定量的研究
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この原則は、共分散がある程度認められる変数の間には、常に疑似相関が存在する可能性があるという事実に基づく。統計学の方法を用いて、連続変数とカテゴリ変数の任意の組み合わせの間で関連性を調べることができる。
測定

定量的的研究における測定の役割については見解が分かれている。測定は、因果関係や関連性を調べるために、観察結果を数値で表現する手段に過ぎないとしばしば見なさる。しかし、定量的研究において、測定はより重要な役割を果たすことが多いと主張されている[12]。たとえば、クーンは「定量的研究の範囲内で、示された結果が見慣れないものであることを証明することができる」と主張した。なぜなら、定量的なデータの結果に基づく理論を受け入れることは、これが自然現象であることを証明する可能性を持っているからである。次に示すように、彼は「このような異常は、データを取得する過程で見られると興味深い。」と主張した。理論から外れた測定値は単なる数値になりがちであり、その中立性ゆえに改善策の示唆を得る源としては特に不毛なものとなる。しかし数値はどんな定性的な手法にも真似できない権威や技巧をもって理論からの逸脱を記録し、その逸脱はしばしば探究を開始するのに十分である。(Kuhn, 1961, p. 180)

古典物理学では、測定の基礎となる理論や定義は、本質的に決定論的である。これに対し、社会科学の分野では、ラッシュモデル(英語版)や項目応答理論モデルとして知られる確率的な測定モデルが一般的に採用されている。計量心理学(英語版)は、社会的および心理的属性や現象を測定するための理論と技術に関する学問分野である。この分野は、社会科学の分野で行われる多くの定量的研究の中心である。

定量的研究では、直接測定することができない他の数量の代用として、プロキシ (proxy)(英語版)を使用することがある。たとえば、樹木の年輪幅は、成長期の暖かさや降雨量など、周囲の環境条件を示す信頼できる代理指標と考えられる。科学者は過去の気温を直接測定することはできないが、年輪幅やその他の気候指標を使用して、紀元1000年までの北半球における平均気温(英語版)の半定量的な記録を提供することができる。この方法で使用した場合、プロキシ記録(たとえば年輪幅)は元の記録からわずかな変動のみしか復元できない。短期的変動と長期的変動のどちらを明らかにするかを含め、どの程度の変動を把握するかを決定するために(たとえば、機器記録の期間中に)プロキシを較正することがある。年輪幅の場合、場所や生物種の異なりによって、たとえば降雨量や気温に対して敏感あるいは鈍感なこともある。気温の記録を復元する場合、目的の変数とよく相関するプロキシを選択するにはかなりの熟練が要求される[13]
定性的方法との関係詳細は「定性的研究」を参照

自然科学や生物科学の分野では、定量的方法と定性的方法のどちらを使うかは議論の余地がなく、それぞれは適切な場合に用いられる。しかし社会科学の分野、特に社会学、社会人類学、心理学では、どちらか一方または他の方法を用いるかによって論争が行われ、特定の学派が一方の方法を支持し他方を軽蔑するというイデオロギーを形成することさえある。しかし、社会科学の歴史を通じてみれば、両方の方法を組み合わせて使う「いいとこ取り」の取り組みが主流であった。定量的方法によって得られた結論の意味を理解するために、定性的方法が使われることがある。定量的方法を用いることで、定性的な考えに正確さと検証可能な表現を与えることができる。このように定量的データと定性的データを組み合わせて収集する方法は、しばしば混合研究法(英語版)と呼ばれている[14]
事例

地球の大気を構成する全元素のパーセンテージ量から構成される研究

ある医師の待合室で、平均的な患者が診察を受けるまでに2時間待たなければならないと結論付けた調査

グループxは2錠/日のアスピリンを、グループyは2錠/日のプラセボを投与し、各被験者をどちらかのグループに
無作為に割り当てた実験。薬剤の量、成分の割合、待機時間などの数値的な要因によって、状況や結果が定量的になる。

