山田は作曲や指揮だけではなく音楽教育にも力を注ぎ、多数の著書を残している。山田が関わった学校音楽教科書、声楽や作曲を学ぶ者へ書かれた専門書は、現在ではすべて新しく出た類書に取って代わられている。とはいえ、大正から昭和の前半においての日本の音楽教育に少なからぬ影響を与えている。
1925年に出版された『生れ月の神秘』は、占星術に凝っていた彼が残した唯一の占い本である。彼自身は外国の本の翻訳だと主張しているが、原書は不明(1972年版のように訳書と断っていないものもある)。誕生月ごとに「性格」「なすべきこと」「短所」「慎むべきこと」「子どもの運勢」について、丁寧体かつ平易な口調で述べられており、再刊と絶版を繰り返しながら今日まで読み継がれている。
2001年に、岩波書店で『山田耕筰著作全集』(全3巻)が刊行されている。これらに未収録の著書も多い。
『新式音程視唱教本』(大阪開成館/1915)
『簡易作曲法』(大阪開成館/1918)
『近世和声学講話』(大阪開成館/1918)
『独唱法提要』(開成館/1920)
『近代舞踊の烽火』(アルス/1922)
『作曲者の言葉』(アルス/1922)
『音楽の法悦境』(イデア書院/1924)
『私の観た現代の大作曲者』(大阪毎日新聞社/1924)
『生れ月の神秘』(実業之日本社/1925→玄理社/1948→有楽出版社/1950→実業之日本社/1972→有楽出版社/2005)
『歌の唱ひ方講座』(日本交響楽協会出版部/1928)
『声楽入門』(日本放送協会東海支部/1929)
『レコードによる洋楽鑑賞の実際』(日本コロムビア蓄音器/1932)
『歌謡作曲法』(日響出版協会/1932)
『児童のための音楽 童話風に書かれた名曲レコードの鑑賞法』(日本コロムビア蓄音器/1932)
『和声学・作曲法』(文藝春秋社/1933)
『音楽論』(玉川学園出版部/1933) - 『音楽の法悦境』の抜粋
『十二楽聖とその代表曲』(日本コロムビア蓄音器/1933)
『音楽二講 声楽独習法と旋律の作り方』(日響出版協会/1933)
『耕筰楽話』(清和書店/1935)
『音楽読本』(日本評論社/1935→玄理社/1948)
『レコードと楽譜による音楽鑑賞指導の実際』(小学館/1935)
『耕作随筆集』(南光社/1937)
『歌曲の作り方』(雄鶏社/1949)
『若き日の狂詩曲』(大日本雄弁会講談社/1951→中公文庫/1996、新装版2016)
『音楽十二講』(山雅房/1951)
『山田耕筰百言集』(日本書籍/1959)
『山田耕筰著作全集』全3巻(岩波書店/2001)
共著
山田耕筰、園田清秀『子供のピアノ I 音の国への話』(一声社/1934) ※II以降は刊行されなかった。
『作曲の実際』(アルス/1936)
『作曲の技法』(婦人画報社/1949)
旺文社編『若き日の思い出』(旺文社/1955)
『十人百話 第3』(毎日新聞社/1963)
『私の履歴書 第三集』(日本経済新聞社/1963)
教え子
成田為三
宮原禎次
清瀬保二
高木東六
團伊玖磨
嘉納愛子
演じた俳優
芦田伸介・野口五郎 - TBS『大いなる朝』 、1979年
AKIRA - 映画『この道』佐々部清 監督、2019年[26]
志村けん - NHK連続テレビ小説『エール』、2020年(役名は小山田耕三)
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 2012年5月、地元の文化市民活動団体『「山田耕筰」と「赤とんぼ」を愛する会』[1]や市内有志、企業などによる市民団体『童謡「赤とんぼ」の碑を建てる茅ケ崎市民の会』の運動により、茅ヶ崎市中央公園内に高さ約2.3mのオルガン型の記念碑が建立されている(2012年3月20日除幕式催行)。