ポリティカル・コレクトネスの関係から不適切とされる敬称の使い方は改めるべきだという観点がある。
学校などで男子に「くん(君)」、女子に「さん」をつけて区別することが一般的に用いられていたが、近年、一般的な「さん」に比べて「くん」を使用する相手が対等以下に限定されるという理由で、男女平等の観点から、この用法は適切でないという意見もあり、男女とも「さん」をつけることが奨励されつつある(特に義務教育を終えた、年配の人が混ざることがある高校や大学の場合)。なお、病院では年少の男子に対しては「くん」、女子には「ちゃん」を用いるのが一般的である。
また、「女史」のように女性であることを強調した敬称などは「性差別語」の一つとされる[8]。1997年5月に刊行された共同通信社『記者ハンドブック第8版』において、「女史」は使用せずに「さん」を用いると示されている[8]。
英語において、既婚女性に対する敬称のMrs.は本来は夫の姓または姓名につけて用いるのが普通であったが、改まった場で自分の名前ではなく夫の名前で呼ばれるのは女性蔑視だとして、近時では自分のフルネームにMrs.をつけて呼ぶ例が多い。さらに、女性について既婚か未婚かによって敬称を異にするのも不適切であるとして、既婚・未婚を問わずMs.を用いることがビジネスの場などでは一般化している。
2012年、フランスで未婚女性に対する敬称のMademoiselleの表現は性差別にあたるとして、公文書では未婚・既婚を問わずMadameで統一するよう通達が出された[18]。 近年、日本人に対する英文(電子メールなど)での敬称は「Mr. XXX」などではなく「XXX-san」(さん)や「XXX-sensei」(先生)という表現が使われてきている。また英語口頭表現において日本人の名前を呼ぶ際も「名字+さん」という言い方をすることがある。たとえば松坂大輔をMatsuzaka-san(マツザカサン)、大谷翔平をOhtani-san(オータニサン)と呼ぶなど。日本人名に馴染みのない海外の者にとって、宛先の日本人の性別を確認する手間が省け、上記のポリティカル・コレクトネスの問題を回避できる表現として重宝されている。
その他
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 松本治一郎の言葉「貴族あれば賎民あり」は有名。一般に他国の元首に敬称をつけず天皇皇族には付けるのは日本のみ
^ 三島由紀夫は5歳年長の東健宛の手紙でしきりに用いている(『三島由紀夫 十代書簡集』)。
出典^ “ ⇒特集 さなイチ 別冊!インタビュー 時代考証 丸島和洋さん ?豊臣秀吉の残した遺言?”. NHK大河ドラマ『真田丸』. 2016年8月20日閲覧。[リンク切れ]
^ 永様
^ 次様
典拠管理データベース: 国立図書館
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