小中一貫教育
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

職員の会議が多くなり、職員の負担が増加する[12]

単元や授業の区切りごとに行ってきた小学校段階の試験が、定期考査での評価に移行することで小学生へのストレスが生じてしまう。

中高一貫教育(中等教育学校制度等)との整合性がない。一つの自治体や地域の中に小学校、中学校、中等教育学校(中高一貫校)、義務教育学校が併存することになる[5]。義務教育学校前期課程から中学校または中等教育学校への進学は原則として妨げはないものの、一貫教育の途中で転校や進学をすることは、9年間の小中一貫教育を目的として教育方針を打ち出している本来の小中一貫校の教育趣旨とは異なる。また、中高一貫校への進学率が高い地域などでは、一貫教育の途中で他校への進学や転校を無条件に認めていると小学部と中学部の間に質や数の差が生じ、小中一貫の本来の教育趣旨を自ら否定することにもなりかねず、現在主流の6-3-3制や6-6制の教育制度の中において9年制の小中一貫校の存在意義も曖昧になりかねない[注 3]

一貫教育の目的として教育課程の連携やギャップの解消を標榜しているにもかかわらず、公立の小中一貫校の場合、高等学校には接続されておらず、高校受験や進学手続き等は現行の公立中学校の制度と変わらない。なお、私立では12年一貫教育が行われているものの6-3-3制の学年区分に合わせた小・中・高の各組織に校長を置き、それぞれ入学者選抜(選考)、入学、卒業を行っている場合がほとんどである。

義務教育学校では一人の校長が9つの学年の校務を一人把握しなければならない。

マンモス校化しやすい(先行の小中一貫校の中には全校児童生徒1500人の学校もある[13])。都市部の学校では顕著になる。施設一体型の小中一貫校がマンモス校化した場合でも、統廃合前の用地が処分されている場合、再び元の小学校、中学校に戻すことは困難になる。

施設一体型では学校統廃合が伴う。それに伴い学区が広域化することで通学距離が長くなる場合もある。18校の小学校、中学校が統廃合されて6校の小中一貫校になった地域の例もある(実質12校の廃校)[14]

体育館プール等の施設利用の調整が困難になる(活動の異なる9学年で調整しなければならない。プールは小中学生で水位が異なる。全校一斉に行う行事等の大規模化など)、中学生のクラブ活動(部活動)により小学生が放課後に体育館を使えない施設もある[15]

小学生が中学生の悪影響を受けやすくなる恐れがある(暴力などの非行の低年齢化やいじめなど)。

小中学生が接触することにより感染症インフルエンザ等)が小学生から受験期の中学生に感染しやすくなってしまう。また、指定感染症等による休校の場合、影響が9学年(小学1年生?中学3年生)に及んでしまう恐れがある。

制服のある小中一貫校では小学生と中学生で統一した制服や持ち物(バッグ等)をそろえなければならず、現行の小学校・中学校で用いられているような標準服等に比較してコストがかかる[16]。小学生段階から中学生に合わせた制服や持ち物に統一している小中一貫校も少なくない。中学生と同様に校則の書かれた児童手帳の携帯義務、小学低学年段階の児童にスカート丈を指定、斬新なデザインの制服、校章の入った指定品を着用させる、頭髪規定等の詳細な校則を適用している公立の小中一貫校もある。

判断力のまだない小学生に中学生と同じ校則を適用することで校則問題が潜在化し、小学生へのストレスが増加してしまう。

世間一般に「義務教育学校」という名称に馴染みがない。また、正式名称として「学園」のみ(「学校」という文言を含めない)の名称を用いると、一般に認識されている他の政策的施設(福祉施設少年刑事施設等)と判別がしにくくなる。

私学の一貫校と競合している地域では、民業(私学)を圧迫する。

小学部から部活動がある場合の問題

地域のスポーツ少年団活動や習い事との調整が必要になる。

部活動選択の時期が早いと適性を見極める機会も早期化せざるを得ない。早期に始めたとしても、入学者選抜(スポーツ推薦等)も無く体力格差も大きい一般住民の児童が集まる公立の義務教育の学校では、圧倒的多数を占める平凡的な能力の児童への対応がメインとならざるを得ない。

小学生と中学生の実力の差は大きく、統一した活動は難しい。

小学高学年段階から入部する場合、最上級生になるのに4年かかり下積み期間が長くなる。適性と合わない部活動であっても辞めることが困難な場合、長期間我慢しなければならない。その一方で、最上級生は年齢も能力も異なる4学年分の下級生を含む部をまとめなければならず、受験期も重なって負担が大きくなる。

中学生の影響が大きいと、従来の中学生の悪しき部活動文化が小学生へ移行する(いわゆる「ブラック部活」の問題)。

小学生の部員に実力があったとしても中学生と一緒に大会に参加できない(参加資格がない、年齢制限)。

など
小中連携

小中連携とは、小学校および中学校が各々別個である「6・3制」を前提に、教育課程および制度をそのままにして、教育課程及び教育目標の共通部分に関し、協同する取り組みを行い、小学校と中学校の教職員の交流や連携を密にしていくことをいう[17]
小中一貫教育に関する教員免許資格

教育職員免許法 の規定により、小学校教諭一種免許状および中学校教諭一種免許状の両方を併せ取得する方法は、次の通りである[18]

教科に関する科目についての単位修得方法

小学校の全教科(国語社会科算数理科生活音楽図画工作体育及び家庭)の9教科に関する科目のうち、1以上の科目区分について8単位以上を修得(標準的には、1教科に相当する科目区分あたり2単位の4教科以上の履修となる場合が多いが、そのうち1教科区分については、音楽、図画工作、体育から選択必修とされている)

受けようとする中学校の免許教科について1免許教科ごとに20単位以上を修得


教職に関する科目についての単位修得方法は、小学校教諭一種免許状の41単位及び中学校教諭一種免許状の31単位であり、小学校教諭一種免許状と中学校教諭一種免許状との間での教職に関する専門科目の単位の修得方法の相違点は次の通りである。

教育の理念並びに教育に関する歴史及び思想のうち教育原理については、幼稚園・小学校の教育を中心とする初等教育原理と、中学校・高等学校の教育を中心とする中等教育原理の両方の単位修得を必要とする。ただし、1科目の中に、初等教育に関するものと中等教育に関するものの双方が含まれている事が課程認定されれば、この限りではない。

幼児・児童・生徒の発達及び学習の過程のうち発達心理学の単位修得については、幼稚園・小学校用の児童心理学と中学校・高等学校用の青年心理学については、小中間でダブルカウントできない。児童心理学及び青年心理学に関わる内容の双方を包括し、なおかつ心身に障害のある児童・生徒に関する内容(特別支援教育における、児童生徒の心理、生理・病理に関する内容を包括すること)を含めることで、課程認定されれば、同一の科目で対応は可能。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:37 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef