小隊
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[11] 1670年代のフランス陸軍では、大隊は18個小隊に分割され、3個の射撃単位に分割された。戦闘中の各小隊は交互に発砲と再装填を繰り返す。[12]このシステムは、イギリスオーストリアロシアオランダの軍隊でも使用された[13]
歩兵小隊ドイツ連邦軍陸軍小隊。1個隊は小隊長を含め50名で編成される。

小隊は、士官が指揮を執る最小の部隊である。これは、軍務の経験が浅い者が、隊長になって数十名の部下を指揮することを意味する。それもあって、歩兵が密集あるいは整列して戦った時代に、小隊の役割は小さかった。隊形の変更・前進・射撃などの命令を発するのは中隊長であり、個々の兵士を監督するのは下士官の仕事で、小隊と小隊長は中継点にすぎなかった。

ところが、隊形を崩した散兵戦術が有利とされると、中隊全員が1か所にまとまって戦闘に入る機会は減った。日本では既に日露戦争で小隊を射撃の指揮単位にしたが、戦後は小隊長の経験・能力不足を理由に中隊に引き上げた。しかし結局さらに徹底して細分せざるをえず、射撃の単位は数名レベルまで下りることになった[14]

小戦闘が増えた日中戦争では、小隊長にも複雑な戦術判断が求められるようになった。そのため、実戦経験に乏しい若年の小隊長が、勤務期間や召集期間の長い下士官や古参兵に侮られる場面が出てくるようになった。この種の問題と解決方法は各国とも同じで、小隊の最上位の下士官を小隊軍曹などとして小隊長の補佐に付け、実務上の指導的な役割を任せている。
飛行小隊

空軍においては、英語 "flight" の数ある語義の一つに「(アメリカ空軍の)飛行小隊」がある[15]。日本語でもこれを外来語として導入し、「フライト」と称する例がある。flight はおおむね3機から6機の航空機によって編成されており、大尉指揮官となる。また、flight は2機ずつの編隊(エレメント/セクション)に分割されて運用されるのが通例である。
旧日本軍の小隊
歩兵小隊

歩兵中隊内の小隊は小銃分隊数個、軽機関銃分隊数個から成る。3小隊で中隊を編成する。歩兵機関銃中隊内の小隊は戦銃小隊と弾薬小隊とがあり、戦銃小隊は機関銃1丁を有する分隊2個から成り、弾薬小隊は3分隊から成る。戦銃2小隊、弾薬1小隊で機関銃中隊を編成する。歩兵砲隊内の小隊は歩兵砲1門を有する分隊2個および弾薬分隊から成り、3小隊で砲隊を編成する。
戦車小隊

通常、砲戦車3両、重戦車2両から成り、戦車隊の戦闘単位であり、小隊長の号令または命令によって動作を実行し得る。戦車中隊は数個の小隊および中隊段列から成る。
騎兵小隊

騎兵中隊内の小隊は数個分隊から成り、4小隊で中隊を編成する。騎兵機関銃中隊内の小隊は歩兵機関銃中隊内の小隊の編成に準じる。
砲兵小隊

砲兵中隊(野戦兵中隊、騎砲兵中隊、山砲兵中隊)内の小隊は、砲車1門および弾薬車を有する分隊2個から成り、2小隊で中隊戦砲隊を編成する。十五榴中隊戦砲隊は砲車小隊2個、弾薬小隊1個から成り、砲車小隊は砲車1門を有する分隊2個から成り、弾薬小隊は弾薬車4両から成る。十加中隊戦砲隊はこれに準じるが、弾薬小隊は弾薬車2両から成る。
工兵小隊

歩兵中隊内の小隊の編成に準じるが、軽機関銃分隊無し。
輜重兵小隊

輓(駄)馬分隊数個から成る。
陸上自衛隊の小隊

陸上自衛隊の小隊は自衛隊法施行令(昭和29年6月30日政令第179号)第32条に基づき、平成12年10月27日陸上自衛隊訓令第25号(陸上自衛隊の部隊の組織および編成に関する訓令)第2条により定められている。幹部だけでなく准陸尉陸曹長1等陸曹といった上級陸曹クラスが小隊長を命ぜられることもある[16]
概要

基本的に中隊以下の規模で編制された部隊であり、原則として使用する火器・機材・車両は中隊所有の物を使用するが、整備大隊直轄に編制された直接支援小隊は使用する火器や車両の所有は小隊扱いとなり、当該部隊は実質的に中隊規模として運用されている。また、当該小隊長は外出・懲戒処分に関する権限も有するので通常の小隊とは別格に扱われる[注 2]

