小児科学
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指さしには反応するし、おいでおいでとするとハイハイでやってきて頂戴という動作も行う。1歳の時点ではパパといえたとしても母親もパパと言ったり確信できない要素がかなり含まれるが1歳6か月位になると感情表出もできて「いや」と表現したり二語文が出現したりする。2歳の時点ではこれらが完成していることが多い。

行動の発達では、デンバーII発達判定表が有名である。

粗大運動(体幹)微細運動(四肢)言語社会性
1か月顔を左右に向ける
3か月首が座る、腹臥位で顔をあげる。手を口に持っていく、ガラガラを握る声をだして笑う、声の方に振り向く、追視する母の顔をじっと見る
6か月寝返りをする、お座りをする物を手から手へ持ちもちかえる、顔に布をかけると取るバババと喃語を反復母親を識別し人見知りをする
10か月ハイハイをする、つかまり立ちをする母指、示指でつまむ、箱から積み木を出す名前を呼ぶと振り向く、物まねする母のあとを追う
1歳ひとり立ちをする箱の中に積み木をいれる意味のある単語を2つ以上言う、バイバイの動作をする
1歳6か月手を引くと階段を歩く積み木を2つ積める、なぐり書き単語を表現する、身体の部分を指すコップを使って飲む
2歳階段を歩く、平地を走る積み木を4つ積める2語文を話すスプーンを使う
3歳片足立ちをする、三輪車をこぐ丸を書く、くつ、上着を脱ぐたずねると名前が言えるはしを使う、パジャマが着られる
4歳ケンケンができる四角を書く、はさみが使える自分の名前を読むかくれんぼ、じゃんけんができる
5歳スキップする、ぶらんこを立ってこぐ三角をかく、はさみで線の上を切れるしりとりができる友達と競争する

健康診断

成長、発達をスクリーニングするサービスとしては健康診断があげられる。日本の場合は1か月検診にはじまり、3か月・6か月・9か月・12か月・3歳児の健康診断がある。Ameriacan Academy of Pediatricsでは2週間・1か月・2か月・4か月・6か月・9か月・12か月といったように回数が多いのが特徴である。この回数の違いは正常分娩児の入院日数に関係していると考えられる。米国の場合は経腟分娩ならば2日間、帝王切開ならば4日間の入院期間であるが、日本は5日?7日間の入院期間がある。そのため日本では新生児に関しても十分な診察を行う時間的余裕もあり、母乳の指導や黄疸の評価まで行うことができる。そのため、健康診断の回数を少なくできるとされている。アメリカでは哺乳指導や夜泣きの対応、マタニティーブルーや産後うつ病のリスクについてなどの指導を健康診断で行うが、日本では出産入院中の母親学級で行われる場合が多い。下痢、嘔吐、黄疸、発熱、発疹、結膜炎出現時は医療機関受診とし、それ以外は1か月健診まで新たに指導を加えることは一般的ではない。母親の1か月健診では産後うつ病のスクリーニングとしてエジンバラ産後うつ病自己評価表の記入なども行われる。
歩行

歩行に至るまでの経緯は、定頚(首が座ること)→座位→這う→立位→歩行という順序をたどる[2]。個人差、環境要因などでこの順序に従わない場合もある。たとえば、シャフリングベイビー(いざり児)は四つん這いにならず座位のままで移動を開始し、やがて歩行に至る。デンバー発達判定法によると1歳5か月過ぎになると90%の子供は上手に歩けるようになる。歩き出す時期が正常であってもペタペタ歩行、内反歩行(うちわ歩行)、外反歩行(そとわ歩行)、尖足歩行などが認められた場合は筋疾患、脳性麻痺運動失調、骨格異常が認められる可能性があり精査が必要となる。
摂食詳細は「 離乳食#離乳の進行」を参照

新生児は、母乳または粉ミルクで栄養を摂取する。母乳は分娩後4?5日頃までに分泌される初乳に分泌型IgAや抗菌成分が含まれている[5]。成長に伴い母乳や育児用ミルクの乳汁だけでは不足するエネルギーや栄養素を補完するために幼児食に移行する。これが離乳である。子育てには文化があり、医学的な根拠は見出しにくいが、吸啜反射が4か月ほどで消失してくるため、この頃から6か月あたりで間離乳食の導入が行われるのが一般的である。栄養の観点からは12か月までには主たる栄養を母乳以外の離乳食にて行われることが望ましいとされている。
排泄

