対潜哨戒機
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大戦中、大日本帝国陸軍は「あきつ丸」でカ号観測機の運用を試みたほか、ドイツ海軍フレットナー Fl 282を船団護衛に投入した[7]

戦後のアメリカ海軍では、哨戒ヘリコプターはまず対潜空母などに搭載されて運用されていた[8]。一方、イギリス海軍カナダ海軍では水上戦闘艦に搭載しての運用を志向しており、後にアメリカ海軍もLAMPSとして水上戦闘艦へ搭載した[13]。また海上自衛隊などでは、海峡や水道、港湾外域などの要所を哨戒するための陸上機としても運用された[9]

アメリカ海軍では、このような哨戒ヘリコプターの飛行隊にHS(ASW Helicoptor Squadron)の記号を付しており[4]、これは海上自衛隊でも踏襲された[5]。また、特に海上自衛隊の艦載ヘリコプターは護衛艦の戦闘システムの一つとして運用されていることから、艦内では「ヘリコプターシステム」(Helicopter System)の略として扱われる[14]

着艦するシースプライト(SH-2F)

空対艦ミサイル2発を搭載したシーキング

ソナーを吊り下げるオーシャンホーク

飛行船K級軟式飛行船(1940年代)

飛行船は滞空時間が非常に長く空中静止もできるため、哨戒任務に向いているとされ、第一次世界大戦では、既に一部で対潜戦に投入されていた[15]

第二次世界大戦でも、アメリカ海軍は1941年よりK級軟式飛行船の運用を開始した[15]。しかし通常の航空機と異なる製造設備や材料が必要であることもあって、大規模に生産・就役するには至らず、1962年までに運用を終了した[15]
装備
センサ

対潜戦では、もっとも古典的な肉眼から、電波を用いたレーダー電波探知装置(ESM)磁性を用いた磁気探知機(MAD)、音波を用いたソノブイ吊下式ソナーなど、多岐にわたるセンサが用いられる[16]。最初期は目視哨戒でも十分だったが、シュノーケルが普及すると電波関係機器が主たる捜索手段となり[3]、また潜水艦の水中行動能力が増大すると水中音響機器に対する依存度が高くなっていった[11]

単一のセンサのみで十分な情報が得られることは稀で、探知情報が間違いである可能性(虚探知)や、探知信号の信頼性は高くとも十分に位置を絞り込めないことも多い[16]。このことから、古典的には他のセンサで確認しなおすことが多いが、探知信号の特性を入念に分析して位置を局限、針路・速力を把握するという手順を踏む場合もある[16]

特にソノブイによるジェジベル戦術が実用化されてからは、海洋音響環境も加味しての音響信号処理が必要であるため、機上に高性能なコンピュータが搭載されるようになった[17]。またオライオン以降では、他部隊やSOSUS音響測定艦などからの情報とも総合するため、地上とも連携した情報システムが構築されるようになっている[18]

目視哨戒のための大光量サーチライト

MADブームを展開するバイキング

パラシュートを展開して降下するソノブイ

兵装

対潜兵器としては、敵潜水艦が潜航していれば航空爆雷(対潜爆弾)や誘導式の短魚雷が用いられる[19]。一方、浮上していればロケット弾機関砲を使用していたが[20]、通常の対艦兵器と異なり、船殻を貫通して潜航能力を奪えば足りることから、ロケット弾には弾頭を搭載せず、運動エネルギー弾としてのみ用いていた[19]


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