岡山県
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このため、構造的に見込まれる400億円規模の財源不足を解消するため、2008年(平成20年)8月に「岡山県財政構造改革プラン(素案)」[28]を公表した。その際に、歳出削減や県有施設の統廃合について、市町村、県民からさまざまな意見が表明されたことを踏まえ、同年11月に「岡山県行財政構造改革大綱2008」が策定された。この行革大綱の具体的な枠組みは、(1)職員数の削減、(2)組織体制の再構築、(3)職員の意識改革と人事制度、(4)事務事業の削減、(5)公共事業の削減、(6)歳入確保、(7)公の施設の閉鎖・譲渡・集約化、(8)市町村の事務・権限移譲、(9)外郭団体等の抜本的な見直し、(10)効果的な行政評価システムの構築の10分野に及び、これらの取組を2012年(平成24年)度(職員数は2013年(平成25年)度)までに実施することにより、一般財源で396億円の収支不足を解消し、歳入と歳出のバランスが取れた持続可能な財政構造を確立することを目標としている。また、今後の財政運営の目標として、「収入にあわせた予算を組みます」・「県債残高をこれ以上増やしません(プライマリーバランスの黒字化)」・「同規模県と比較してもっともスリムな体制を目指します」・「行革推進債などの緊急避難的な対策による財政運営と決別します」・「今後4年間で改革の総仕上げを行います」との5つの目標を掲げ、この目標に沿った財政運営に取り組むこととされている。
2007年度(平成19年度)

財政力指数 0.54

Iグループ(財政力指数0.5以上、1.04未満)17自治体中15位


2006年度(平成18年度)

標準財政規模 3,978億円

一般会計歳入 6,975億円

一般会計歳出 6,951億円

財政力指数 0.49

IIグループ(財政力指数0.4以上、0.5未満)9自治体中1位


経常収支比率 97.8%(都道府県平均:92.8% 財政硬直化が進んでいる)

実質収支比率 0.3

人口一人当たり人件費・物件費等決算額 13万379円 (都道府県平均:12万4,759円)

実質公債費比率 17.8%(都道府県平均:14.7% 18%を超えると起債に制限)

人口100,000人当たり職員数 1,237.10人(都道府県平均:1,173.11人)

2005年度(平成17年度)に対して2010年度(平成22年度)の総定員数を1,400人程度削減予定


ラスパイレス指数 96.2 (都道府県平均:99.6)

地方債残高

普通会計分の地方債現在高 1兆2,170億円

上記以外の特別会計分の地方債現在高 1,092億円

上記以外に第3セクターなど(財団法人含む)に対する債務保証にかかわる債務残高がある。


2005年度(平成17年度)

財政力指数 0.42

IIグループ(財政力指数0.4以上、0.5未満)8自治体中8位


2004年度(平成16年度)

財政力指数 0.40

IIグループ(財政力指数0.4以上、0.5未満)10自治体中10位


経済・産業

都市化が進み工業の発展する県南部の大部分の市町村は井原市、笠岡市、里庄町を除き岡山市を中心とする岡山都市圏に属する。県北部は山地が広がり人口は比較的まばらである。県南西部の西備地方(ただし矢掛町と浅口市は含まれず、岡山都市圏に属する)は広島県福山市を中心とする福山都市圏である。
第一次産業
農業

農業生産額の割合では、(鶏卵・ブロイラー)が全生産額の23.7%で最も多く、が22.8%、果実が17.5%、野菜が15.3%と成っている[29]蒜山高原で飼育されているジャージー牛

岡山県南部に広がる児島湾干拓地を中心とした岡山平野や北部の津山盆地などでは、古来よりコメの栽培が盛んで、現在に至るまで農産物の中心をコメが占めており、コシヒカリ朝日米ヒノヒカリなどの品種が栽培されている。また、南部では岡山市灘崎地区のナス倉敷市連島地区のレンコンをはじめ大都市向けに出荷される花卉、全国的にも珍しい黄ニラなどが生産されている。