小隊編成に関しては以下に記す(雑誌類[17][18][19]に公表されている内容を主体)。
構成

小隊長:1等陸尉?1等陸曹が充てられる、原則として尉官の補職ポストであるが、近年の幹部充足不足もあり陸曹長や上級陸曹課程を教育修了した1等陸曹も補職される場合がある
[注 3]

副小隊長:2等陸尉もしくは3等陸尉で、主に偵察隊隷下の偵察小隊に置かれるポスト[注 4]

小隊陸曹:陸曹長?1等陸曹で小隊の最先任陸曹が指定される。主に小隊長に対する助言や補佐、状況によっては小隊を指揮するために経験の長い上級陸曹が指定される。

指導陸曹:服務指導など、小隊の各種服務関係の指導を行う。大抵は班長の中の最先任者が指定される。

班長:営外・営内者の服務関連の直接的な指導を行う。訓練などにおいては小隊長の命令の下、直接班員を指揮する。

副班長:営内者の指導や訓練において班長を補佐する。

なお通常、小隊の隷下は2個以上の班もしくは分隊が置かれる。





普通科の小隊
小銃小隊陸上自衛隊普通科 小銃小隊の標準的な編制図。

普通科中隊における小銃小隊は、主に2 - 3個小銃班(分隊)で編成される。班は10名、分隊は7 - 8名で編成され、主に小銃や機関銃・無反動砲などの火器を使用して任務に任る。車両は高機動車3 - 4両もしくは軽装甲機動車7両(1個小銃班は2両)で運用される。
迫撃砲小隊

普通科中隊に編成される迫撃砲小隊は2個以上の射撃分隊および観測班となるFOおよび算定・射撃指揮を行うFDCを有し、73式小型トラック2両以上および高機動車1両、73式中型トラック1両などで構成される。重迫撃砲中隊における迫撃砲小隊は2 - 3個射撃分隊を編成し、他にFOとFDCを編成する。重迫牽引車2 - 3両および指揮用として73式小型トラック2両・資材用に73式大型トラック以上で編成される。
重迫撃砲小隊
情報小隊
通信小隊
衛生小隊
施設作業小隊

普通科連隊においては施設作業小隊が編成され施設科任務を行っている。
補給小隊
対戦車小隊

師団などの隷下の対戦車隊および普通科連隊直轄・普通科中隊隷下には対戦車小隊が編成されている。対戦車隊・対舟艇対戦車隊などの隷下小隊編成に関しては当該項目を参照、普通科連隊直轄に関しては79式対舟艇対戦車誘導弾を保有し4個対戦車小隊(1個小隊は2個射撃分隊で発射装置は1個射撃分隊で2個装置)を持つ。普通科中隊隷下は通常2個射撃分隊を編成し、無反動砲分隊と87式対戦車誘導弾分隊などに分類される。
対舟艇対戦車小隊
無反動小隊
特科の小隊

野戦砲高射特科の2つがあるが、基本的に野戦砲は中隊規模以上が基本である。高射特科は射撃装置を搭載した車両3両以上で構成される。
戦砲隊
標定小隊
高射小隊
射撃小隊
機甲科の小隊

偵察を任務とする偵察小隊や通信小隊、衛生小隊などが本部管理中隊に編成される他、旅団などの隷下の戦車中隊においても偵察や施設作業・衛生などの各種支援任務を担う管理小隊を編成している例がある。戦車連隊においては施設小隊が隷下に編成される。
戦車小隊

戦車連隊などにおける戦車小隊は1個小隊に小隊長車含む3 - 4両の戦車で構成される。戦車1両は3名 - 4名の搭乗員で構成されており、戦車小隊3個以上をもって戦車中隊を編成する。
偵察小隊

人員は約30名で構成、本部班の他には2 - 3個の偵察班を隷下に持ち、他の職種における小隊と違い中隊に準じた独立的な運用がなされる[注 5]。偵察隊隷下の偵察小隊長は1尉が補職される他に、他の小隊と違い独立的な運用を行う観点から2尉もしくは3尉の副小隊長職が設けられている。
電子偵察小隊
戦闘偵察小隊

第7偵察隊に3個編成される偵察部隊で、小隊本部、戦車分隊、小銃分隊、迫撃砲分隊からなる。90式戦車、73式装甲車および81mm迫撃砲を装備する。


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