航空機を用いて、空から消火活動を行う。広大な森林や険しい山が多い国では、林野火災の現場まで消防車がたどり着けないことが多く、空中消火専門の消防隊が存在している。国によっては消防隊ではなく軍隊、警察や国境警備隊、山林を管轄する機関、民間企業などが行っていることもある。
スモークジャンパー米国内務省土地管理局のスモークジャンパー
アメリカ、ロシア、カナダで組織されている、遠隔地の山火事の現場にパラシュートで降下し、初期対応を行う消防士のこと。スモークジャンパー(英語版)と呼ばれる。隊員は現地に到着後、難燃剤(英語版)の散布、木を切り倒して防火帯を作るなどの作業にあたる[20]。 ヘリコプターで火災現場に人員を輸送し、迅速な消火活動を行う部隊。ヘリタック 速やかな消火と消火活動の強化を目的として、火を意図的につけて消火する方法。大規模火災において、通常の消火方法では消火不能と判断された場合に最終的手段として使用される[21]。火災進行方向にある可燃物の事前焼却を目的とするバーン・アウト、火災進行方向の変更を目的とするバック・ファイア(迎え火)、バックファイアの拡大を促進するカウンター・ファイアと呼ばれる消火方法がある[21]。 通常は地上の消防隊員により着火されるが、アメリカでは燃料タンクを吊り下げたヘリコプターを用いて、空中から着火することもある[22][23]。 高温の炎と大量の煙によって死亡する。2023年のハワイ・マウイ島山火事では114人の死亡が確認され、アメリカ国内の山火事としては過去100年で最悪の被害となっている[29][30]。 消火に当たる消防士や兵士も犠牲となる[31]。1971年の呉市山林火災では18名の消防士が焼死で殉職している。 2019年のオーストラリア森林火災では、危険とされる基準値の11倍に達する大気汚染が生じ、多くの住民が目や呼吸器の苦痛を訴え衛生担当者が懸念を表明する事態となった。煙は学校へも到達し、子どもたちは早退させられた。この汚染は一ヶ月以上継続している[32]。 アメリカ・カリフォルニア州では山火事による煙で、一時世界で最も大気が汚染された都市となった[33]。 炎は家屋に延焼し住居や車、家畜などの財産が焼失する。2023年のハワイ・マウイ島山火事では2,200棟以上の建物が損壊、 経済的な損失額は30億ドル(約43450億円)から75億ドル(約1兆875億円)の間とも推定されている[34][35]。 山に生息する野生の動植物への影響は大きく、2019年のオーストラリア山火事では約4億8000万の哺乳類、鳥類、爬虫類が死んだと推定されている[36]。豪政府のレイ環境相は「地域に生息するコアラの30%以上が死んだ可能性がある」と発言、地元メディアは最大8000頭のコアラ死亡の可能性を報じている[37]。また川も灰で汚染されることで、大量の魚が死滅する[38][39]。 樹木の焼失により山の吸水・保水能力は低下し、降雨を吸収することが出来なくなる。それによって土砂が流出しやすくなり、大雨のたびに洪水、土砂くずれ、土石流へと連鎖する[40]。 山火事によるオゾン層の破壊が指摘されている[41]。 米マサチューセッツ工科大学などの研究チームは、大規模な山火事がオゾン層を破壊する可能性があると英科学誌ネイチャーで発表。「温暖化によって頻繁に激しい山火事が起きれば、オゾン層の回復を遅らせる可能性がある」と警鐘を鳴らしている[42]。 以上のように甚大な被害を引き起こすため、戦争時には、戦術の一つとして敵国内に山火事を引き起こすことが試みられることもある。第二次世界大戦において、日本軍はアメリカに大規模な山火事を起こすためオレゴン州の山林に焼夷弾を投下した。「アメリカ本土空襲」も参照 日本の法律では、山火事を生じさせた場合以下の法律により処分される可能性がある。 さらに住宅などにも燃え広がった場合、過失致死傷罪なども加わるケースがある[43]。 シリアでは2021年、3人が死亡した大規模な山火事で放火を自供した24人が処刑された[44]。 アメリカ合衆国では、オレゴン州の森林に花火を投げ入れて約194平方キロ以上の森林が焼失する大規模な山火事の発端となった少年(当時15歳)に対し、36661万ドル(約40億円)を賠償するよう求める判決が出た[45]。 また少年には、5年間の保護観察と、林野当局と一緒に1920時間の奉仕活動が課されている[45]。 カリフォルニア州で2017年と2018年に発生し、100人が死亡した山火事では、大手電力会社PG&Eの老朽化した電気設備が火災の原因とされた。同社は被害者から300億ドル超えの請求を受けるとして会社再生法を申請[46]。その後総額135億ドル(約1兆4600億円)の賠償金を支払うことで和解した[47]。 日本国内では立木等の被害に対して賠償を求められた例がある。高知県内の国有林に小型機が墜落、7‐8haのスギ林が燃えた例では、所有者の国が搭乗者の遺族に対して4,500万円の損害賠償を求める訴訟を起こした[48]。
ヘリタック
火を活用した消火
予防アメリカの山火事予防啓発キャラクターのスモーキー・ベア。「キミだけが山火事を防ぐことができる」として山火事の予防を訴えている。
山林への立ち入り禁止 - 新たな火災を起こさせないため、人的被害を防ぐために行われる[24]。
入山者等への啓発:林野庁、各地の消防庁等により啓発活動が行われている。[10][25]
火入れ - 乾季の初めに、植林地に人為的に火入れを行うことにより、草等の地表の可燃物を焼却除去することで、山火事のリスクを低減することができる。しかしカリフォルニア州などでは年間を通して高温で乾燥した状態が続いているために火入れができず、予防が困難になっている例ある[26]。
日本においては、火災警報、強風注意報、乾燥注意報などにより火の扱いに警戒を呼び掛けている[27][28]。アメリカにおいては、Red flag warning
被害山火事と大量の煙燃える樹木
人的被害
直接的な死亡、怪我
大気汚染による健康被害
物的被害
環境への影響
動植物への影響
二次災害の発生焼け跡
オゾン層の破壊
その他
法律
刑事
過失による山火事:森林法第203条第一項違反により罰金(50万円以下)
放火による山火事:森林法202条により、自分の所有する森では七年以下の懲役、他人の森にまで広がった場合は二年以上の有期懲役
民事
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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