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この2つの造山帯はいずれもプレート同士の衝突によって形成されるものだが、そのほかにプレートが生み出され広がり続ける発散型境界においても山脈が形成される。この発散型境界の多くは海底に存在し、海嶺と呼ばれることが多い。大西洋を南北に貫く大西洋中央海嶺などが代表例である。

火山の多くはプレートの拡大もしくは収縮地点の側に存在し、そのため上記造山帯の付近にほとんどの火山が存在するものの、まれにプレート境界とはまったく関係ない場所においてマグマが継続的に供給され火山が成立する場合がある。これはホットスポットと呼ばれ、ハワイ島のマウナ・ケアなどが代表例である。このホットスポットはプレートの動きとは無関係であるため、プレートが移動してもその地点に山岳を形成し続ける。古い火山島はホットスポットから離れるにしたがってなどによって浸食されていき、やがて海面下に没して海山となる[12]

断層運動により断層面から見た一方が上昇または下降することにより山が形成されることもあり、例としては日本の六甲山地[13]養老山地などがある。地殻変動にともなって地面が上昇する隆起により山が形成された例には、日本の北上山地阿武隈高地などがある。

火山活動を成因とする山は、富士山阿蘇山のような活火山のほか、荒島岳のようにかつての火山が浸食されてできたものもある。

上記のようにして形成された山は、またさまざまな理由によって次第に低くなっていく。山を形成している岩石は、山の厳しい気候や長い年月などによって風化していき、その積み重ねによって山は低くなっていく[14]。また、浸食も山を低くしていく大きな要因の一つである。寒冷地や高山において形成される氷河は、山を侵食する大きな原因の一つである[15]。より温暖な地方においては、河川が主な山体浸食の原因となる[16]。このほか、風による風食も浸食の要因となるが、氷河や河川に比べればその役割は小さなものである[16]。また、地すべりや崖崩れなどによってより急激に山体が変化することもある[17]
山の部分名称

上の部分 -
山頂、頂(いただき)、剣が峰(けんがみね、火山の噴火口の周縁・富士山頂)、山巓(さんてん)

中間部分 - 山腹(さんぷく)、中腹(ちゅうふく)

下の部分 - 山麓(さんろく)、麓(ふもと)、山すそ

山の形状

山はそれぞれ特徴のある形状であり[18]、それにちなんだ山名のものもある。

深田久弥は『日本百名山』の著書などで、それぞれの山(槍ヶ岳、開聞岳、恵那山、鹿島槍ヶ岳など)の山容の特徴について詳しく記載している[19]

山の形状の例は以下となる。
鋭く尖った山容
槍ヶ岳剱岳宝剣岳利尻山冠山高千穂峰など
円錐
成層火山富士山後方羊蹄山開聞岳など
なだらかな山容
形の櫛形山恵那山御池岳など
双耳峰
2つの顕著なピークからなる鹿島槍ヶ岳笊ヶ岳池口岳天狗岳由布岳など

鋭く尖った山容の槍ヶ岳

円錐形の開聞岳

なだらかな山容の恵那山

双耳峰の鹿島槍ヶ岳

山の気候と生物タトラ山脈ザコパネ、ポーランド)

山の気候は平地と大きく異なる。山では気象が変化しやすく、風も強く、降水量も多い[20]。山は起伏が激しいため地上付近の暖かい空気と高所の寒い空気が混じりあい、雲が発生しやすいためである。

また、標高が100m上昇するごとに気温は0.6度(摂氏)低くなるとされており、そのため、標高が高くなれば植生や生態系も異なってくる。標高が上がるにつれて植生はより寒冷に適応したものとなっていくため、山麓の低地が熱帯であるのに山頂の植生が温帯性や冷帯性を示したり、さらには森林の生育できる温度を下回ってしまいツンドラ氷河が広がっているということもありうる。

例として、ほぼ赤道直下にあるキリマンジャロ山においては、山麓の標高1,900mくらいまではサバンナが広がっているのに対し、標高2,500m程度までは熱帯雨林、3,000m付近までは雲霧林となり[21]、それより上になると森林限界を迎えてしまうため樹木が生育できず、まばらな低木や草原が広がるようになる。4,400m以上では植物の生育が不可能になり、5,500m以上では赤道直下にもかかわらず氷河が存在する[22]

特に海抜数千メートルの高山では気象環境は過酷であり、ある程度の標高以上では気温が低すぎてもはや樹木が生育できず、そのような環境に適応した特殊な植物・動物が生息している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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