尊称
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平様は崩された字体で、目下の者に使われた[5]。現在は通常の「様」を誰に対しても用いるのが一般的となっている。「さま」や「サマ」などのように仮名で書いた場合、親密度は増すが敬意はかなり落ちるので、相手を選んで用いる必要がある。ビジネスでは目上には失礼に当たるので、漢字で書くのが無難である。[要出典]
殿(どの)
職務上の連絡や公的な用件(事務連絡や公的文書)で使われる場合「様」を「殿」に転化することがある。もっぱら書き言葉で用いられ、文書の上では「殿」とついている相手に対しても、会話では「様」に戻る。役職名に続けて用いることがある(例:部長殿)。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}ただし「○○部長殿」のように「姓+役職名+殿」のように用いるのはこの場合の役職名は敬称である(後述)ことから二重敬称であり、誤りである。正しい使用方法は、「姓+役職名」(口頭や通常の文書)か「部署名+役職名+姓名+殿」(形式張った文書)である[要検証ノート]。古くは「地名+殿」と記すことでその土地に殿(邸宅)を構える貴人を指す敬称であり身分の高い相手に対して用いていた。現在では事務的・公的な文書に限られることが多く、私信においては目下へ用いることはあるが目上へ用いることはほぼない[6]。近年では、役所等から個人に送付される郵便物等の敬称が「殿」から「様」へと変えられつつある[7]。対して市民から役所(市町村長等)への文書では、今日「殿」が私信として適さないことから「公私混同厳禁の公務員」という公的立場を強調するためにあえて「殿」が用いられる。公的な申請書・届出書等の用紙には最初から「殿」が記載されていることもあるが、「○○市長+姓名」で済ませる形式もある。どん殿の九州地方での方言。(例、西郷どん)
さん
最も一般的な敬称。口頭でも文書でも使われ、どの場面でも用いることに違和感が少ない敬称。一定の距離がある相手や、初対面で自分との関係が量れない相手にも付ける。一般的な
親族の呼称の接尾辞。「父さん」「母さん」「兄さん」「姉さん」「祖父さん」「祖母さん」「叔父さん」「叔母さん」など。役職名や職名に続けて用いることも一般的。「社長さん」「店長さん」「お巡りさん」「キャディーさん」など。店の種別名につけることも一般的。「呉服屋さん」「ラーメン屋さん」「おもちゃ屋さん」など。ビジネス現場では、「○○商事さん」など相手の団体名に付けることも多い。生き物の種別名につけることもある。「猫さん」「象さん」など。
ちゃん
話者より歳下の子供や女性あるいはペットに愛情を込めて用いることが多いが、同輩や年長者に用いられることもある一般的な敬称。女児に用いられる場合が多いが、幼い男児に用いられる事もよくある。大人子供関係なく親しい友人同士が使う事もあり、「さん」よりも距離が近いので、親しくなりたい相手に対して使うこともある。一般的な
親族の呼称の接尾辞。「父ちゃん」「母ちゃん」「兄ちゃん」「姉ちゃん」「祖父ちゃん」「祖母ちゃん」「叔父ちゃん」「叔母ちゃん」など。芸能界(芸能人ではなく制作関係者、いわゆるギョーカイ)でも姓にも付けて用いられる。年齢や立場による使い分けを省くため。
っち
ちゃんの短縮系と考えられる。
氏(し)
肩書きを別にして紹介する時に使用し、一般的に話し言葉ではあまり使われず、書き言葉または報告や報道といった改まった場面で用いる。主として男性に多用されたが現在では女性に対して用いることも多い。また、古風には「うじ」とも読むが(用法は同じ)、通常ではほぼ使われない。
女史(じょし)
社会的な地位が高い女性に対して用いる女性用の敬称だったが、現在では死語となっており、場合によって揶揄的にのみ用いられる。しかし、稀に書籍(特に和訳されたもの)において本来の意味で用いられる場合がある。この事は「共同通信社」出版の1997年版『記者ハンドブック』から「差別語、不快用語の項目の5」にて「性別を理由にした社会的、制度的な差別につながらないよう注意する」と差別用語に追加されている「性差別語」に含まれており[8]、マスメディアにおける表記ガイドラインにおいて、「女史」は使用せずに「氏」「さん」を用いるようにと示されている[8]
刀自(とじ)
年配の女性に敬意を込めて用いる。「刀自」単独でも名前に付けても用いられる。
君(くん)
名前の後ろに付けるのは、「さん」や「ちゃん」と同様である。同輩か目下に対して用いる事が多いが、仲の良い先輩に対して使われることもある。
男性に対して使われることが多いが、上司が部下を呼ぶ場合など、女性に対しても使われる。また、親しみのある者に対して用いる事もある。元々は吉田松陰松下村塾で身分の差なく対等な立場で議論ができるように統一した敬称として使い始めたのが始まり。参議院では参議院先例録により「議員は、議場または委員会議室においては互いに敬称として『君』を用いる」となっている。また、衆議院でも衆議院要覧には「議員は、互いに敬称を用いなければならない」とだけあるが、参議院に倣って「君」付けをしている。慶應義塾では「先生」は創立者・福澤諭吉ただ一人である、という考え方に基づき、慶應義塾の文書や掲示などで、教職員を「〇〇君」と表記する[9]ジャニーズ事務所ではタレントのことを“クン”を付けて呼ぶという慣習がある。
嬢(じょう)
未婚女性に対して用いる。君を男子だけに用いる場合、女子には嬢が用いられることがある。稀に既婚女性に対して使う事もある。
たん、タン
萌えの対象とする人物(主に少女)に使う事が多い。インターネット以外で使われる事は少ない。「ちゃん」の幼児語。この場合、インターネット以外でもよく使われる。
やん
関西地方での男女に用いる。(例、おちょやん。パーやん(藤子不二雄マンガキャラ「パーマン」の仲間)。
きゅん、キュン
「くん」と同じであるが、「たん」と同じく
萌えの対象とする人物(主に少年)にしばしば用いられる。インターネット以外で使われる事は稀である。
(きょう)
日本では平安時代以降、江戸時代までの公卿に対する敬称(岩倉卿など)。また、華族制度があった時代における華族への敬称。現在では外国で爵位などを有する者に対して、とりわけイギリスにおけるLordの訳語として使われることが多い。

