アニメ『ルパン三世』シリーズにおいては、メインキャラクター5人のうち小林のみが1969年のパイロット版から2021年までの50年以上、一貫して次元大介役として出演[注釈 3][35]。数多くの作品に出演する中でも、特に「小林清志といえば次元大介」と言われ、自他共に認める代表的キャラクターであった[56][57]。
2019年に原作者のモンキー・パンチが死去して以降は、アニメ『ルパン三世』の製作に最も長く携わる人物となっていた[56]。 モンキー・パンチによると、元々次元のイメージは映画『荒野の七人』に出演したジェームズ・コバーンであり[58]、そのイメージからコバーンの吹き替えを持ち役としていた小林が次元役に決定したということである[59]。そのため、他のメインキャラクターと異なり次元役の候補者は、小林のほかにいなかったという[48]。 小林は原作について「以前からチラチラ読んだことがあった」と述べており、「まさか、自分が関わるとは……。それでも二枚目というより、洒脱(しゃだつ)でダンディーな次元は、やりがいのある面白い役だとそそられました」と起用された当時を回想している[60]。 小林は『ルパン三世』について「こんな人気作になるとは思わなかったね。昔は色々な仕事のうちの一つぐらいに思っていた」と振り返っており[19]、2014年時点では今後について「制作の人の判断」としつつも、「できる限りやらせてもらいたい」「ダメになったら俺からやめるよ」と発言していた[61]。また、「ルパンの伝統を託されたと思って、歌舞伎の十八番のようにいつまでも演じ続けたい。昔のルパンが持っていた魅力を残していきたいね」とも発言していた[53]。なお、2011年にメインキャストの交代があった際は、次元も交代となる予定が「どうしても適任者が見つからない」という理由で続投となっている[62]。 小林のコメントによると、次元の声は完全に地声であり、今まで演じてきた役の中で、最も無理をせずに自分にとって楽なトーンでしゃべれる役だという。意識していなくても他人から「次元ですね」と言われることもあるといい、これに関しては「役者冥利に尽きる、ありがたい話だ」と喜びを表している[19]。また、「次元は自分の集大成であり代名詞的な存在」とも語り[63]、インタビューではよく「自分の分身」だと語っていた[56][60]。 次元を演じ始めた当初については「次元の持つ『鋭さ』を出すのが難しかった」といい、「葛藤を通り過ぎると自分のものになったというか、自分が次元に近づいていった」と述べている[64]。また、次元を演じる際は「おこがましい話」としつつも「俺がしゃべれば次元だ」「俺が演じる次元が次元大介なんだ」という自負やプライドを持ちながら取り組んでいたという[60][65]。 1990年代からは、別作品でも次元を意識した役を務めることが多く、1999年には「そういう(次元大介調で、という)注文が多いんだよね」と語っていた[66]。また、バラエティ番組のナレーションでは次元がナレーションをしているように捉えられる演出がされることもあった。 『TV第2シリーズ』以降、長らく共演したレギュラー声優陣については2008年に「チームワークが良くジャズバンドのようだ」と話し、「気心の知れた共演者の声に対して、自然な声で応える。たまにはハプニングを起こしてみたり。台詞のいいやりとりになれば、作品を見ている人も退屈させない、楽しい声のセッションになる」と語っていた[50]。 『ルパン三世』の中で一番好きな作品は、テレビスペシャル第4作の『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』だといい、理由は「次元が活躍する作品で、ロマンスもある」からとのこと[64]。 初代ルパン役の山田康雄を「ヤスベエ」と呼び、プライベートでも親しい交友があった。小林は山田について「役者としては対照的な存在で、出会った頃は(ルパンと次元として)コンビを組むと思わなかった」と述べていた[67]ほか、同業者で特に認めていた人物に挙げ「本当にいいやつ」と語っている。また、山田の没後に彼が専属で担当していたクリント・イーストウッドの吹き替えをいくつかの作品で引き継いでおり、「ヤスベエと自分の演技は違う訳だが、創り上げたものを無駄にはしたくない」と、不自然にならない程度で山田独特の発声を意識しながら演じたという[68]。 2019年にモンキー・パンチが死去した際は「あなたは 俳優小林清志 私を育ててくれた親であり、そして戦友でした」「どうぞ 栗田貫一はじめ いま在る戦友たち そしてルパン三世に関わる仲間と共にもう少しこのめくるめくルパン三世の世界で遊ばせておいてください」と追悼のコメントを発表している[69]。 2021年9月7日、アニメが放送50周年の節目であることや88歳の高齢であることなどを理由に、次元役の勇退を発表[29][70]。
起用
エピソード
勇退
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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