その一方で、利用者アンケートでは「期待した実行性能が得られた」と回答したのは6割以上で、「富岳」以外のスーパーコンピュータ(Oakbridge-CX、TSUBAME3.0など)の8割以上と比べると低い結果となっている[29]。近年、ベンチマーク性能と実際のアプリケーションの性能との乖離が指摘されている[30]。 2018年、「富岳」の構築費用は1300億円(国費 1100億円、民間投資 200億円)と報道された[31]。 また、構築費用とは別に「富岳」の運用に必要な経費は、毎年150億円以上[32][33]が計上されている。しかし、2022年においては光熱費の急激な上昇により、運用費の不足が予測されたため、全計算ノードの約1/3を約4カ月間停止している[34]。 ニューヨーク・タイムズ紙は米国で計画中の「富岳」の性能を超えるエクサ級のスパコンのコストは最大でも6億ドルであるのに対して、10億ドルを超える「富岳」のコストを高額な支出と表現した[35]。 なお、時期・用途・構成などは異なるが、当時の他の主なスーパーコンピュータ(計画中を含む)との性能・費用などの単純比較は下表の通り。 性能・費用比較表システム名運用開始年運用終了年性能 (6億ドル)40未満(予定)-HPE、AMDEPYC(Zen 4)、Radeon InstinctLinux (5億ドル)以上[36]38.7[37]2023年11月- 2位HPE,IntelXeon CPU Max、Data Center GPU MAXLinux(SUSE)
価格性能比について
(LINPACK
PFLOPS)費用
(億円)消費電力
(MW)TOP500順位ベンダーCPU・GPUOS
El Capitan(開発中)2023(予定)-2000(理論値ピーク性能、予定)643
Aurora2023-1012557
LUMI
174
(1億6000万ドル)7.12022年6月-2023年6月 3位HPE,AMDAMD第3世代 EPYC , AMD Instinct 250XLinux
(Cray OS)
Frontier2022-120664322.82022年6月- 1位HPE,AMDAMD第3世代 EPYC , AMD Instinct 250XLinux
(Cray OS)
富岳2020-4421300[39]29.9[40]2020年6月 - 2021年11月 1位富士通A64FX(ARM)Linux(RedHat)
Summit2018-148350
(3億2500万ドル)[41]10.1[40]2020年6月 - 2021年11月 2位
2018年6月 - 2019年11月 1位IBMPOWER9, Tesla V100Linux(RedHat)
Sierra2018-947.4 [40]2020年6月 - 2021年11月 3位
2018年11月 - 2019年11月 2位
神威・太湖之光2016-93300
(約18億元)[42]15.4[40]2020年6月 - 2021年11月 4位
2016年6月 - 2017年11月 1位NRCPCSunway SW26010Linux(Raise)
京20112019101120[43]12.7[44]2011年6月 - 2011年11月 1位富士通SPARC 64Linux
歴史
2018年(平成30年)
11月22日の総合科学技術・イノベーション会議でポスト「京」開発の中間評価が公表され、妥当と評価[45]。
2019年(平成31年/令和元年)
4月15日、富士通は理研との間でハードウェアの製造、出荷、設置の正式契約(製造開始)を発表[45]。
5月23日に名称を「富岳」に決定したことを発表した[16]。