Lord Lytton→リットン卿(公爵以外の貴族。爵位名にLordが付く)

Lord William Bentinck→ウィリアム・ベンティンク卿(公爵・侯爵の長男以外の男子。姓名または名にLordが付く)

(こう)
貴族や(古代の)大臣に対し使う。近世以降では、「忠犬ハチ公」のような愛称的な用例もある。近衛文麿西園寺公望を「近衛公」「西園寺公」と呼ぶのは公爵の略で、侯爵に対して「某侯」、伯爵には「某伯」、子爵には「某子」、男爵には「某男」と、爵位に対応して同様の言い方があった[10]
夫人(ふじん)
既婚女性に対して用いる。夫の社会的地位が高い場合に用いられることが多い。
御中(おんちゅう)
文書の宛先などで、相手が企業や官公庁、学校などの団体などの場合に用いる。「中」(ちゅう)は人間の集団。氏子中、島津家中など。
尊(そん)
仏教で信仰対象に対して用いられる。特にブッダを指示するものとしては「
世尊」があり、例えば教団の創始者であるゴータマ・シッダールタは「シャカ(釈迦)族の聖者たる仏」を意味する「釈迦牟尼世尊」をさらに縮めて釈尊と呼ばれる。「尊」は阿弥陀三尊、不動尊、地蔵尊などと釈尊以外の仏菩薩にも用いられ、修行者の上首高僧を尊者と呼ぶこともある。これら「尊」の字は、経典を漢訳する際に中国の道教における神々の位格の一つ「尊」に擬したものである。日本では、古代から神や貴人の尊称である「ミコト」には古くから「命」の文字を当てていたが、奈良時代以降「ミコト」の中でも特上のものには「尊」の字をあててそれ以外の「命」と区別するようになった。しかし『古事記』は古い用法を採用してわざわざ「命」の字に統一していたことが江戸国学で指摘されて以降、ミコトを「尊」の字で表わすことを疎んで『古事記』の用法に従う事例が増えてくると、尊と命の区別が曖昧となって現在に至っている。この「ミコト」に「尊」の字を当てることも道教の用語からの流用である。
その他
将棋囲碁柔道剣道など段級位制が存在する競技にあっては、その競技者の氏名に、段数を付けて呼ぶことがある。(ウィキペ四段など)また、その競技において称号やタイトルまたはそれに準ずるものがある場合も同様に氏名の前後にその称号をつけて呼ぶことがある。(ウィキペ竜王 ウィキペ永世七冠など) 
代名詞型
君(きみ)
二人称代名詞。
親称も参照。男性が恋人やである女性に対して用いる呼称であり、独立して用いられる。同輩同士での会話のほかに、上司などが部下に、年長者が年少者に、女性が男性の年少者に用いる。男性の年少者に対しては「キミ」と片仮名で表記することもある。
貴方、貴男、貴女(あなた)
女性が恋人やである男性に対して用いる呼称であり、独立して用いられる。顧客や不特定多数の個人に対する呼称で独立して用いられる。「貴男」は男性にだけ、「貴女」は女性にだけ用いられる。
卿(けい)
君主が臣下を呼ぶ際の二人称[11]。戦前、天皇が次期内閣総理大臣に発する組閣の大命で「清浦内閣総辞職につき卿に内閣組織を命ず時局重大の際折角尽力せよ[12]」などと用いられた。
貴官(きかん)
警察官消防吏員軍人その他官吏に対して使う。
貴職(きしょく)
何らかの職業にある者に対して使う。
その他
お父上、ご尊父(ごそんぷ)、お母上、ご母堂(ごぼどう)、ご一同様、お嬢様、ご子息(ごしそく)、奥様、ご主人
接尾詞型かつ代名詞型
各位(かくい)
複数の人の各々に対する敬称。相手が複数である場合に、相手の後ろに付けて用いる(例:道府県警察本部長各位(この場合は警視総監だけが別扱いで「殿」がつく)、広報担当者各位、報道関係者各位)。文脈によっては対象者を省略し単に「各位」のみで使う場合も多い。あくまでも複数の人の各々に対する敬称なので、使用には注意が必要である。個人を特定可能な場合には列記したり、各々ではなく団体宛ての場合には「御中」を利用するなどの考慮も必要である。「各位殿」「各位様」という表現は、二重敬称にあたるため用いない。
主上(しゅじょう)・聖上(せいじょう)

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