客家語
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

ケ盛有(2007)は、「客家語には...一部はミャオ族やヤオ族の古代の同源語があり、これらの語彙の音義はすべてミャオ族やヤオ族の中で非常に保存されたものである...客家語の語法現象、動物の性別修飾要素の逆転構詞現象、そして動作の繰り返しを表す副詞の後置現象などから見ると、客家語とミャオ族語、ヤオ族語の間には非常に密接な関係がある」と述べています[5][6]
下位分類[ソースを編集]

中国社会科学院とオーストラリア人文科学院の『中国言語アトラス』などによると、大陸部分の客家語は下記の下位分類をすることができる。

?州片

粤北片

東江本地片

潮汕片

潮?片

粤桂瓊片

汀州片

寧龍片

于桂片

銅鼓片

川湘片

台湾の客家語[ソースを編集]「台湾客家語」も参照

代に台湾に移住した客家人は、出身地によって主に以下の「四、海、大、平、安」の五種に分類されている。

四県腔(苗栗腔)広東省嘉應州府梅県や近隣の長楽県興寧県鎮平県平遠県などの四県の出身者。台湾の客家語の標準的な発音となっている。台湾では北西部に位置する桃園市の一部、苗栗県の「山線」地域、および台湾南部に位置する六堆地区(高雄市屏東県の一部)などで用いられる。苗栗県公館あたりが標準と考えられているため、苗栗腔とも呼ばれるが、ただし苗栗と六堆では、一部語彙が異なり(たとえば、接続助詞andにあたる lau1(苗栗など北部)とthung2(南部)など)、中華民国教育部による『客家語?音方案使用手冊』のように後者を南四県腔として分ける事もある。

海陸腔(新竹腔)広東省恵州府海豊県陸豊県の出身者が用いる(ただし広東省の当該地域は現在では?南語化しているところが多い)。台湾では四県腔に次いで広く用いられる。桃園県新屋郷観音郷新竹県の大部分で用いられる。台湾の場合、声調の調値の高低の向きが四県腔と逆になっており、四県腔よりも調類が一つ多い(去声が二つある)。

大埔腔(東勢腔)広東省梅州市大埔県出身者が用いる。台湾では台中市東勢区石岡区新社区に分布する。発音は四県腔に近い。

饒平腔広東省潮州府饒平県恵来県普寧県掲陽県海陽県潮陽県出身者が用いる。台湾では苗栗県卓蘭鎮彰化県員林鎮永靖郷田尾郷、及び新竹県の一部に分布する。発音は大埔腔と近い。

詔安腔福建省?州府詔安県南靖県平和県雲霄県出身者が用いる。福建省では優勢な?南語と同じ語彙を多く持つが、?州の?南語の調値とは高低が逆のように感じられる。台湾では雲林県崙背郷二崙郷西螺鎮桃園県八徳区大渓鎮龍潭郷に分布するが、人口はきわめて少なく(数千人とされている)、他の客家語母語話者からも理解がしづらい方言となっている。

名称[ソースを編集]

客家話が分布する地域が広いため、各地で異なる呼び方がある。広東省東部、北部、福建省台湾では客家話、客話と呼ばれる。
特徴[ソースを編集]

客家語には入声を含む5つまたは6つの声調がある。

日本の漢字音の多くは唐代・宋代に伝来したため(漢音唐音を参照)、同時期の中国語の特徴をよく残している客家語の発音と類似性、対応が見られる。例えば、梅州客家語の数字の数え方は「一 it5、二 nyi4、三 sam1、四 si4、五 ng3」である。

従来、広東省の梅州市(旧梅県市)で話される客家語が、客家語の代表とされ、海外で各地の客家が集まる様な場合は梅県方言を共通語として使用する例も見られたが、最近では、台湾では梅州と関連が深い四県方言がテレビ放送で使われるなど、重要な役割をもつようになりつつあり、使用地域の経済発展がめざましい広東省恵陽方言も重要性を増している。
音声[ソースを編集]

客家語の音節は、他の中国語(漢語)方言と同じく、声母(語頭子音)と韻母は48種、声調の組み合わせで成り立っている。

広東省梅州市内の客家語の場合、基本声母は17種、韻母は74種、声調は6種ある。
声母[ソースを編集]

梅州客家語の声母表両唇音唇歯音歯茎音軟口蓋音声門音
閉鎖音無声無気音[p][t][k]
無声有気音[p?] ?[t?][k?] ?
破擦音無声無気音[ts]
無声有気音[ts?] 車
摩擦音無声音[f][s][h]
有声音[v]
接近音[l]
鼻音[m][n][?]

