山路和弘
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2022年12月、青年座映画放送を退所後、フリーとなる[15]
活動内容
俳優として

芝居の道に入ったきっかけは元々芝居が好きだったわけではなく、文化祭で演劇を見ても、「恥ずかしくないのかな?」と思っていたという[5]。若い頃は、自分のやりたいことが分からず、色々考え、「自分の体を使ってやれるものがいいな」と思いながらも、欝々と何年か過ごしていた[5]。ある日、偶然どこかの劇団の研究生の芝居を見ており、その男性の芝居などが特別好きだった、というわけではなかった[5]。ただしその時、「芝居ってものがあるんだ!」、「自分じゃない人生をやる、自分の実体じゃないところにふっと行ける、要するに“疑似山路”がどこかにいる世界がある。」と気が付いた[5]。きっかけとしては自己逃避なのか、現実を否定したかったのか、山路自身でも分からなったが、とにかくやってみたところ、こんなことになってしまった[5]。芝居になじみやすく、当時は、人と喋ることが苦手で、自分の考えを言うのが恥ずかしかった[5]。芝居の道に入り、初めて芝居仲間に心情を吐露できるようになった[5]。芝居をしていたところ、役について「この人物って何を考えているんだろう?」などと考え、そうしていくうちに、自分の考えを言えるようになったのかもしれないという[5]。2021年時点ではお喋りだが、未だにあがり症なところはあるという[5]

キャリアは、1977年から青年座研究所の1期生として劇団青年座に入所し[4]、舞台役者として活動を始める。

映画監督である高橋伴明との出会いから、1980年代はピンク映画を中心に活動[16]1981年公開である『襲られた女』(高橋伴明監督作品)、1982年公開の『視姦白日夢』(水谷俊之監督作品)などで主役を演じ、また女優の大竹一重は、インタビューで「濡れ場の上手い最もセクシーな俳優」として、山路の名を挙げている[17]

1982年には、『猟色OL犯す』で映画デビューし[6]、高橋伴明初の一般映画監督作品『TATTOO<刺青>あり』にて一般映画デビューを果たす。

1980年代後半以降は、舞台活動に専念するようになる。

また原田眞人水谷俊之高橋伴明監督作品の常連俳優の一人であり、原田との出会いは本多劇場で山路が舞台に出演していた時、たまたま観客席にいた原田が山路の演技を気に入り、舞台終了後、原田の方からいきなり声をかけられたことがキッカケだという。1999年公開の『金融腐蝕列島〔呪縛〕』に出演予定だったが、その時山路は舞台を2本重ねてしまっており、スケジュールが合わず辞退せざるを得なかった。 そして2001年公開の『狗神』以降、原田監督の映画に出演するようになる[18]

2011年には、ミュージカルである『宝塚BOYS』、『アンナ・カレーニナ』に出演し、その歌唱力を評され、第36回(2010年度)菊田一夫演劇賞・演劇賞を受賞。

2014年には、大河ドラマ軍師官兵衛』にて毛利家に仕える外交僧である安国寺恵瓊役を熱演[19]

2018年には、藤沢文翁原作 一人芝居『江戸怪奇譚(たん)?ムカサリ?』、『喝采』での舞台演技を評され、第59回(2017年度)毎日芸術賞を受賞した。

2019年には、大河ドラマ『いだてん?東京オリムピック噺?』にて、田畑政治が入社する朝日新聞社の当時の社長である村山龍平役を演じ、2020年には『麒麟がくる』にて細川晴元の家臣であり、松永久秀主君である三好長慶役を演じており、2年連続で大河ドラマに出演している[20]
声優として

舞台から役者として活動し始めた山路だが、声優として活動するのは、34歳?35歳くらいからだったと述べている[21]。30年以上前に、あるテレビ局プロデューサーが山路の芝居を見に来ており、山路の演技力を気に入り声をかけられたのがキッカケだという[21]

初めて演じた吹き替えの役柄は悪役で、「演じていて凄く楽しかった」と述べている[21]。元々舞台でも悪役が多かったが、「舞台でも悪役を演じるのは好きだが、その感覚は声優も一緒だと感じたところが面白かった」と語っている[21]

それ以降、ジェイソン・ステイサムをはじめ、ヒュー・ジャックマンラッセル・クロウウィレム・デフォークリストフ・ヴァルツショーン・ペンソン・ガンホキム・ユンソクヴァンサン・カッセルケヴィン・ベーコンゲイリー・オールドマンベニチオ・デル・トロアル・パチーノ[注 1]など多数の俳優の吹き替えを持ち役とする声優としても知られる[21]

吹き替えの重要性について、山路は「最近はアクション映画が多くなっている。芝居が重なり合って、(画面の)手前で芝居をしているのに、奥でも何かが行われている。字幕では絶対に追い切れない今だからこそ、余計に我々がしているこの吹き替えの仕事が必要なのかなと思います」と述べている[23]

山路の演技は声優業界の間でも高い人気と評価を得ており、関智一津田健次郎などから尊敬する人物として挙げられている[24][25]
仕事に対する姿勢
吹替えについて

先輩である家弓家正から「アテレコというのは錯覚だからね。まるでそんなことを喋ってるかのように見せる錯覚を起こす仕事なんだ」と言われた言葉を意識しており外国映画のアテレコは視聴者が「この外人さん、日本語うまいわねぇ」と言ってくれる感覚まで持っていくのが理想だと述べている[26]

こと外国映画のアテレコに置いては「役者の本物の肉体が画としてはっきり見えているので言葉の意味や声だけですべてを表現するべきではない」と言うのが持論で予習も作品を繰り返し観て、元の役者の演技に注視して画を感覚的に体に入れるしかなく台本を読み込み内容を掴んで役の人なりや背景を入れることから初めるのは良い方法とは思えず、むしろ吹替の場合はサブテキストは邪魔で自分の場合は演劇の現場にも役の背景を作っていかないかもしれないと語ったこともある[27]

また、吹替デビューした際に音響監督の山田悦司から「山路君、そんなに作らなくていいよ。向こうがあれだけ芝居を作ってるんだから君は普通に人間として喋ってくれればよい」と言われたこともあり事前にリハーサルで台本から自分の完璧な像を作って行くのはあまり意味のないことだと思うようになったとも語ったことがある[28]

さり気なく息を吐くのと深くため息を付くのでは聞き手が全然違う感情を抱くように『息には表情がある』とのことから注意深く観察するのは吹替える俳優の呼吸と口元であり役者の呼吸に合わせていくと自然と同化していくと語った[29]
悪役について

悪役を演じる際の楽しさについて山路は、「悪役として出てきただけで観客の嫌がる匂いというか、空気を感じたときが自分たち役者としてはそれがたまらない蜜の味になり、悪役には観客がどこまで嫌がってくれるだろうかと追求する楽しさがある」と語った[21]


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