屋台
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1964年の東京オリンピックも機になり、非衛生的な屋台の一斉排除が行われた。また21世紀に入ってから暴力団排除条例の施行により、暴力団への用心棒代を渡す利益供与は禁止され、暴力団員などによる屋台営業の排除も進んでいる。福岡市では、屋台を対象にした屋台基本条例が2013年に制定されている。

しかしその後も、暴力団との関係を隠して屋台の出店許可を得たとして、暴力団関係者が詐欺容疑で逮捕された例がある[9]。2019年2月には、代々木公園の7軒の屋台が暴力団関係者による出店であったとして、東京都から営業許可の取り消し処分を受けている[10]

交通の便が悪くなることや、臭うという理由で住民から嫌われることがあり、工事やイベントで一時的に営業をやめた屋台が同じところで営業を再開しようとしたのを住民達から阻止されたケースがある。高知県の屋台は不許可営業を行っているのではないかと見る業者もある[11]

営業には、食品衛生法に基づく保健所の営業許可や道路交通法に基づく警察署の道路使用許可が必要となる。これら許可を取らないまま違法営業を行う屋台や移動販売も少なからずあり、電気・給水・排水・トイレの確保やゴミ処理等衛生面での問題、深夜の騒音問題、料金を巡るトラブルや、道路を占拠し交通を妨害するなど抱える問題も多くある。
福岡における行政の対応

福岡市では福岡市屋台基本条例、福岡市屋台基本条例施行規則[8]、福岡市屋台指導要綱(平成12年告示第119号)[4]により、屋台の営業についての規則が定められている。

福岡市屋台基本条例

第7条 - 市道等の屋台営業では市道等占用許可、道路使用許可及び飲食店営業許可を受けること。公園の屋台営業では公園占用等許可及び飲食店営業許可を受けること。

第14条 - 市道等許可占用者は道路占有料を納入すること。


福岡市屋台基本条例施行規則

第7条

屋台の規格は、客席、調理場及び器材置場並びに囲いを含めて、間口3メートル以内、奥行2.5メートル以内とすること。

市道等占用許可を受けた場所の占用時間は、屋台及び器材の搬入及び搬出を含めて、午後5時から翌日の午前4時までとすること。

客席や囲いを除く機材で規格内への設置が困難なものについては、間口5メートル、奥行き3メートルの範囲内に、歩行者等の安全な通行の妨げとならないように設置すること。

営業時間外に路上に屋台、器材及び車両を放置する事は禁止される。


福岡県・福岡市・福岡県警察とも、衛生面などの問題から規制を行ってきた。これに対して屋台側は、福岡県議会厚生省(当時)を巻き込んだ抵抗運動を行なってきた。

1962年には、営業許可基準、道路使用許可制度、道路使用取扱要綱などが決定された。1970年代に入ると県警が道路使用許可の名義変更を認めない方針を打ち出すが、1973年に屋台側が県警と交渉した結果、条件付きながら名義変更を認める譲歩案を引き出し、懸案だった名義変更問題も一応の決着を見た。しかし、1981年8月ごろから道路使用許可問題が再燃し、さらに市の屋台に対する基本認識問題も検討継続となった。

1994年10月には、県警が道路使用許可の名義に関して「屋台に関しては営業者一代限り、生計を共にする親族以外へは使用許可を受けた屋台の譲渡を認めない。また、親族であっても屋台以外に収入のある者へは譲渡を認めない」との方針を打ち出し、これ以降の屋台の売買譲渡は不可能となった。

福岡市は、屋台は観光資源でもあることから、道路使用許可の条件に満たない屋台の使用許可に関してもなかば黙認していたが、その存在を法的に認めていたわけではなかった。このグレーゾーン状態を解消するため、1996年から福岡市は「屋台問題検討会」を発足させ、基本方針を検討。2000年5月18日に「福岡市屋台指導要綱」を告示。屋台を合法的な存在と認める代わりに、屋台に関する様々な規制を明確化し、要綱に合致しない屋台の移転・再配置を明示した。しかし、規制を嫌い移転した屋台も多い。2013年には、屋台の大きさや道路を使用できる時間などを明記した福岡市屋台基本条例が制定された。

2017年2月に福岡市の屋台の減少や、悪質な屋台を減らす、名義貸しの問題が課題として、新規に経営者の公募を行うこととなったが、天神地区の組合長が審査用紙を添削していたことが発覚、許可取り消しの経営者が福岡市を提訴した。福岡市は責任を否定している。今後の屋台に対する行政の課題点とされる。公募制の仕組みとしては、福岡市側で出店地区と空きスペースを提示し(ちなみに歩道である)そこに希望者が希望順位を付けて応募するという形で公募する[12]

