宝永地震
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日向土々呂現・宮崎県延岡市土々呂市振、波にとられ、家跡海に成、深さ壱丈『日向雑記』4-4.5m[138]3m[19]
肥前長崎現・長崎県長崎市酉刻高潮満ち諸所破損『長崎建立并諸記挙要』3.5m[140]2m[138]
大隅種子島現・鹿児島県南種子町庄司浦人家十余流失『南種子町郷土誌』7.9m[140]5-6m[138]6m[112]

被害
東海道

伊豆下田では家数925軒の内、857軒が津波で流失し、55軒が半潰れとなった。下田では元禄津波の被害も受けているが、この時は492軒の流失であった(『下田年中行事』)。下田市の口碑に「七軒町」は昔津波の時に家が七軒残ったためそう呼ばれるようになったとあり、元禄12年(1699年)の『下田町水帳』にはこの町名は見えず、元禄津波より宝永津波の方が被害が大きいことから、これは宝永津波を指すと考えられている[141]

浜名湖が太平洋とつながる今切は津波によって1里(約3.9 km)もの大口を開け、遠州灘と湖とを隔てる半島は切り離され島となり、半島にあった新居関新居宿と共に流失し不通となり、浜名湖北岸を迂回する本坂通が大いに賑わったという。その後、宿場町は移転を余儀なくされ、宝永5年正月(1708年)から工事が始まり、3月から4月に移転が完了した。この結果、新居-舞阪間の渡船路は一里半(約5.9 km)となった[142][143]。白須賀も残らず震潰れた後津波で流失したため、地震以後白須賀宿は汐見坂を登った高台へ移転し、元の宿場町は元町と呼ばれるようになった(『白須賀町誌』[144])。
紀伊半島

『尾鷲組大庄屋文書』の記録では尾鷲で地震の1時間後に高さ1丈9尺(地上5.7m、海面上8-10m)の津波が押し寄せ、1000人が流死した[145]。賀田湾(現・尾鷲市)では海水の固有震動によって、の奥に位置する賀田で最も波高が高くなり、浜通りの家屋は全て流失した(『亥ノ十月四日浪流家小物引分帳』[146])。賀田では1854年安政東海地震や、1944年東南海地震でも湾内で最も高い津波に襲われた[119]熊野浦々では錦浦(現・大紀町)から大泊(現・熊野市)まで家が悉く流失するなど特に酷く[147]、『居家日記』[148]には、紀州熊野浦53里(約210 km)、海辺108郷が川原(亡所)になったとある。

南部(現・みなべ町)では、沖の鹿島の御山を5?6重にもなる波が来る中に白く円い光を発して大小二つに割れ、大は東へ行き、小は南部に打寄せたが被害は無かったという(『重賢記』[149])。印南(現・印南町)では、津波による犠牲者が300人にも及び、印定寺に所蔵される合同位牌には162人の戒名が刻まれ、「山の如く凹凸として打寄せ、家財即時に流れ皆悉く漂溺す」と津波襲来の様子が記されている[150]。広村(現・広川町)では、津波で地形が一変して850軒の家屋が流失し犠牲者192人、湯浅(現・湯浅町)では流失・損壊が563軒であり犠牲者41人、広・湯浅は一帯が海へと変じた[150]
大坂

大坂では地震の約2時間後に津波が到達し、安治川木津川の河口から市街地へ侵入した。河口に碇泊されていた船が上流へ押し流されながら橋に衝突し橋の破壊は道頓堀川で顕著であり、家財道具を積み船で避難しようとした人々や橋に居た人々が投出され溺死した[151]。この津波による溺死者は7000人余(『波速之震事』)、あるいは合計の犠牲者12000人(『寳永度大坂大地震之記』)、地震潰家凡630軒余、竈数凡10620軒余、死人15620人(『月堂見聞集』)とする記録がある。ただし、『摂陽奇観』では大坂三郷の天満組において潰家993軒、死人540人と記録されており、大坂三郷全体ではその5倍程度とするのが妥当とする説もある[152]。また、被害報告数は調査時点で大きく変わり、幕府の被害報告書の写しと推定される尾張藩士の堀貞儀が記録した『朝林』には圧死者5,351人、溺死者16,371人とあり、少なくとも大坂における犠牲者は21,000人を下らないとされる[83]
土佐熊野神社震災碑 中土佐町久礼

土佐国の浦戸湾に面した種崎村[注 6] では波高7-8(23m)に達し[153] 草木一本も残らず約700人が溺死した。今村明恒[130][153]も指摘するように種崎は太平洋に面した砂州で波高の増大には不利な地形であり、この『万変記』による波高は必ずしも種崎を指すのではなく、筆者沢田弘列が耳にした中で波高が土佐最大の津波であったとの見方もある[154]。当時種アに住居していた土佐藩士柏井貞明が少年時代の記憶を元に記した『柏井氏難行録』[155]には、家族連れで避難中にけた黒い津波に飲まれ母と妹を失いながらも命からがら逃げ延びた様子が生々しく描かれている[156]


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