寄生虫
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近現代におけるヒトの食生活の著しい変化により、従来ヒトの生活に近かった寄生虫の感染例は減少傾向にある。例えば人糞の農作物への利用によって媒介されていたカイチュウの感染例は、化学肥料の普及によって大幅に減少した。しかし動植物の生食が増えることによって、従来はあまり見られなかった新たな寄生虫の症例も増加して来ているという。
正の効用

藤田紘一郎の研究によれば、サナダムシを始めとする寄生虫の一部はアレルギー反応を抑制する成分を分泌しており[3]、副作用の問題などから実用化には至っていないものの、ヒトのアレルギー症状を抑える特効薬として期待されている。寄生虫は人間にとって正の効用を持つ可能性もあるが、一般には病原体であり、安易な使用は危険である。
虫下し

寄生虫を体外に排出するため、駆虫薬を投与する。昔からセンダンが虫下しとして利用されてきた[4]
寄生虫による宿主への干渉

トキソプラズマが脳に寄生すると宿主の行動を変えることが知られている[5]

ハイイロオオカミは、リーダーになるか群れから離れる割合が高い[6]

感染したブチハイエナは、ライオンが近寄っても逃げなくなり約4倍ライオンに殺されやすい[7]

感染したマウスは、ネコの尿に警戒感を示さず食べられてしまいやすくなる[8]

人に感染した場合、男性は危険行動や違反行動などを起こす、女性に感染すると社交的になるとも変わらないともされる[8][9]

そのほか、ハリガネムシカマキリを操作して水に近寄らせたり[10]ロイコクロリディウムカタツムリに感染して鳥に食べられやすい行動をとらせる[11]など、さまざまな動物で寄生虫が宿主の行動に影響を与える例が報告されている[12][13][5]

フクロムシに寄生されたカニのように宿主が生殖能力を失ったり性徴が変化する例があり、これを寄生去勢(英語版)という[14][15]
代表的な寄生虫
ヒトの寄生虫「 en:List of parasites of humans」も参照

外部寄生虫

節足動物

ヒトノミ

アタマジラミ

コロモジラミ

ケジラミ

ニキビダニ

ヒゼンダニ疥癬



内部寄生虫

環形動物

ハナビル


節足動物

イヌシタムシ


線形動物

カイチュウ

ギョウチュウ

フィラリア

広東住血線虫


扁形動物

肝臓ジストマ

肺臓ジストマ

横川吸虫

日本住血吸虫

有鉤条虫

無鉤条虫

エキノコックス

広節裂頭条虫


赤痢アメーバアメーバ赤痢


ヒト以外の寄生虫

外部寄生虫

節足動物

昆虫ノミシラミハジラミヒトヒフバエ

クモ類:オヨギダニ・オオマルダニ・マダニワクモスナノミ

甲殻類チョウ (甲殻類)イカリムシ


環形動物:

ヒル類:ヒルミミズ・ウミエラビル



内部寄生虫

節足動物

昆虫コバチヒメバチコマユバチヤドリバエネジレバネ

甲殻類:エビヤドリムシ・フクロムシ


類線形動物ハリガネムシ

線形動物アニサキス広東住血線虫

扁形動物

サナダムシ類:

吸虫類肝蛭・フタゴムシ・ロイコクロリディウム


鉤頭動物

紐型動物:ヒモビル

有櫛動物:ヤドリクシクラゲ

刺胞動物:カイヤドリヒドラ

ミクソゾア粘液胞子虫軟胞子虫(ミクソゾアは元来は原生動物とみなされたが、後生動物起源と考えられ、特に軟胞子虫は多細胞で筋肉も持っている)

中生動物ニハイチュウ


注釈・参考文献^ “ ⇒くらしの衛生Vol.43 寄生虫”. 東京都食品環境指導センター (2001年3月). 2021年10月30日閲覧。
^ 富山市史編纂委員会編 『富山市史 第三巻』p642 1960年 富山市
^ 藤田紘一郎「アレルギー病はなぜ増えたか」『歯科薬物療法』第21巻第3号、日本歯科薬物療法学会、2002年、99頁、doi:10.11263/jsotp1982.21.99。 
^今月の薬用植物 2001年4月 せんだん(Melia azedarach) 熊本大学薬学部
^ a b “宿主動物を操る寄生虫”. 帯広畜産大学. 2022年12月11日閲覧。
^ “寄生虫の「マインドコントロール」が影響か、群れを離れるオオカミ 米研究”. CNN.co.jp. 2022年12月11日閲覧。
^ 日本経済新聞社・日経BP社. “寄生虫がハイエナを「操作」 自らライオンの餌食に|ナショジオ|NIKKEI STYLE”. NIKKEI STYLE. 2022年12月11日閲覧。
^ a b “脳を操る?トキソプラズマ SF顔負けの研究も:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2018年2月2日). 2022年12月13日閲覧。
^ “トキソプラズマが脳を"乗っ取る"メカニズム明らかにに関する医療ニュース・トピックス|Medical Tribune”. Medical Tribune(メディカルトリビューン). 2022年12月13日閲覧。
^ “寄生虫ハリガネムシがカマキリを操作、驚きの謎の一端を解明”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2022年12月11日閲覧。
^ “カタツムリ、「操られた」末に迎える憐れな最期”. 東洋経済オンライン (2020年8月2日). 2022年12月13日閲覧。
^ “宿主を思うままに操る、ちょっとグロテスクな寄生生物たち”. 毎日新聞. 2022年12月11日閲覧。
^ “病原体による宿主脂質ハイジャック機序の解明と創薬への応用”. www.niid.go.jp. 2022年12月11日閲覧。


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