南西諸島のうち沖縄県は、日本国内では唯一の県内全部の陸地の対蹠地が全部陸地(南アメリカ大陸)である。沖縄県の西部の陸地(=先島諸島)の対蹠地はパラグアイの領土で、沖縄県(県庁所在地の那覇市がある沖縄本島も)の東部の陸地、それに鹿児島県のトカラ列島と奄美群島と草垣群島、東京都の沖ノ鳥島の対蹠地は全てブラジルの領土に当たる。
また、スペイン(アフリカ大陸にあるスペイン領土であるセウタも含む)やポルトガル、イギリス領のジブラルタル、アフリカのモロッコの対蹠地はニュージーランドに当たるため、スペイン、ポルトガル、イギリス、フランス、アイルランドなどヨーロッパ西部やモロッコでは「対蹠地」「antipode」というとニュージーランドに当たり、オーストラリアも含めて指す場合が多い。また、ニュージーランド南東部のアンティポデス諸島は、グリニッジ天文台の対蹠地に近いことに因んだ名称である。 対蹠地同士では、緯度は北緯と南緯が逆転し、経度は180°ずれる(西経はマイナスと考える)。地球中心を原点とした直交座標を考えると、x, y, zはいずれも反転している。 対蹠点同士の地平座標を考えると、上下・東西は完全に反転しているが、南北は完全に同じ向きである。東西が反転しているため、東から日が昇るとき、対蹠点では西に日が沈むことになる。上下は反転しているので、太陽が出ていれば対蹠地では太陽は沈んでいる。それに対し南北は同じため、太陽が正中(南中あるいは北中)している時は対蹠地でも正中(南中あるいは北中)している。 ある地点の対蹠地はそこから最も遠い地点であり、その(大圏コースでの)距離は地球半周分(約2万キロメートル)である。なお、対蹠地との直線距離は地球の直径で、これも最も遠い。また、どの方角にも地球を半周すれば対蹠地に到達する。そのため、対蹠地の方角は定義できない。ただし、航空路線として対蹠地同士を結ぶ場合には、偏西風の影響を考えたルート設定が行われることもある(実際には航続距離2万キロメートルの旅客機は存在しないため現在のところは机上の空論だが、シンガポール航空がかつて運航していたシンガポール - ニューヨーク直行便(1万5345キロメートル)では、ニューヨーク行きでは偏西風の助けを借りてアジア・アラスカ方面を飛行していたが、シンガポール行きでは最短距離に近い北極ルートが採用されていた)。
特徴