステム)
日本ピストンリング
ヒロセ電機
宮古市
ヒロセ電機
釜石市
日本製鉄北日本製鉄所釜石地区
SMC
大船渡市
太平洋セメント大船渡工場
久慈市
北日本造船
サービス業盛岡さんさ踊りの様子
観光業の振興に腐心している。2007年(平成19年)には、盛岡市を舞台にしたNHK連続テレビ小説「どんど晴れ」が放映され、盛岡さんさ踊りに訪れた観光客が8.7%増えて128万3000人となり[33]、一定の効果が上がっている。2011年(平成23年)には、奥州藤原氏の栄華の遺産「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」(平泉町)が世界遺産(文化遺産)に登録された。 県庁所在地の盛岡市は、県内のみならず北東北の広域交通網を束ねる拠点として機能しており、新幹線に接続して北東北各地への高速バスが多数発着するほか、盛岡駅では東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」の分割・併合も実施している。
交通