金融の分野では、証券市場に関する定量的研究によって、定量的ヘッジファンドや取引戦略指標(英語版)に見られるように、複雑な取引の価格を決定するモデルの開発や、投資仮説を活用したアルゴリズムの開発が行われている[15]

関連項目.mw-parser-output .sidebar{width:auto;float:right;clear:right;margin:0.5em 0 1em 1em;background:#f8f9fa;border:1px solid #aaa;padding:0.2em;text-align:center;line-height:1.4em;font-size:88%;border-collapse:collapse;display:table}body.skin-minerva .mw-parser-output .sidebar{display:table!important;float:right!important;margin:0.5em 0 1em 1em!important}.mw-parser-output .sidebar-subgroup{width:100%;margin:0;border-spacing:0}.mw-parser-output .sidebar-left{float:left;clear:left;margin:0.5em 1em 1em 0}.mw-parser-output .sidebar-none{float:none;clear:both;margin:0.5em 1em 1em 0}.mw-parser-output .sidebar-outer-title{padding:0 0.4em 0.2em;font-size:125%;line-height:1.2em;font-weight:bold}.mw-parser-output .sidebar-top-image{padding:0.4em}.mw-parser-output .sidebar-top-caption,.mw-parser-output .sidebar-pretitle-with-top-image,.mw-parser-output .sidebar-caption{padding:0.2em 0.4em 0;line-height:1.2em}.mw-parser-output .sidebar-pretitle{padding:0.4em 0.4em 0;line-height:1.2em}.mw-parser-output .sidebar-title,.mw-parser-output .sidebar-title-with-pretitle{padding:0.2em 0.8em;font-size:145%;line-height:1.2em}.mw-parser-output .sidebar-title-with-pretitle{padding:0 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-image{padding:0.2em 0.4em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-heading{padding:0.1em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-content{padding:0 0.5em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-content-with-subgroup{padding:0.1em 0.4em 0.2em}.mw-parser-output .sidebar-above,.mw-parser-output .sidebar-below{padding:0.3em 0.8em;font-weight:bold}.mw-parser-output .sidebar-collapse .sidebar-above,.mw-parser-output .sidebar-collapse .sidebar-below{border-top:1px solid #aaa;border-bottom:1px solid #aaa}.mw-parser-output .sidebar-navbar{text-align:right;font-size:75%;padding:0 0.4em 0.4em}.mw-parser-output .sidebar-list-title{padding:0 0.4em;text-align:left;font-weight:bold;line-height:1.6em;font-size:105%}.mw-parser-output .sidebar-list-title-c{padding:0 0.4em;text-align:center;margin:0 3.3em}@media(max-width:720px){body.mediawiki .mw-parser-output .sidebar{width:100%!important;clear:both;float:none!important;margin-left:0!important;margin-right:0!important}}

定量的研究に関する
図書館収蔵著作物


主な図書館収蔵著作物


他の図書館収蔵著作物



反実証主義(英語版) - 社会的領域の研究では、自然科学で利用される調査方法とは別の認識論を要すと主張する理論的立場

ケーススタディ研究 - 現実世界の文脈の中で、特定のケース(事例)または複数のケースを深く詳細に検討すること

計量経済学 - 経済関係に経験的な内容を与えるために、経済データに統計的手法を適用すること

反証可能性 - 科学的理論や仮説の評価基準(1934、カール・ポパー

マーケティングリサーチ - 研究対象となる市場や顧客に関する情報を収集する組織的な取り組み

実証主義 - 真の知識は、定義によって真であるか、または感覚的経験から理性と論理によって導き出された事後的事実とする、経験主義的な哲学理論

定性的研究 - 研究者が得た(通常)非数値的なデータに依拠する質的な側面に注目した研究

定量的マーケティング調査 - マーケティング・リサーチの分野に定量的な調査方法を適用すること

定量的心理学(英語版) - 心理学的プロセスの数学的モデリング、研究デザインと方法論、統計的分析に焦点を当てた研究分野

定量化 (科学)(英語版) - 数学や実証科学において、人間の感覚的な観察や経験を数量に対応付け・数え・測るという科学的方法


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