国内産のマスカットの約9割は岡山県で生産されており、明治時代以降は岡山市津高地域・栢谷地区などの丘陵地においてブドウやモモの温室栽培が行われるようになった。全都道府県における出荷量で見れば、ブドウは4位(西日本1位)、モモは6位(和歌山県に次ぐ西日本2位)で全体シェアの5パーセントにも満たないものの[30]、一部の品種に限れば、ブドウのマスカット・オブ・アレキサンドリアニューピオーネ黒大豆の作州黒の生産量は全国トップクラスであり[31]、現在では岡山県の主要な名産品となっている。県内では他にも岡山市東区でお歳暮シーズンの愛宕梨(あたご梨)や鴨梨(ヤーリー)などの果物が全国シェアトップで栽培されており、高い生産技術と穏やかな気候に恵まれ、高品質な商品を生産している。近年、これらの農産物を中国台湾など海外に輸出し、販売する試みがなされている。

畜産においては中国山地沿いを中心に行われ、特に新見市千屋地区で肉牛の「千屋牛」などの和牛が飼育されている。酪農においては蒜山高原(真庭市)ではジャージー牛の放牧が行われ、脂肪分を多く含んだ濃厚な乳を用いた牛乳などを出荷しており、吉備中央町では気候に合わせたブラウンスイス品種の乳を用いて吉田牧場が高品質のチーズを生産している。その他、山田養蜂場を中心として養蜂も行われている。


かつてはイグサコンニャクタバコの生産も盛んであったが、戦後の産業構造の転換により次第に生産量を減らしている。北部を中心とする中山間地域では若者の都市部への流出や高齢化による過疎化が進行しており、農業の担い手不足が課題となっている。

おもな品種
ブドウ


マスカット・オブ・アレキサンドリア

シャインマスカット

ニューピオーネ

瀬戸ジャイアンツ(桃太郎ぶどう)

オーロラブラック

紫苑

モモ


清水白桃

川中島白桃

白鳳




愛宕梨(あたご梨)

鴨梨(ヤーリー)

黒大豆


作州黒


林業

国有林は少なく民有林が9割を占める。温暖で乾燥した気候を好む高級木材のヒノキが多いが、湿潤気候を好むスギは少ない。民有林面積の7割弱がヒノキ林とされている[32]。ヒノキ丸太の生産量は高知県愛媛県熊本県などと並んで上位の常連で1位の年度も多い。

かつては同じような気候を好むアカマツが多く、現在も県の木にも指定されている。これは調理、製塩たたら製鉄などでの薪の過剰利用により植生遷移が退行しマツ類が優勢になった結果であり、岡山に限らず古くから人が住んでいた西日本ではしばしば見られた光景と考えられている。このような環境は高温で燃えるアカマツ材で焼き上げる備前焼などの陶磁器文化にも影響した。致死的な伝染病であるマツ材線虫病(松くい虫)の蔓延に伴い、1970年代以降アカマツ林は減少し一部はヒノキ林へと転換された。

かつてはアカマツと共生するマツタケの大産地でもあり年間500t以上を生産していたが、1960年以降生産量が激減した[33]。2010年代以降は2大産地である長野県岩手県には大きく差を付けられているが、全国生産量は3位に入る年が多い。
水産業

瀬戸内海に面する岡山県では児島湾などで、浅瀬を利用した沿岸漁業が行われており、かつてはサワラタイの中型魚がおもに獲れていたが、明治から昭和にかけての干拓事業による漁場の縮小と都市化の影響による瀬戸内海の水質汚濁が発生し、以前ほどの豊かな漁場は失われてしまった。

しかしながら、現在でも倉敷市下津井港をはじめとしてメバルイイダコカレイなどの好漁場となっており、瀬戸内市邑久町牛窓町などでは複雑に入り組んだ海岸を利用した海苔カキ養殖が盛んに行われている。カキの生産量は全国第2位である。瀬戸内海で獲れる海の幸を用いた郷土料理として、ばら寿司(まつり寿司として駅弁販売)や、たこめし、ままかりサッパの酢漬け)などがある。

また、備前市日生町などでは蛎をお好み焼きに入れた「カキオコ」を新たな名物として岡山県内や他県にPRしており、水産資源を町おこしの契機につなげる新しい取り組みも見られる。


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