宝塚音楽学校の入学試験は創立以来内容をほぼ変更せず続けられていた[23] が、少子化に伴う受験者数の減少[24] と、「スクール[※ 1] で稽古を積まなければ合格できない」というイメージから、受験生がスクールのある都市部に偏り、地方出身者や未経験者が受験し辛い状況になっていたことを受け[25]、2009年度入学試験より試験内容を大幅に変更。
一次試験を面接のみとし、「新曲視唱」や「コールユーブンゲン」(合唱練習)を廃止するなど、実技試験を軽減(その後新曲歌唱は難易度を下げたものが追加された)[26]。受験時の完成度ではなく、素質と将来性を重視した試験へ転換した[24]。 以下のような不文律が2020年まであった。違反すると反省文提出の制裁が加えられた。しかも内容を受け容れてもらえないと突き返されたという[27]。 公私すべてにおいて、本科生が予科生を指導し、その面倒をみるシステムになっている。 本科生になると、上述の規制は解かれた。 しかし、実際には本科生による行き過ぎた指導は続いており、体を壊した予科生も発生し、問題となったため、「時代に合わせて改善を進めている」として、このような不文律を廃止することが2020年9月に報じられた[30]。
服装・校風
服装
「TMS」(タカラヅカミュージックスクールの略)のネーム入り校章が胸元に入ったグレーの制服に、赤いリボンタイ。デザインは衣装部の静間潮太郎により、1956年(昭和31年)に制定された。
新入(予科)生は、男役:リーゼント、娘役:毛先まで堅く編み込まれた三つ編みのおさげ髪。
白の三つ折りソックスを着用すること。
靴は、予科生は黒のローファーで、本科生は黒のパンプスである。
腕時計は黒皮ベルトのもの。
予科生の心得
登下校の際はもちろん、校内でも嬌声や笑い声をたてないよう、姿勢を正してまっすぐ前を見つめて、早足で歩く。2列縦隊(最大6人)で行進しながら、道行く上級生一人一人に挨拶をする。
私服は、黒・白・グレーで、赤い物を着てはいけない。ブランド品を持ってはいけない。プライベートでの化粧は厳禁。
阪急電鉄の宝塚線と今津線にそれぞれ乗車する際は、最後尾の車両に乗らなければならない[28]。両親と同伴のときも守る必要がある。講師・本科生が、予科生を指導しやすいようにするためというのが、その理由と思われる。また、阪急電鉄関係者[※ 2] であることから、外部の乗客に対する礼として為す、という意味もあるようである。加えて、車内で着座することも厳禁とされており[※ 3]、下車駅では走り去る阪急電車を最敬礼で送ることも規則で決められている(電車に本科生が乗っている可能性があるため)[29]。
電子レンジ、目覚まし時計といった、音の出る物品の所有は禁止。
本科生に気づいたら遠くからでも大声で挨拶しなければならない。
本科生の前では笑顔を見せてはならない。「予科顔」と呼ばれる、眉を寄せ口角を下げた悲しげな表情であること。
本科生への応答は「はい」「いいえ」や依頼・謝罪・謝礼(所謂「お・あ・し・す」[※ 4])の言葉以外であってはならない。
一人の違反者が発覚したら、周囲にいる他の者も自分の違反を自発的に申告しなければならない。「連続謝り」と呼ばれる。