岩手県
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アカマツが多いことからアカマツと共生するマツタケの出荷も多く、2010年代以降は長野県と並ぶ2大産地の一つとなっている[30]。一方でアカマツの致死性の伝染病であるマツ材線虫病(松くい虫)の北限地域であり徐々に被害が拡大していることから影響が懸念されている。住宅構造の変化により梁や柱を見せなくなったことや伝染病の流行により高級アカマツ材の市場が減少していることなどから、尾根沿いにはアカマツではなくカラマツを植えることも増えてきている。全国的に高級木材として知られるヒノキは天然分布せず、寒冷地であり漏脂病という致命的な病気のリスクが高いことから沿岸南部を除いて植栽されることもない。アカマツ以外にはミズナラを中心としたブナ科広葉樹による木炭の生産でも知られ、木炭では特に黒炭の生産量が全国一である。こちらもナラ枯れと呼ばれるミズナラに致死性の伝染病が県内でも確認されている。県北部の二戸市(旧:浄法寺町)ではウルシの栽培が盛んで樹液を精製したの国内最大の産地となっている。県が木質バイオマス事業などの自然エネルギー活用に熱心なこともあって、生産高188億円(2005年(平成17年))と、全国5位の数字を出している。

農林関係の国の研究機関が立地していることでも知られ、農林水産省管轄の東北農業研究センター森林総合研究所東北支所はいずれも盛岡市郊外にある。

水産業では、三陸海岸周辺が、黒潮による豊かな漁場として知られている。リアス式海岸の岩礁は、ワカメ海苔といった海藻類の養殖にも適しており、ワカメとあわびの養殖で、生産高全国1位の規模を持つ。カキ(牡蛎)ホヤの養殖も盛ん。珍しいものでは陸前高田市広田湾におけるエゾイシカゲガイ養殖が知られる。流通量が少なく高値で取引される。
商工業

製造品出荷額は2兆1000億円で、東北地方では福島県(全国順位19位)、宮城県(同24位)、山形県(同28位)に次いで4位(同31位)である。

長らく主要な産業新日本製鐵(現:日本製鉄釜石製鉄所釜石市)、太平洋セメント大船渡工場(大船渡市)ほどしかなく、政府の救済策を求めたこともあったが、1982年(昭和57年)に東北新幹線大宮・盛岡間が開業すると、企業誘致が徐々に進展した[18]1993年(平成5年)に関東自動車工業金ケ崎町)(現・トヨタ自動車東日本岩手工場)が進出して以来、製造業は大きく進展し、県民所得は全国40番台後半から、30番台まで向上した。このほか、県南には富士通塩野義製薬東芝などの工場が立地する。

特に、2008年(平成20年)2月に決定された東芝フラッシュメモリ工場の北上市への建設は、波及効果を合わせると1兆円程度の経済効果があるとされ、県は法人事業税減免や低利融資などを通じて、これを後押しするとしている。東芝が「行政からの融資措置だけでなく、質の高い人材の確保が容易なことが決め手になった」とし、「金のかからない新しい産業誘致モデル」として注目された[31][32]。工場新設に当たって、北上市はこれまでに蓄積した企業誘致と合わせて、法人市民税固定資産税の大きな増収が見込まれることから、国から地方交付税の交付を受けない「不交付団体」への昇格を果たすことになった。岩手県では、かつて製鉄業が隆盛を極めていた時代に釜石市が不交付団体となっていた前例があり、「それに次ぐ快挙」(2008年(平成20年)2月・岩手県知事定例記者会見)と評された。

自動車産業に関しては、トヨタ自動車が、東北地方を新たな生産拠点とする意向を示しており[24]、すでに金ケ崎町に立地する自動車工場も、現行より10万台増の25万台生産規模まで拡大されることが決まっている。自動車関連産業の集積を進めるため、岩手県は、トヨタ自動車東日本が進出している宮城県や山形県、福島県などと連携して、今後も誘致活動を展開していくとしている。
県内に拠点を誘致した主な製造業

この節の加筆が望まれています。

盛岡市


美和ロック

八幡平市


アステラス東海(旧東北山之内製薬)

岩手郡雫石町


小岩井乳業

セイコーインスツル

花巻市


リコー

EN大塚製薬(旧雪印乳業岩手医薬品工場)

北上市


キオクシア(旧東芝メモリ

明治製菓

北上ハイテクペーパー(旧三菱製紙

東京製綱

アイメタルテクノロジー

金ケ崎町


トヨタ自動車東日本(旧関東自動車工業

塩野義製薬

デンソー

奥州市


東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ(旧東京エレクトロン東北

フジキン

関東化学

コンバム

田中貴金属工業

日成ビルド工業

ファインシンター

一関市


LIXIL(旧トステム

日本ピストンリング

ヒロセ電機

宮古市


ヒロセ電機

釜石市


日本製鉄北日本製鉄所釜石地区

SMC

大船渡市


太平洋セメント大船渡工場

久慈市


北日本造船

サービス業盛岡さんさ踊りの様子

観光業の振興に腐心している。2007年(平成19年)には、盛岡市を舞台にしたNHK連続テレビ小説どんど晴れ」が放映され、盛岡さんさ踊りに訪れた観光客が8.7%増えて128万3000人となり[33]、一定の効果が上がっている。2011年(平成23年)には、奥州藤原氏の栄華の遺産「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」(平泉町)が世界遺産文化遺産)に登録された。
交通

県庁所在地の盛岡市は、県内のみならず北東北の広域交通網を束ねる拠点として機能しており、新幹線に接続して北東北各地への高速バスが多数発着するほか、盛岡駅では東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」の分割・併合も実施している。


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