少年保護手続
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^ 要保護性の意義については、再非行の危険性に保護可能性(後述の保護的措置や保護処分による教育・保護の有効性)と保護相当性(児童福祉法に基づく措置や刑事処分など、保護的措置や保護処分以外の措置によることの妥当性)とを加えて考える通説のほか、様々な説がある。さしあたり、田宮 & 廣瀬 2001, p. 39参照。
^ 非行事実と要保護性との対応関係は、さしあたり、以下のように理解すればよい。すなわち、再非行の危険性は、予測される再非行の重大性と少年がその予測された再非行に及ぶ可能性という2要素に分解できる。つまり、非行事実の軽重は、要保護性と直接対応するわけではなく、予測される再非行の重大性を認定するに当たって過去の「実績」として考慮され、その限りで要保護性の有無・程度の判断に影響する。もっとも、非行事実が著しく軽微・重大であるときは、少年保護手続の刑事政策としての性格、換言すれば、少年や被害者・社会一般の理解を得る必要性を重視せざるを得ず、処遇選択(児童福祉法に基づく措置か、刑事処分か、保護処分か、保護処分を選択するとしても、収容処遇か、在宅処遇かといった選択)が非行事実の軽重との均衡を著しく失していないか(保護相当性)を改めて検討する必要が生じる。前掲廣瀬124頁(前掲百選122頁)参照。
^ 井垣康弘『少年裁判官ノオト』6頁(日本評論社、東京、2006年)は、「調査報告書の記述を決定書に転記して、あっさり少年院に送ってしまう裁判官も多いようだ」と述べる。
^ 「観護の措置」(少年法17条各項)ともいう。
^ これを実務上、身柄引上げ(みがらひきあげ)という。
^ 公訴時効の完成については、犯罪少年に関する説明に付した脚注を参照。
^ 検察官関与決定の制度は、平成12(2000)年の少年法改正により設けられたものであり、その背景にあるのは、山形マット死事件(山形家裁平成5(1993)年8月23日決定、同家裁同年9月14日決定、仙台高裁同年11月29日決定(いずれも未公刊))の審理経過である(前掲澤登1999年66頁)。同事件では、「加害者」7名のうち児童福祉法上の措置がとられた1名を除く6名について審判が開かれ、平成5(1993)年8月の審判においてそのうち3名について非行なしを理由とする不処分の決定が(確定)、同年9月の審判においてその余の3名について関与を認定して保護処分の決定が、同年11月の抗告審決定において7名全員の関与を認定した上で保護処分に付された3名の抗告棄却の決定が、それぞれなされた(民事訴訟に関する山形地裁平成14(2002)年3月19日判決・判時1806号94頁、仙台高裁平成16(2004)年5月28日判決・判時1864号3頁参照)。抗告審は確定審判の非行なしとの認定を誤りと判断したわけであり、誤まった非行なし判断を予防・是正する方法を少年保護手続に設けるべきであるとする議論を促すきっかけとなった。
^ 少年審判規則29条の2ないし29条の4の規定は、流山中央高等学校事件に関する前掲最高裁決定(とりわけ、補足意見中の証拠調べの方法に関する部分)に触発されて実務上広く採用されてきた運用を、制度として確立したものである(前掲澤登1999年74頁、木谷明=家令和典「証拠調べの範囲・方法・限度」95頁(前掲百選94頁)、田宮 & 廣瀬 2001, p. 216)。なお、児童の権利に関する条約40条2項(b)(iv)も参照。
^ 児童の権利に関する条約37条(a)は、18歳未満の者が行った犯罪について死刑または釈放の可能性がない終身刑を科すことを禁じている。国際人権法については、前掲国際連合人権高等弁務官事務所604頁?605頁も参照。
^ 前掲司法統計年報10頁(第6表)によれば、平成13 (2001) 年頃まで少年院送致率が上昇している。
^ 平成17(2005)年中の差戻し・移送人員は23人で、既済人員854人の2.7%にすぎない。最高裁判所事務総局家庭局「家庭裁判所事件の概況?少年事件?」51頁(家庭裁判月報59巻2号1頁)。
^ 実際には、日本の現行法制下でも、名誉毀損侮辱として刑事上・民事上の責任を負うことはあり得る(刑法3条12号、法の適用に関する通則法19条参照)。
^ 前掲澤登1999年76頁は、「報道機関内部の自己規制がもっと進まないと、いずれは罰則の新設が現実化することになりかねない」と述べる。

出典^ 田口守一『刑事訴訟法〔第4版〕』181頁、182頁(弘文堂、東京、2005年)。
^ その背景にある国親思想については、田宮 & 廣瀬 2001, p. 5参照。
^ 澤登俊雄『少年法』10頁(中央公論新社、東京、初版1999年、8版2004年)、田宮 & 廣瀬 2001, p. 26。
^ 廣瀬健二「処遇選択における非行事実の機能・要保護性との関係」(田宮裕編『少年法判例百選』122頁(有斐閣、東京、1998年))、高内寿夫「現行少年法における「責任」概念について」(法制理論34巻5号、2003年、“Takauchi Hisao Home Page”. 2012年7月21日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2007年10月16日閲覧。所収)参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 20、前掲田口186頁。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 35
^ 前掲澤登1999年187頁?188頁参照。
^ 前掲澤登1999年72頁?74頁、浜井一夫「証拠調べ義務の有無・範囲」(前掲百選96頁)参照。
^ 前掲澤登1999年91頁、澤登俊雄『少年法入門〔第2版〕』38頁(有斐閣、東京、2001年)。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 28
^ 『司法統計年報平成18年度少年事件編』8頁?9頁(第5表)(最高裁判所事務総局、東京、2007年、司法統計検索システム所収)。
^ 前掲澤登1999年47頁。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, pp. 55?57、岩井宜子「犯罪少年と責任能力」(前掲百選14頁)参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 55,175
^ a b 田宮 & 廣瀬 2001, p. 57
^ 前掲澤登1999年47頁参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, pp. 61?62。所一彦「虞犯性の内容・程度」(前掲百選18頁)、前掲澤登2001年89頁参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 61
^ 前掲澤登2001年89頁参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 62
^ 後藤弘子「犯罪事実と虞犯事実の関係」(前掲百選22頁)参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 368、前掲澤登1999年55頁。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 185,374
^ 国際人権法については、前掲国際連合人権高等弁務官事務所594頁?595頁。
^ 前掲澤登1999年61頁、渡邉一弘「勾留請求の「やむを得ない」場合」39頁(前掲百選38頁)参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 72
^ 前掲澤登1999年78頁、田宮 & 廣瀬 2001, pp. 114?115
^ 運用の実情については、最高裁判所事務総局家庭局「平成12年改正少年法の運用の概況(平成13年4月1日?平成18年3月31日)」10頁?13頁(東京、2006年、“平成12年改正少年法の運用の概況”. 2022年5月21日閲覧。所収)参照。
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 109
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 108
^ 田宮 & 廣瀬 2001, p. 134
^ 田宮 & 廣瀬 2001, pp. 134?135

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