少年法
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令和元年司法統計年報によると、各処分の比率は以下のとおりである[5]

不処分-9,713件(23.4%)

審判不開始-14,801件(35.6%)

保護処分-13,643件(33.8%)

少年院送致-1,739件(4.2%)

児童自立支援施設等送致-137件(0.3%)

保護観察-11,767件(28.3%)


児童相談所長等送致-115件(0.3%)

検察官逆送-3,281件(7.9%)

年超検送[注釈 1]-1,288件(3.1%)

検察官逆送-1,994件(4.8%)


国民・市民の義務
非行少年発見者の通告義務

家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない。(第6条第1項)

ここで「家庭裁判所の審判に付すべき少年」とは第3条第1項に規定される以下の者である。
罪を犯した少年(※刑事責任が問われうる14歳以上で刑罰法令に触れる行為をした少年)(第3条第1項第1号)

14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年(第3条第1項第2号)(※罪を犯した少年が14歳未満の場合は、
児童福祉法第25条第1項より、児童相談所に対しても通告を行うことになる。)

18歳に満たないで次に掲げる事由があって、その性格または環境に照して、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年(第3条第1項第3号)
保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。(第3条第1項第1号イ)

正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。(第3条第1項第1号ロ)

犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入すること。(第3条第1項第1号ハ)

自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。(第3条第1項1第号ニ)

ただし、14歳に満たない少年(触法少年)の場合は、法第3条第2項の規程により、審判は都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限り行われる。
報道規制
規制の内容「実名報道」も参照

少年法は、「少年」に関する情報の取り扱いを以下のように規定している。

「家庭裁判所の審判に付された少年または少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」

?少年法 第六十一条(記事等の掲載の禁止)[6]

少年法が実名報道を禁止するのは、あくまで、家庭裁判所の審判に付された少年または少年のとき犯した罪により公訴を提起された者についてであり、指名手配者や逮捕者は含まれない。また、「本人であることを推知することができる」というのは、不特定多数の一般人にとって推知可能なことをさし、事件関係者や近隣住民にとって推知可能なことをさすものではない[7]。規制対象は出版社等によるテレビ・ラジオ・新聞等における報道に限られず、個人によるインターネットへの実名掲載も規制の対象となる[8]

マスコミは原則的に、実名報道が禁止されていない場合でも、自主規制を行い匿名で報道する。ただし、永山則夫連続射殺事件など例外も存在する(事件の重大性に鑑みて、実名公表された)。

民法改正により、成人年齢が18歳になるのに伴い、2021年5月21日(第204回国会)に成立した改正少年法では、18歳、19歳を「特定少年」とし、公判廷において起訴された事案については、起訴後に実名報道が解禁されることとなった(2022年4月1日施行)[9][10][11][12]。詳細は「#少年法の歴史と主な改正」を参照
違法な推知報道に関する法的責任

少年事件に関する推知報道をした者は、個別具体的な事情により、少年の名誉・プライバシーを侵害するものとして民法上の不法行為責任を負う可能性がある(最高裁平成15年3月14日第二小法廷判決[注釈 2])。同最判および差戻審の分析からは、少年法第61条に違反する推知報道は、名誉毀損やプライバシー侵害の成否の判断にあたっても違法性阻却がされないことになると考えられる[13]
歴史と主な改正

旧少年法(大正11年法律42号)の下では少年の定義は18歳未満(第一条)、死刑適用限界年齢は16歳以上(第七条)
[注釈 3]といずれも2歳低かった[14]。また、戦時中は戦時刑事特別法があり、少年法上の少年であっても裁判上は少年扱いせずに裁くことも可能だった。


現行少年法は1947年(昭和23年)、GHQの指導の下、米国イリノイ州シカゴ少年犯罪法を模範として制定された。当時は第二次大戦後の混乱期であり、食料が不足する中、生きていくために窃盗や強盗などをする孤児などの少年が激増し、また成人の犯罪に巻き込まれる事案も多く、また性犯罪も激増している。これらの非行少年を保護し、再教育するために制定されたものであって、少年事件の解明や、犯人に刑罰を加えることを目的としたものではなかった[15]


1970年(昭和45年)、法務省は法制審議会に対し、18歳と19歳を「青年」と規定して犯罪を犯した際の処罰を強化することを盛り込んだ少年法改正要綱を諮問したが[16]、法改正には至らなかった。


2000年(平成12年):刑事処分の可能年齢が「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げられた。また、16歳以上の少年が故意の犯罪行為で被害者を死亡させたときは、検察官への逆送が原則となった[4]


2007年(平成19年):少年犯罪の凶悪化や低年齢化に対応するため、少年院送致の年齢下限が現行の14歳以上から「おおむね12歳以上」に引き下げられた[17]。警察官が触法少年の疑いがある者を発見した場合の任意調査権を明文化し、少年や保護者を呼び出して質問できる権限を明記[17]


2008年(平成20年):2004年(平成16年)に成立した犯罪被害者等基本法と整合性をとるため、殺人事件等一定の重大事件において少年の心身に影響がないと判断された場合、被害者が少年審判の傍聴をできる制度が創設された[18]
あわせて、家庭裁判所が被害者等に対し審判の状況を説明する制度が創設された[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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