寄席
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関東大震災の際には京浜間の寄席で出演者、席亭側、客側それぞれに甚大な被害があったことが知られる[注釈 11]。後に消滅し、現在は2002年(平成14年)4月に横浜市が建てた横浜にぎわい座がその機能を継承している[18]

芸どころ[注釈 12]名古屋市大須演芸場は、出演者側の支持が厚く、閉鎖の危機を幾たびも乗り越えながら存続し続けてきた。2014年2月3日に強制執行を受け一時閉鎖[19]、その後家主の手で改修工事が行われ、運営体制を一新して2015年9月22日に再開された[20][21]

神戸には戦後も神戸松竹座があったが1976年に閉鎖された[22]。2018年7月に42年ぶりの寄席となる神戸新開地・喜楽館がオープンし[23]、天満天神繁盛亭に次ぐ上方落語の定席となっている。

全国的には、おおむね各県庁所在地ごと程度に寄席が分布した[注釈 13][注釈 14]。今はテーマパークで有名な漁師町・浦安にも寄席が二軒存在し、芸に厳しい浪曲の難所として全国の浪曲師に名を響かせた[注釈 15]

北海道にも明治から昭和初期まで多くの寄席が存在した。現在は2代目桂枝光が中心となった地域寄席「平成開進亭」、「だるま十区(旧:狸寄席の会(狸小路に常設演芸場を作る会)[24]」などが地域の落語会として定期的に公演を行っているが、2019年時点で常設の寄席は存在していない。

仙台には明治から大正にかけて寄席が存在したが消滅し、平成に入ってから不定期に寄席が行われていた。2016年頃から定席を復活させる計画がスタートし[25]、2018年4月1日に落語芸術協会仙台事務所により花座がオープンした[26]

九州は、博多で2007年から六代目三遊亭円楽プロデュースによる「博多天神落語まつり」が毎年11月に開催されている。その後、2021年に出身地の北九州に移住した橘家文太が改造トラックで出前寄席を開催したり、同年に博多らくごカフェ笑庵がオープンするなど落語を聴く場は増えてはいるが、常設の寄席の開設には至っていない。

他地域も、地域の落語会として開催されている「寄席」は多数存在するが、意味としては「落語会」との区別は特にされていない場合が多い。
寄席で用いられる道具・用語

高座(板):寄席の舞台の事。

定席:1年中落語が聞ける所。狭義には新宿末廣亭、上野鈴本演芸場、池袋演芸場、浅草演芸ホールの4か所。

上下(かみしも):高座の右側、左側。客席から舞台を見て右が上手(かみて)左が下手(しもて)。

めくり:出演者の名前を書いた紙の札の事。高座の下手に置かれることが多い。

トリ:主任。興行の最後に高座に上がる人。本来は、その興行の給金を分配する人のこと。

寄席文字(寄席字):めくりに書く文字の書体。紺屋栄次郎が歌舞伎の勘亭流と提灯文字を元に字体を作る。橘右近により存続し、寄席文字橘流家元を名乗る。

(のぼり):寄席や会場入口付近に立てられる、出演者の名前が書かれた大きな旗。

行灯(あんどん):主な出演者を知らせるため、入り口付近に掲げられた提灯。

出囃子:寄席の出演者が高座に上がる際に演奏される音楽。寄席ではお囃子さんが実際に演奏をしている。ホール落語等ではCDなどの音源が使われることも多い。

下座(お囃子):出囃子を演奏する人。噺の種類によっては、噺の途中のBGMを演奏をすることもある。

木戸口:寄席の入り口。見世物小屋や昔の芝居小屋と入場口の形態は同様であった。

木戸銭:入場料のこと。

:一日毎の客の入りと演者の格に応じて支払われる給金。

席亭:寄席の運営者や経営者の事。(浅草演芸ホールでは「社長」。)もともと席亭とは寄席自体を指し、主人を席亭主(または席主)と呼んだものが省略された。

お茶子:(上方の寄席特有の)楽屋で芸人を世話する役目の女性。高座で座布団をひっくり返す事も。

もぎり:入り口でチケットの半券を切る人。

下足番(げそくばん):脱いだ履物の番をする人。畳敷きの客席が大半だった時代にあった役目。評判を多く聞くことから番組編成権を持つことも多かったという。

五厘:席亭と芸人の間で出演を仲介する人(ブローカー)。割のうち、5厘を天引きしたためそう呼ばれた。他に寄席の事務員または会計士の意味として呼ばれる事もあった。現在の芸人事務所の事。

金ちゃん:客の事。

つ離れ:(ひとつ、ふたつ、と数えると、ここのつ、とお、と10を超えると「つ」が付かなくなる事から)客数が一桁でなくなること。

1足(そく):百(人)をそく、と言い換えて客数が百人くらいのこと。

主な寄席
東京


定席(狭義の寄席)


鈴本演芸場(東京・上野

浅草演芸ホール(東京・浅草六区

新宿末廣亭(東京・新宿

池袋演芸場(東京・池袋

うち鈴本演芸場は落語協会のみ、浅草・新宿末廣亭・池袋は落語協会・落語芸術協会の定席となっており、それ以外の団体は「余一会」(1月・3月・5月・7月・8月・10月の31日に行われる特別興行)などを除き、原則として上記の寄席に上がることはできない[注釈 16]

2000年から、上記に国立演芸場を加えた5か所の寄席が共同で毎年6月第一月曜日を「寄席の日」として入場割引・記念品の配布などのイベントを行ってきたが、コロナ禍以降中断している。


永谷商事運営


お江戸上野広小路亭(東京・上野)

お江戸日本橋亭(東京・日本橋)*2023年12月で建替えのため休館

お江戸両国亭(東京・両国

新宿永谷ホール(新宿Fu-)(東京・新宿歌舞伎町
うち上野と日本橋は落語芸術協会・落語立川流により、両国は円楽一門会により、落語の定席興行も催されている。上野は(定席である鈴本が至近にある関係上)落語協会員は出演することができない。新宿はお笑いライブハウスとして使われることが多い。
演芸関係団体・会社などによる運営


国立演芸場(東京・千代田区隼町) - 国が文化の振興のために設立。2003年に独立行政法人に移行。通常は落語定席と同様に、落語協会と落語芸術協会が交互に出演。立川流、円楽一門会も落語会が行われる。毎年ゴールデンウイークに各出演者団体が企画公演する「大演芸まつり」が開かれる。2023年10月より改修工事に入る予定でいったん閉場となる。再開場は2029年秋の予定で、再開場までの間は「国立演芸場主催」の形で紀尾井小ホールや千代田区立内幸町ホールなどの都内のホールを利用して公演を行う。改修工事前には『笑点』の収録が行われ二週に渡って放送された。

浅草木馬亭(東京・浅草奥山) - 浪曲定席。根岸興行部経営。木馬館1階。講談師も出演するほか、落語の貸席としても機能している。

黒門亭(東京・上野)- 2003年より落語協会事務所の2Fで週末に開催されている寄席。2020年以降コロナ禍のため断続的に開催→中断→開催を繰り返している。

浅草フランス座演芸場東洋館(東京・浅草六区)- 通称「東洋館」。浅草演芸ホールと同じ建物で、経営も同じく東洋興業株式会社。元はストリップ劇場。現在は色物の定席となっているが落語との混合番組も組まれており、毎年正月初席に落語協会の定席興行として浅草演芸ホールと併用される。また夜は貸席として利用され、落語会なども行われることがある。

三吉演芸場(横浜・南区)- 大衆演劇主体の劇場。1930年開場。近所に住んでいた桂歌丸が、1994年に「三吉演芸場を残す会」を結成、それ以来不定期であるが落語会が催されている。四代目社長は本田博。

その他寄席として用いられるスペース


らくごカフェ (東京・神田神保町)- 神田古書センターの5Fに2008年12月オープン。カフェと古書店を併設、若手を中心に毎日に近いペースで落語会を開催。オーナーは地元出身のライターの青木伸広。2019年2月には「らくごカフェ10周年記念 平成最後の武道館落語公演」[27]が開かれた。

焼肉八起(やおき、神奈川・相模大野) - 店主は唐澤章・時子。店は1974年元住吉にオープン、1979年に現在地に移転。


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