科学者は、海洋/大気/陸地システムの研究を通して小氷期の原因を2つ同定している。それは太陽活動の衰弱と火山活動の活発化である。研究は気候システムの内部不安定性や人類の活動による影響など比較的不確定性の高い作用を基に進められており、黒死病が蔓延した時期におけるヨーロッパの人口減少とその結果生じた農業生産の低下は小氷期を長引かせたと推測する向きもある。 小氷期の中頃の1645年から1715年にかけては太陽黒点が示す太陽活動は極端に低下し、太陽黒点が全く観察されない年も複数年あった。太陽黒点活動が低下したこの期間をマウンダー極小期という。太陽黒点活動の低下と気温の寒冷化を結びつける明確な証拠は提示されていない[2]が、小氷期の中でも最も寒さの厳しかった時期とマウンダー極小期が一致する事実は因果関係の存在を暗示している。この期間における太陽活動の低下を示す他の指標としては、炭素14(14C)とベリリウム10(10Be)の存在比が挙げられる。 小氷期の全体にわたって、世界各地で広範な火山活動が記録されている。火山が噴火した時にその火山灰が大気上層に達し、地球全体を覆うように広がることがある[9]。この灰のベールが日射をある程度遮り、噴火後2年にわたって全世界の気温を引き下げる。さらに火山ガスの成分であるSO2が噴火の際に大量に放出されるとこのガスが成層圏に達したときに硫酸の粒子に変化し、太陽光線を反射して地表に届く日射量をさらに縮小させる。1815年に起きたインドネシアのタンボラ火山の噴火は大気中に大量の火山灰をばら撒き、翌年の1816年は「夏のない年」として記録されている。このときニューイングランドと北ヨーロッパでは、6月と7月に降霜と降雪が報告されている。 1850年代が始まると世界の気候は温暖化に転じており、小氷期はこの時点で終了したと述べられている。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}何人かの科学者[誰?]は地球の気候は未だ小氷期からの回復の途上であり、この状況が人間のもたらした気候変動に関連する諸問題に寄与していると考えている。 英国ノーザンブリア大学のジャルコヴァ教授が2015年に発表した研究では、2030年代には太陽活動が60パーセント低下し地球の温度も急激に低下、370年間にわたって極寒の時代が続くという記事が科学雑誌に載った[10]。しかし、教授自身は、小氷期の可能性を否定はしないながらも、自分の研究は気候変動についてのものではないとのべている[11]。
太陽活動
火山活動
小氷期の終わり
小氷期の再来
脚注[脚注の使い方]^ “2019 years
^ a b c 小倉 2016, pp. 274?276.
^ Khim, B.-K.; Yoon H. I.; Kang C. Y.; Bahk J. J. (November 2002). ⇒“Unstable Climate Oscillations during the Late Holocene in the Eastern Bransfield Basin, Antarctic Peninsula”. Quaternary Research 58 (3): 234?245. ⇒http://www.ingentaconnect.com/content/ap/qr/2002/00000058/00000003/art02371.
^ “ ⇒Ice Core” (英語). National Centers for Environmental Information (NCEI) (2020年10月1日). 2022年8月21日閲覧。
^ Historical CO2 Records from the Law Dome DE08, DE08-2, and DSS Ice Cores
^ “IsoLab
^ Broecker, W.S..; Sutherland, S.; Peng, T.-H. (1999). ⇒“A possible 20th-Century Slowdown of Southern Ocean Deep Water Formation”. Science 286: 1132?1135. ⇒http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/286/5442/1132.
^ “アーカイブされたコピー
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