展延性
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同様に展性の大きい方から順に挙げると、金、銀、鉛、銅、アルミニウム、スズ、白金、亜鉛、鉄、ニッケルとなる[1]の延性は組成によって異なる。炭素の含有量が多いほど延性は小さくなる。合成樹脂やアモルファス、工作用粘土なども展性があるものが多い。
延性-脆性遷移温度丸い金属棒の引張試験結果の分類
(a) 脆性破壊
(b) 延性破壊
(c) 完全な延性破壊

体心立方格子金属やシリコンなどにおいては、室温で延性破壊していたものが温度の低下に伴って脆性破壊に遷移する、延性脆性遷移現象が起こる。この現象は降伏応力(YS)と劈開破壊の破壊応力の釣り合いにより説明される[3]

延性脆性遷移が起きる温度は延性脆性遷移温度(: ductile-(to)-brittle transition temperature, DBTT)と呼ばれ、材料がDBTTより低い温度にまで冷やされると、力がかかった際に変形せずに破断する可能性が高くなる。例えば亜鉛合金のザマック3は常温ではよい展延性を示すが、零下になるとわずかな衝撃荷重で脆性破壊される可能性が高くなる。材料が応力にさらされる可能性がある場合、DBTTは材料選択時の重要な観点となる。同様にガラス転移点はガラスや重合体での同様の現象に対応しているが、脆性が生じる仕組みは金属とは異なる。

DBTTの定義は大きく、延性破面率50%になる温度である破面遷移温度(: fracture appearance transition temperature, FATT)、吸収エネルギーが上部棚エネルギー(: upper shelf energy, USE)と下部棚エネルギー(: lower shelf energy, LSE)の中間値となる温度であるエネルギー遷移温度(: energy transition temperature, ETT)に分かれる。USEが熱活性過程である塑性変形の仕事を反映したものであり、厳密には温度依存性をもつものの、遷移温度域においては近似的に延性破面率とUSEとLSEで混合則が成り立つため、FATTとETTはほぼ同じ温度となる。

一方、無延性遷移温度(: nil-ductile transition temperature, NDTT)という判断基準もあり、これは延性破面率が≦5%となる温度である。これらの遷移温度は目的に応じて遣い分けられる。

DBTTは中性子線などの外部要因によっても影響を受ける。中性子線は格子欠陥を増大させるため、展延性が低下し、同時にDBTTが高くなる。

延性-脆性遷移現象およびその温度を正確に測定するには、破壊試験が必要である。典型的な破壊試験としては、シャルピーやアイゾットなどの衝撃試験が広く用いられる。
原子炉圧力容器の脆化

展延性に関して、原子力発電所原子炉圧力容器の「脆化」は重要な問題の1つとなっている。中性子線が一部素材の脆化を引き起こし、同時にウィグナー効果によるエネルギー蓄積を引き起こす。このため圧力容器の金属の無延性遷移温度が変化する。このため原子炉圧力容器内に金属試料を置いて定期的に試験するなどして、厳しい監視が行われている。無延性遷移温度の悪化は、特に加圧水型原子炉の寿命を制限する大きな要因となっている[4][信頼性要検証]。

原子力発電所を含めた熱を使った発電施設は、定期的な点検のための運転停止を必要とする。加圧水型原子炉では約18カ月おきに点検を行い、沸騰水型原子炉では24カ月おきに点検を行う。この際に原子炉圧力容器は300℃前後から常温まで冷やされる。火力発電所太陽熱発電所では運用時の温度はさらに高いため、点検時の温度変化がさらに急激になる。この冷却と運転再開時の加熱による温度変化によって、炉の様々な部品の膨張や収縮で各所に一時的な応力がかかることになる。これに中性子線による脆化が加わることを考慮すると、応力がある一定の値以下になるよう設計することが望ましい。

圧力容器が中性子線による脆化によって仕様を下回る性能になっていないことを保証するため、圧力容器の材料と同じ素材の試料を圧力容器内に置き、点検の際にそれらの展延性を試験する。展延性が仕様で定めた範囲にない場合、機械工学原子力工学の専門家が状況について助言する必要が生じる。そして必要に応じて、冷却・加熱にかける時間を延ばす、圧力容器そのものを交換するといった対策を施す。後者は時間とコストがかなりかかる。
脚注・出典^ a b c Rich, Jack C. (1988), The Materials and Methods of Sculpture, Courier Dover Publications, p. 129, .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 0486257428, https://books.google.co.jp/books?id=hW13qhOFa7gC&redir_esc=y&hl=ja .
^ G. Dieter, Mechanical Metallurgy, McGraw-Hill, 1986, ISBN 978-0070168930
^ 例えば、泉山, 茅野, 長井: 鉄と鋼, 100(2014), 704-712.
^Oldest operating US nuclear power plant shut down

関連項目

加工硬化

外部リンク

Ductility definition at engineersedge.com

DoITPoMS Teaching and Learning Package- "The Ductile-Brittle Transition


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