排泄コントロールに関しても文化がある。かつては日本は物質が乏しかったため極めて早期に排泄の自立を促してきた。トイレットトレーニングはかつては大便は4か月、小便は12か月より開始していた。しかしこの方法では、一定の割合で脱落し、おむつ使用に戻る例も見られていた。夜間の大便、日中の大便、日中の小便、夜間の小便という順にトイレットトレーニングを行う2歳過ぎからトレーニングを始めれば4歳で77%、6歳で91%がひとりで後始末ができるようになる。これ以前にトレーニングを行っても平均的にはほとんど変わらないとされている。
新生児疾患詳細は「新生児学」を参照
新生児呼吸窮迫症候群 (RDS)
新生児呼吸窮迫症候群(しんせいじこきゅうきゅうはくしょうこうぐん)は、のII型肺胞上皮細胞から分泌される肺サーファクタントが足りないために、肺胞の表面張力に負けて肺が潰れてしまうことによって起こる症候群である。呼吸の呼気終末期に肺が縮んだ際に、肺胞が肺胞の表面張力に負けて潰れてしまう。肺胞が潰れるとその肺胞への血流が減り、サーファクタントの産生が低下し、さらに表面張力が低下するという悪循環に陥る。症状としては肺が潰れないように小さく頻回に呼吸をする。頻回に呼吸することを頻呼吸と言う。肺が潰れないように肺が大きめの状態を平均とした呼吸をする。大きい状態からさらに息を吸うために、お腹が目立って凹む。お腹を凹ませながら呼吸することを陥凹呼吸と言う。肺が潰れないように息を吐くときに喉と口を閉じ気味にして、呻る時と同じ様に息こらえをしながら息を吐く。息こらえをしながら息を吐くことを呻吟(しんぎん)と言う。肺の酸素化が充分でないためにチアノーゼを来たす。検査としては胸部レントゲン写真検査では機能している肺胞に潰れた肺胞が混在して網状顆粒状陰影(もうじょうかりゅうじょういんえい、reticulogranular)が見られる。これは新生児呼吸窮迫症候群に特徴的な所見である。肺胞が潰れるために気管支のみが浮き彫りになって気管支透亮像が見えることもある。治療はサーファクテンの肺内注入が著効する。
胎便吸引症候群 (MAS)
胎便吸引症候群(たいべんきゅういんしょうこうぐん)は、胎便を肺に吸い込んで起こる症候群である。
肺成熟不全症(Wilson-Mikity syndrome、Mikity-Wilson syndrome、ウィルソン・ミキティ症候群、ミキティ・ウィルソン症候群、泡状肺症候群)
生後2?3週間後に呼吸促迫症候群に似た症状を示す。
先天異常・奇形

奇形症候群とも呼ばれ、身体のいずれかに複数の奇形を一定の傾向をもって持つもの毎に病名が付けられている。ほとんどは遺伝子に問題があるため発症すると考えられ、近年遺伝学の進歩で多くの遺伝子が解明した。身体の発生の終了した出生時点ではすでに症状は固定しており、一般的に治療法は少ない。一部の疾患では脳外科形成外科的な手術にて機能や整容を直すこともある。強い知能・身体の障害のある場合は療育やリハビリテーションの対象となる。

特徴的な外見や多くの例に認める知能障害のため社会的差別の対象となりやすいため過去から多くの問題をよんできた。また、ダウン症候群は比較的頻度が多く物語も多く作られてきた。しかし知能に問題のある症候群も多いのは確かではあるがすべてではない。知能に問題がある場合が多いのは神経の発生・分化・代謝に多くの遺伝子がかかわっているためと考えられる。知能への影響が比較的多いため、小児神経科医が臨床では担当することが多い。

病名の定まっていないものも実際にはたくさんあり、定まっているものだけでも4000種類以上ある。臨床上専門医が比較的多く認めるのは200種類程度と考えられる。分類がはっきりと定まっているわけではないが以下に分けて記載する。


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