2017年の屋台公募制から2023年まで公募屋台がそれ以外の屋台の減少分を埋める形で参入しており、屋台数は100前後で数を保っている[13]
東アジアの屋台
台湾の屋台士林夜市

台湾では、早朝から麺類滷肉飯(魯肉飯)、加工品、サンドイッチフレンチトーストおにぎりなどの軽食と豆乳牛乳コーヒーなどを売る屋台が、駅や市場の周辺、商店街などで営業を始め、朝食を取る人が訪れる。昼も同じような場所で、昼食に適した麺類などを売る屋台が出る。一般に都会では人々は朝食は家で取らず屋台で済ます場合が多い。それだけに屋台は人々の生活に密着した存在となっている。

主な都市では、特にホーロー人地区に夕方以降から深夜にかけて夜市(中国語:ye4shi4 イエスー)に屋台が登場する。台湾語では「路邊攤」(ローピータアー, lou7-piN7-taN3-a2)と呼ばれる。路面全体を歩行者天国にするか、あるいは両側の路肩だけを利用した道路の一定区画に屋台が並ぶ。これらの屋台の中には、麺類、揚げ物炒め物煮込み料理、スープ菓子類、カットフルーツジュース、日本起源のたこ焼きおでん(K輪と表記)、どら焼き回転焼きかき氷刺身寿司など多様な食品を提供するところもあれば、衣料品雑貨を売る店もある。また、海老巻き、棺材板阿給カキ料理、カジキ料理、ハタスープ、アナジャコなど、地方独特または地方名物の食品を出す店もある。このため、地元民だけでなく海外からの観光客にも人気が高い。

有名な夜市として、北台湾最大規模の台北市士林地区の「士林夜市」、大同区の「寧夏夜市」、萬華区の「華西街夜市」、松山区の「饒河街観光夜市」、台湾師範大学近くの「師大夜市」、台湾大学本部近くの「公館夜市」、新北市永和區の「楽華夜市」、中台湾最大規模の台中市の「逢甲夜市」、南台湾最大規模の台南市の「花園夜市」、高雄市の「六合夜市」などがある。小都市の夜市は土曜日だけなど限られた日に立つ。
中国の屋台

中国でも台湾に似た形態の屋台が見られるが、売る食品は地域ごとに異なる。たとえば北京で見かける食品では、天津煎餅焼き芋、茹でトウモロコシ甘栗シシカバブなどが多い。上海周辺ではちまきもよく売られている。

地域によっては夕方以降、歩道や広場を使って衣料品、雑貨類を販売する大規模な市場が現れたり、歩行者天国状態にした、食品の屋台街が現れる場所もある。屋台街では、炒め物や揚げ物を中心とした本格的な中華料理を出す店も少なくない。サソリセミなどの揚げ物といった、他の国では見慣れない食品が扱われている場合もあり、地方独特の料理を出す店もある。また、台湾からアイデアを取り入れたソーセージの回転焼き、炒めアイスクリームなどを出す店はたまにあるが、台湾でよく見られる日本起源の食品はほとんど見られない。
香港の屋台大牌?

香港では、「大牌?(広東語 ダーイパーイドン)(中国語版の記事)」と呼ばれる屋台が広東料理を中心に麺類、粥、炒め物などの中華料理を出すが、1980年代以降路上での営業は禁止される地域が増え、基本的に公園の一角のような定められた場所に集められて営業している。ほかに、自動車を利用した移動販売店舗も認められるが、許可取得に要する費用が高く、営業できる場所も制限を受けるため、日本のように一般的ではない。

これ以外に、プロパンガスコンロを仕込んだカート(荷車)を使って煮込み料理、揚げ物、鶏蛋仔という菓子などを売る業者が街角に現れることがあるが、基本的に無資格販売であり、警官がパトロールに現れると、蜘蛛の子を散らすようにカートを押して逃げる姿が見られる。

夜に道路を利用して店舗を出す例では、九龍半島の廟街(男人街)や西洋菜街(女人街)が有名であるが、衣料品や雑貨の販売に限られる。他に深水?の鴨寮街では昼から電気製品や古物を売る屋台が出る。1980年代までは、香港島の上環大?地に大規模な屋台群が出て、プアマンズナイトクラブ(平民夜總會)と呼ばれた。
韓国の屋台韓国のポジャンマチャ

韓国の屋台には、ノジョム(??, 露店)とポジャンマチャ(????, 「布帳馬車」=幌馬車)がある。ノジョムはトッポッキキムパプトーストホットサンドのこと)などの軽食や、ホットクプンオパンなどのおやつ類を販売し、立ち食いが主となる。


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