実験
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化学の分野における実験とは、主として新規物質合成、新しい化学反応の探索、化学構造物性の解析、などを目的とする。化学実験のステレオタイプであるような、白衣姿で試薬フラスコを駆使する、という実験は合成を行うときのみであり、近年ではコンピュータ制御の大型測定装置による機器分析も分野を問わず頻繁に行われる。また、理論化学計算化学などの分野では全く実験をせずに、計算のみで化学的な性質の議論が行われる。[要出典]
仮想実験

実際に実験ができないものについて(または実際の実験結果と比較するために)、架空で実験をしてみるというもの。そのためには対象物の性質に関する情報が必要であり、これが間違っていれば大きな誤差を生じるであろう。近年ではコンピュータを使うことで細部の計算を精密にすることで現実に近い結果を求めることが試されている。[要出典]

思考実験

計算機実験(計算機によるシミュレーション

自然実験

統計的因果推論」も参照

人類史や、自然史のような繰り返すことができない「歴史」の結果を、後から観察し、自然に発生した歴史がどのように異なる結果を生んだかについて、比較検討する場合に、「自然実験」という用語が用いられる。医学、社会科学等の分野において、統計的因果推論と呼ばれる統計的帰納法に関する理論的な精緻化がすすんだことで2000年代以後、自然実験をベースとした社会科学論文が爆発的に増大した。[要出典]
生物学において「動物実験」も参照

生物学は特にその初期において、その起源を博物学におき、主として記載的な学問と考えられてきた。そのため、観察は重要な手法であったが、実験についてはそれをどのように行えばいいかすらわからなかった。物理化学の対象に比べ、生物の性質そのものが複雑でありすぎたためかも知れない。ファン・ヘルモントによるネズミの自然発生の証明と植物の生長が土壌の吸収によらないことの証明との共存がそのあたりを物語るとも言える。[要出典]

しかし次第に生物に関する細部の知識が増えるに連れ、様々な実験が行われるようになった。たとえば発生学では記載と群間の比較に始まり、19世紀末に実験発生学が行われるようになった。メンデルは19世紀半ばに遺伝の実験を行い、遺伝法則を発見したが、当時の生物学はこれを受け入れず、それが理解されるようになったのはやはり19世紀末である。遺伝学ではそれ以前からも交配実験が行われたが、そもそもその結果を解釈するための手法や、理解するための細部の知識が存在しなかったためにその結果が利用できなかったものと考えられる。なお、自然発生説については、例外的に先述のファン・ヘルモント以降、19世紀半ばにパスツールによって結論が出るまで、長く実験に基づく論争が繰り返された。これは、重要な問題ではありながら、ある意味で生命現象の細部の理解が必要ないわかりやすい現象であったためであろう。[要出典]

生物学においては、その構成が物理化学的な対象である分子原子であり、少なくとも細部においてはその性質に基づいて理解されるべきであるが、その間の乖離があまりに大きい。これはその対象にも、その現象の背景にも言えることである。したがって、そのような対象に関する実験を行う場合、それを試験管に取り出して実験を行って得られた結果が、その生物に於いて実際にあり得るとは限らない場合もある。そこで、その実験がどの条件で行われたかを以下のように言い表す。それぞれの意味は、対象や分野によってやや異なる。[要出典]

in vitro(インビトロ):生体外・細胞内や生体内を試験管など人工容器に取り出して再現する。

in vivo(インビボ):生体内、生きた細胞の中で実験する。

in situ(インサイチュー):生きた生物のそれが本来あるべき場所、あるいはその場の細胞内で実験する。

工学について

工学においては、規範的実験と設計的実験とに分類できる。[要出典]

規範的実験とは、理論と原理を検証し、知識を理解・定着させ、基本的な実験操作技能や厳密で着実な作業態度を育成することを目的にしている。

設計的実験とは、学生の実験設計能力や問題解決能力の育成を重視している。

世界における実験概念とexperimentという言葉の歴史

この節の加筆が望まれています。 (2022年7月)

日本における実験概念と「実験」という言葉の歴史

明治以前

936年の藤原師輔(そうすけ)『九歴』や1130年の藤原宗忠『中右記』に「実験」の用例があり、「ある事物が本当かどうかを調べ確かめること」の意で、experimentの本来の意味と同じである
[11]

日本の科学者で初めて「実験」という言葉を用いたのは天文学者の麻田剛立(1734-99)で、1775年の書簡や『実験録推歩法』(1786年)で使っている[12]

医学や蘭学者では、杉田玄白の『形影夜話』(1810年)で「実験」が初見だが、その後は実験と共に「試験」が用いられるようになる[12]

幕末の物理・化学関係者では「試験」の方が多く使われた[12]


明治以後

1869年に三崎嘯輔がexperimence,observationを「実験」、experimentを「試験」と訳す。西周が1870年にexperimentを「試験」、observationを「実験」と訳して以後、それが一般的になる[12]


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