上記の他にゼロ声母がひとつ加わり、17種となる。
子音[ソースを編集]

上記の声母に加えて、客家語の子音としては入声の音節末に見られる内破音がある。内破音には両唇([p?])、歯茎([t?])、軟口蓋([k?])の3種がある。入声韻尾と対応する音節末の子音には両唇(-m [m])、歯茎(-n [n])、軟口蓋(-ng [?])の3種の鼻音韻尾を持つものがあり、意味の弁別に使われている。また、mとnには音節化して、韻母として働くものがある。韻母がiで始まる場合は、声母の子音に口蓋化が見られるが、非口蓋化子音との弁別には用いられない。



韻母[ソースを編集]

梅州客家語の韻母表介音・母音開尾韻鼻尾韻塞尾韻
無韻尾i韻尾u韻尾m韻尾n韻尾?韻尾p韻尾t韻尾k韻尾
無母音[m?] 唔[n?] 五
無介音[a] 阿[ai] 矮[au] ?[am] 暗[an] 研[a?] 罌[ap?] 鴨[at?] 殺[ak?] ?
介音i-[ia] 野[iai] 椰[iau] 要[iam] 艷[ian] 燕[ia?] 影[iap?] 葉[iat?] 粤[iak?] ?
介音u-[ua] 瓜[uai] 快[uan] 關[ua?] 礦[uat?] 刮[uak?] ?
無介音[?] 欸[?u] 歐[?m] 森[?n] 恩[?p?] ?[?t?] K
介音i-[i?] □[i?n] 棉[i?t?] 列
介音u-[u?n] 耿[u?t?] 國
無介音[i] 衣[iu] 有[im] 音[in] 英[ip?] 邑[it?] 一
無介音[?] ?[?i] 愛[?n] 安[??] ?[?t?] 遏[?k?] 悪
介音i-[i?] ?[i?n] 軟[i??] 羊[i?t?] □[i?k?] 約
介音u-[u?] 過[u?n] 官[u??] 光[u?k?] 郭
無介音[u] 烏[ui] 危[un] 温[u?] 翁[ut?] 吻[uk?] 屋
介音i-[iui] 鋭[iun] 運[iu?] 用[iut?] 郁[iuk?] 肉
無介音[?] 思[?m] 審[?n] 神[?p?] 十[?t?] 食

梅州客家語の主母音は[a ? i ? u ?]の6種と分析することができる。これに介音のi-とu-と、韻尾を組み合わせて韻母ができる。
声調[ソースを編集]

客家語は、他の中国語と同様に声調言語であり、梅州の発音では平声上声去声入声四声の内、平声と入声が陰陽(高低)各1対に分かれ、計6つの調類がある。しかし、入声の調値は平声の調値と近いため基本的に4種類の調値を区別すればよい。

梅州客家語の声調声調番号 声調名 声調パターン調値例字備考
第1声陰平声高平調44沙
第2声陽平声低平調11蛇
第3声上声低降調31?
第4声去声高降調53射
第5声陰入声低促調1殺調値は陽平声と同じ
第6声陽入声高促調5舌調値は陰平声に近い

文字[ソースを編集]
漢字[ソースを編集]

客家語はこれまで一貫して漢字による表記がなされてきた。

台湾では、中華民国教育部により客家語の研究、保存、教育推進を目的として2009年以降台湾客家語書写推薦用字(中国語版)が制定されている。
ローマ字[ソースを編集]

19世紀中期、キリスト教の宣教師によって、非識字の庶民に対する布教を目的として様々な客家語用ローマ字表記が考案されるようになった。これらの表記は各地方の方言に準拠して設計されたものであり、方言によって表記法も様々異なるものとなっていた。一例として、2012年に出版された『客語聖經:現代台灣客語譯本』に用いられている白話字は台湾客家語のうち四県腔をベースとし海陸腔の要素も加えたものとなっている[7]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:45 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef