富岳_(スーパーコンピュータ)
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? 理化学研究所(2019年5月23日)[16]

なお、「富岳」は「京」の最大100倍の性能を目指すことから、葛飾北斎の『富嶽百景』や太宰治の『富嶽百景』からの駄洒落(富岳100京)との説もある[17]
ハードウェア

「富岳」は富士通が開発したCPUであるA64FXを搭載している。このCPUは、フロントエンドをARMv8.2-Aベースに新たな拡張であるSVE(Scalable Vector Extension)を追加した[18] ものとして、バイナリレベルでARMとの互換がとられた一方、マイクロアーキテクチャは「京」でも使用された富士通製SPARC64の構造を踏襲している[19]。「富岳」は「京」の約100倍の性能と、世界最高水準の実用性を目指している[20]。「富岳」は富士通独自のTofu Interconnect Dを使用して結合された158,976個のA64FXを使用している[21]
ソフトウェア

「富岳」はIHK/McKernelという名前の軽量マルチカーネルオペレーティングシステムを使用している。このオペレーティングシステムはLinuxと軽量カーネルのMcKernelの両方を使用し、同時に並行して動作する。両方のカーネルが実行されるインフラストラクチャーはInterface for Heterogeneous Kernels (IHK) と呼ばれる。高性能シミュレーションはMcKernelで実行され、Linuxは他の全てのPOSIX互換サービスで利用できる[22][23][24]
性能

2020年6月、国際スーパーコンピュータ会議にて発表されたTOP500において1位となった。日本のスーパーコンピュータとしては、2011年6月・12月に「京」が1位となって以来9年ぶりである。また、物理現象をシミュレートするHPCG(High Performance Conjugate Gradient)、人工知能計算のベンチマークHPL-AI、ビッグデーター解析のGraph500においても1位となり4冠を達成[25][26]。その後、2020年11月、2021年6月及び11月の時点でも4部門で首位を維持し続け、4期連続の4冠を達成した[27]

この他、消費電力当たりの性能ランキングGreen500では2020年6月の時点で9位[28]

その一方で、利用者アンケートでは「期待した実行性能が得られた」と回答したのは6割以上で、「富岳」以外のスーパーコンピュータ(Oakbridge-CX、TSUBAME3.0など)の8割以上と比べると低い結果となっている[29]。近年、ベンチマーク性能と実際のアプリケーションの性能との乖離が指摘されている[30]
価格性能比について

2018年、「富岳」の構築費用は1300億円(国費 1100億円、民間投資 200億円)と報道された[31]

また、構築費用とは別に「富岳」の運用に必要な経費は、毎年150億円以上[32][33]が計上されている。しかし、2022年においては光熱費の急激な上昇により、運用費の不足が予測されたため、全計算ノードの約1/3を約4カ月間停止している[34]

ニューヨーク・タイムズ紙は米国で計画中の「富岳」の性能を超えるエクサ級のスパコンのコストは最大でも6億ドルであるのに対して、10億ドルを超える「富岳」のコストを高額な支出と表現した[35]

なお、時期・用途・構成などは異なるが、当時の他の主なスーパーコンピュータ(計画中を含む)との性能・費用などの単純比較は下表の通り。

性能・費用比較表システム名運用開始年運用終了年性能
LINPACK
PFLOPS)費用
(億円)消費電力
MW)TOP500順位ベンダーCPU・GPUOS
El Capitan(開発中)2023(予定)-2000(理論値ピーク性能、予定)643

(6億ドル)40未満(予定)-HPEAMDEPYC(Zen 4)、Radeon InstinctLinux
Aurora2023-1012557

(5億ドル)以上[36]38.7[37]2023年11月- 2位HPE,IntelXeon CPU Max、Data Center GPU MAXLinux(SUSE)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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