しかし当該行為については、日本も批准している海洋法に関する国際連合条約に基づき、担保金による早期釈放制度(ボンド制度)が用意されており、行為の認否に関わらず、指定した担保金または担保金の提供を保証する書面が提出されると、違反者は釈放され押収物(船体や漁獲物)についても返還される[10]。
無許可操業および禁止海域操業の担保金の基準額は3,000万円、立入検査忌避の担保金の基準額は300万円となっており、いずれも罰金と同額の担保金が必要となる。また違法なサンゴ採取については、サンゴ1kgあたり600万円の担保金が加算される[10]。 2013年4月、中国人漁師とみられる乗組員12人が乗った中国船籍の船が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録されているフィリピン領パラワン島沖のトゥバタハ岩礁海中公園内で座礁事故を起こした。 座礁した中国船内には、ワシントン条約で国際取引が禁止されているセンザンコウの死骸数百体が隠されていた。中国人漁師12人には、海中公園への不法侵入とサンゴの破壊で、約9500万フィリピン・ペソの罰金が科され、さらに密猟で禁錮12?20年が言い渡される可能性がある[11]。 エクアドルは、世界遺産に登録されているガラパゴス諸島の周辺海域に、生態学的・経済的価値の保護を目的とする、大規模な海洋禁漁区を設定している[12]。海洋禁漁区内では漁業のほか、採鉱や石油採掘も禁じられている[12]。 ガラパゴス諸島周辺海域は、サメが多く生息している海域だが、アジア向けのフカヒレやサメ肉を目的とする密漁が頻発している[13]。2017年8月には中国船が拿捕され数千匹のサメが押収された[13]。 黒海・カスピ海周辺海域に生息するオオチョウザメからは、最高級品キャビアであるベルーガキャビアがとれることから密漁や乱獲が横行し、オオチョウザメの絶滅の危機を招いている[14]。 米国では絶滅危惧種保護法により、2006年から絶滅危惧種となったミドリチョウザメ
フィリピン近海
ガラパゴス諸島近海
黒海・カスピ海周辺海域
カリフォルニア近海を原料とするキャビアが、代替品として取引されるようになった[14]。その結果、カリフォルニア州ではチョウザメの乱獲が問題化したため、1954年にカルフォルニア州政府は、商業目的のチョウザメ漁を禁止した[14]。
出典^ “防げ密漁、流通透明化 ナマコ・アワビに番号、政府が法案:朝日新聞デジタル”
^ a b 海上保安レポート2013 1、治安の確保 CHAPTER2 国内密漁対策 海上保安庁
^ “暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」のリアル”. 東洋経済オンライン (2018年10月6日). 2018年11月23日閲覧。
^ 「サザエ大漁だ」ネットに投稿、密漁情報広がる 読売新聞 2018年2月28日
^ 密漁監視員?の男性が死亡 溺れかけた中国人男性助けようと… 千葉・市川 産経ニュース、2016年6月11日。
^ “漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百三十八条”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2018年7月25日). 2019年12月27日閲覧。 “2018年10月25日施行分”
^ “漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百四十一条”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2018年7月25日). 2019年12月27日閲覧。 “2018年10月25日施行分”
^ ウナギ密漁ビジネスに暴力団 不正売買に課税通報6億円も 罰則に比して高額収益
^ 海上保安レポート2013 1、治安の確保 CHAPTER3 外国漁船による違法操業等への対策 海上保安庁
^ a b c d ⇒サンゴ密漁対策、罰金上限大幅引き上げへ 改正法成立 朝日新聞 2014年11月19日