小銃
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通商産業省重工業局次長が解答したところによれば、ライフル銃のうち、半自動あるいは手動式のものは猟銃の範疇に入り、全自動式のもの、あるいは着剣装置が付いているものは小銃に含まれるという[16]

狩猟用ライフル(所持目的が狩猟用であるライフル銃)を所持する場合は猟銃(法的な区分による猟銃であり狩猟目的とは限らない散弾銃や競技用ライフル銃)を10年以上継続して所持しているという実績が必要である。また、狩猟用ライフルは狩猟法の規定により口径が5.9ミリ以下の物は認められない。

競技用ライフルの場合は日本体育協会の推薦が必要となり、射撃大会などの成績により認定される段級位に応じて、エアライフル、小口径ライフル(口径5.6ミリ)、大口径ライフル(口径8ミリ以下に限られ、口径5.6ミリであってもセンターファイヤーの物は大口径として扱われる)が所持できる。この場合必ずエアライフルからはじめなければならず(バイアスロンおよび近代五種用のライフル銃はビームライフルからでも可である)、小口径を経て大口径ライフルへと段位を積み重ねる必要がある。また、推薦要件は手動単発式ライフルのみであるため、小口径・大口径の競技銃はボルトアクションに限られ、狩猟用のような半自動式ライフルは競技用として所持できない(ライフル協会などの推薦が出ないため)。また、狩猟用、競技用共構造として5発を超える装弾が装填できる弾倉を持つ物は許可されない(薬室内1発+弾倉内5発の物は可)。
構造
銃身ライフリングの構造。写真は火砲(戦車砲)の断面九九式短小銃の腔線。下部の逆T字部分が着剣装置詳細は「ライフリング」を参照

現在の小銃はほとんどがライフリング(施条、腔線)を有し、ここから転じたライフルという語は小銃とほぼ同義となっている。また、ライフリングという語自体は古フランス語のRiflerに由来し、元々は「削る」などの意味を持っていた。施条銃身から撃ち出される弾丸は、ライフリングに浅く食い込みながら進む事で回転運動を与えられ、ジャイロ効果により滑腔銃身よりはるかに高い直進性・低伸性を得るため、精密な射撃(狙撃)が可能となる。

ライフリング自体は15世紀中頃に開発されていたものの、いくつかの技術的問題からほとんど普及していなかった。実用的なライフル銃(施条銃)は1740年代にイギリス人科学者ベンジャミン・ロビンス(英語版)によって理論的に発明され、その後のアメリカ独立戦争(1775年 - 1783年)、ナポレオン戦争(1803年 ? 1815年)を通じて実際に運用された。

19世紀に入ると、イギリスで前装式ライフル銃としてベイカー銃ブランズウィック銃が開発されている。この頃までにライフリングの利点は広く認識されていたものの、本格的な普及には至らなかった。前装式小銃にライフリングを施した場合、銃口から弾丸を装填することが非常に困難となったためである。

やがて、一回り小さい弾丸を装填後に押しつぶしライフリングに食い込ませる膨張式弾薬が開発され、これを更に発展させた長形弾丸(ミニエー弾)を用いるミニエー銃の開発(1849年)によって施条銃身を有するマスケット(ライフルド・マスケット(英語版))の普及が始まったのである[17]

なお、近代以降の日本における「小銃」とは、本来は上述のライフリングの有無や前装式・後装式の区分に関わらず、比較的長銃身で個人が携行する銃器の総称であり、欧米における狭義の「ライフル」とは厳密には意味が異なる。
着剣機構

軍用小銃には原則として銃剣を取り付けるための着剣装置が設けられている。着剣装置がない銃ではソケットタイプの銃剣を銃口にかぶせることで着剣できるようになっているものが多く、全長が短いブルパップ小銃によくみられる(通常の着剣装置より銃剣を含めた長さを長くできるため)。

小銃が普及し始めた頃、射撃後の再装填には非常に時間がかかったため、その合間を狙って騎兵による突撃を受けて追い散らされることが多く、これに抗するには槍で槍衾を作る必要があった。1640年頃には銃剣が発明されたことで小銃は槍としての役割を兼ねることとなり、かつて銃兵の天敵であった騎兵にも対処することが可能となった[7]。またかつての小銃は発射速度や命中精度が低く、小銃の撃ち合いだけでは決着がつかず、隊伍が乱れたところで銃剣突撃を行うのが通例であった。現代の小銃は近接射撃能力の高いアサルトライフルが主流であり、かつてほど銃剣は重要なものではなくなった。

大戦中のドイツは生産簡略化のために自動小銃から銃剣を廃し、戦後も威圧的な印象を与える銃剣を用いなかった。しかし現在のドイツの小銃にも着剣装置は備えられている。またアメリカ陸軍においてはルイス・ミレット大尉によって1951年に実施されたものが最後の大規模な銃剣突撃とされており、2010年には基礎戦闘教練(Basic Combat Training)から銃剣刺突の項目が廃止された[18]。しかし銃剣そのものが廃止されたわけではなく、近接戦闘訓練の一環として残っている。
閉鎖機構

初期の小銃は、銃口もしくは銃身の途中から弾丸と発射薬を詰めて使用される前装式が主なものだったが、遮蔽物に隠れたり伏せたままで再装填を行うことが難しいなどの問題があった。1830年代には近代的な後装式小銃の開発が進められ、1836年にはフランス人カシミール・ルフォーショウ(フランス語版)が初めて実用的な製品を開発した。また、同年にはプロイセンのヨハン・ニコラウス・フォン・ドライゼが最初の実用的なボルトアクション式であるドライゼ銃を発表している。後装式小銃は前装式小銃に比べてあらゆる点で優位を認められつつ、一方で当初は閉鎖機構や新型実包(各種薬莢で弾丸・発射薬・着火薬を一体化させたもの)の信頼性に問題があったため、すぐには普及しなかった。1850年代に入ると、技術発展に従い機械部品の精密加工が可能となり、十分に信頼しうる後装式小銃の製造が始まった。1860年代までに前装式小銃はほとんど使用されなくなった[19]

現代の小銃に使用されているのは、各種薬莢で弾丸・発射薬・着火薬を一体化させた実包を用いる後装式であり、薬莢を銃身後端(薬室)部に差し込んで発火させた際に、発射時の圧力で薬莢が飛び出さないよう遊底で閉鎖するためのボルトアクション式をはじめとする各種の方式が考案された。
給弾・装填機構

単発銃の装填時間の長さと、それに起因する時間あたりに可能な射撃数の少なさは大きな欠点と見なされていた。改良のための試行錯誤は早い段階から始められており、初期には複数の銃身および閉鎖機構を組み合わせた多銃身銃がいくつか考案されている。また、これをさらに発展させ軽量化を図ったのが単一の銃身および閉鎖機構と複数の薬室を組み合わせた回転式銃(リボルバー)である。

1860年3月、アメリカでクリストファー・マイナー・スペンサー(英語版)が、最初期の弾倉式連発銃であるスペンサー銃の特許を取得した。スペンサー銃は銃床内に固定式のチューブ型弾倉を備え、7発の実包を収めることができる。装填に手間がかかり、1分間あたり15発程度しか射撃できなかったものの、南北戦争中には強力な銃器として重宝された。同時期にはウィンチェスター銃ヘンリー銃といった連発銃も開発されている。1860年代末、最初のボルトアクション式連発銃ヴェッテルリ銃(英語版)が開発され、その後もチューブ型弾倉を用いる連発銃の改良が進められた。1885年、オーストリア人技師フェルディナント・マンリッヘル(英語版)が尾筒弾倉式あるいは中央弾倉式として知られる形式のボルトアクション式連発銃を初めて開発した。これは尾筒内に固定式弾倉を設けた方式で、チューブ式弾倉と異なり複数発の実包を同時に装填することが可能だった。以後、尾筒弾倉式ボルトアクションは世界各国に普及し、長らく標準的な連発銃の形態として採用されていた[20]

現代の小銃では固定式または着脱式の弾倉に実包を保持する形式のものが大部分となっている。弾薬の小口径化に伴い弾倉の装弾数は年々増加する傾向にある。ひとつの弾倉で50-100発もの実包を保持し、小銃を簡易な分隊支援火器とできる弾倉もある。

初期のチューブ型弾倉式連発小銃、スペンサー銃

初期の尾筒弾倉式連発小銃、マンリッヘル M1885(スロベニア語版)

自動化機構

1880年代には無煙火薬の発明による初速や射程の向上、製銃技術自体の発展を受け、小口径小銃の普及が進んだ。装填や排莢が自動化された小銃、すなわち自動小銃の開発が始まったのもこの頃であり、1882年にアメリカのウィンチェスター社が最初期の半自動小銃を発表しているほか、1908年にメキシコのマヌエル・モンドラゴン(英語版)将軍が開発したモンドラゴン小銃は、初めて軍の制式小銃として採用された自動小銃だった[21]

現代の自動小銃では、主にガス圧作動方式もしくは遅動ブローバック方式の自動化機構が採用されている。
種類
ボルトアクション小銃回転式ボルトアクション直動式ボルトアクション詳細は「ボルトアクション方式」を参照

ボルトアクション小銃(ボルトアクションライフル)は、手動で遊底(ボルト:薬室に弾を送り込み薬室後部を閉鎖する部品)を操作し、薬室の閉鎖・開放を行う火器のことである。日本語では鎖閂式(ささんしき)とも呼ばれる。

ボルトアクション機構はプロイセンのヨハン・ニコラウス・フォン・ドライゼが開発したドライゼ銃で初めて採用された。各種のボルトアクションライフルはドライゼ銃を改良した系譜に連なっている。

19世紀中後半から20世紀中半にかけて多く使用された。手動でボルトを操作して装填するため連射速度は遅いが、単純な構造で堅牢かつ製造コストが安く、高い信頼性と命中精度を有し、単弾威力の割に軽量で、アサルトライフル自動小銃)が普及するまで代表的歩兵銃であった。


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