定員
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2000年代に入るまで、こうした車両別の混雑データを事業者が定期的に公表することはなかった。しかし2000年代後半から小田急電鉄東急電鉄など、混雑が激しい路線を有する一部の鉄道会社では、紙媒体で車両別の混雑具合を公表するケースも現れた。

スマートフォンが普及した2014年には、東日本旅客鉄道が「JR東日本アプリ」をリリースして山手線の車両別混雑状況がリアルタイムで確認できるようになった。
混雑率表記の一例

次に一般書(2011年)に記載された通勤路線の混雑率一覧の例を示す[4]

 混雑率180パーセント以上の区間区間混雑率
総武本線 錦糸町⇒両国203%
山手線 上野⇒御徒町202%
埼京線 板橋⇒池袋200%
京浜東北線 上野⇒御徒町198%
東京メトロ東西線 木場⇒門前仲町197%
中央本線 中野⇒新宿194%
南武線 武蔵中原⇒武蔵小杉194%
高崎線 宮原⇒大宮192%
東海道本線 川崎⇒品川190%
武蔵野線 東浦和⇒南浦和189%
武蔵野線 船橋法典⇒西船橋188%
東急田園都市線 池尻大橋⇒渋谷187%
京浜東北線 大井町⇒品川187%
小田急小田原線 世田谷代田⇒下北沢187%
京葉線 葛西臨海公園⇒新木場185%
湘南モノレール 富士見町⇒大船183%
横浜線 小机⇒新横浜181%
横須賀線 新川崎⇒品川181%
総武線 新小岩⇒錦糸町180%

 

この例のように、一般書籍の中にはもっぱら混雑率の値のみを抽出して記載する例がみられるが、これは実際に集められたデータのうち一部をトリミングしたものに過ぎない(路線を首都圏の一部路線に絞っているほか、調査年次の記載がない)。日本の国土交通省(旧・運輸省)は運輸政策のための基礎的な公開資料として、各鉄道事業者から主要区間の混雑率データを収集し、外郭団体の運輸政策研究機構(旧・運輸経済研究センター)より毎年刊行される『都市交通年報』に掲載している(同省は監修名目で執筆に参加)。『都市交通年報』に掲載される混雑率は線区の事情を考慮し、「主要区間」「測定時間帯」が路線別に決まっており、経年変化を観察するための基礎資料として利用することができる。各鉄道事業者は、混雑率のデータを提出するため、毎年波動的な需要に影響されにくい平日を選んで、上述のように主として目視測定によってデータを収集している。なお、『都市交通年報』に収載されたデータは刊行年の2年前の値である。このような混雑率データは各社のウェブサイト、会社要覧でも概況を示す指標の一つとして掲載されることが多い。[5][6][7]
国土交通省による調査

国土交通省は、都市圏における都市鉄道の混雑率を毎年調査している[8]

三大都市圏主要区間の平均混雑率は、東京圏163%(2018年度163%)、大阪圏126%(126%)、名古屋圏132%(132%)となっている(2019年度)。

2019年度現在、最混雑時間帯1時間の平均混雑率が180%を超えている路線は以下のとおりである。

順位路線区間混雑率(年度)備考
2019年2018年2017年2016年2015年
1東京メトロ東西線木場→門前仲町199 %199 %199 %199 %199 %日本の鉄道路線で最混雑路線
2横須賀線武蔵小杉→西大井195 %197 %196 %191 %193 %湘南新宿ラインを含む
3総武緩行線錦糸町→両国194 %196 %197 %198 %199 %
4東海道線川崎→品川193 %191 %187 %184 %182 %上野東京ラインを含む
5日暮里・舎人ライナー赤土小学校前→西日暮里189 %189 %187 %188 %183 %新交通システムで最混雑路線
6京浜東北線大井町→品川185 %185 %186 %182 %182 %
7埼京線板橋→池袋185 %183 %185 %180 %183 %
8中央線(快速)中野→新宿184 %182 %184 %187 %188 %
9東急田園都市線池尻大橋→渋谷183 %182 %185 %184 %184 %
10南武線武蔵中原→武蔵小杉182 %184 %189 %188 %190 %
11総武快速線新小岩→錦糸町181 %181 %181 %181 %180 %

定員制ライナー券販売機の例。
券売機の上に、各乗車口の残席数が表示されている。
東京駅9・10番ホーム

定員制(ていいんせい)とは、立ち席が認められていない都市間連絡の高速バスや、ラッシュ時の鉄道において、混雑回避・着席確保のために運行されるホームライナー等で用いられる方式の一つ。

鉄道のホームライナーでは、座席定員分の乗車整理券・ライナー券を運行会社が発行し、乗客はその対価を支払うことで乗車・着席できるシステムとなる。高速バスの場合、乗車する便を指定した乗車券を事前に購入する路線と、便を指定せずに自由に乗車できる路線がある。いずれも空席がなくなると、途中停留所からの利用はできなくなる。

座席指定席券と異なるのは座席の指定ではなく、あくまでも着席確保・乗車優先であるため、窓側・通路側など座席の指定がなされない。ただし、発行時間毎・出発地毎などにより、発券順に列(区画)だけが指定される場合がある。
航空機の定員.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。

航空路線でも、運行会社や便によっては定員制をとっている場合があり、給油やトランジットのための寄港地で、長く席を離れる際、使用中であることをアピールしておかないと他の客に席をとられる場合がある。

航空法では機体の定員による制限があり、日本国内では定員が20人以上の旅客機には客室乗務員が必要となる。
船舶の定員

は、定員超過や積載量超過をすることにより復原性を失い転覆(英語版)しやすくなる。日本では、1933年昭和8年)に船舶安全法が成立して定員などが規定されるようになったが、終戦後の混乱や意識の低さにより、大幅な定員超過を原因とする転覆事故が多発した。詳細は海難事故の一覧の項を参照のこと。
日本で発生した定員超過を原因とする主な事故

音戸瀬戸連絡船転覆(1932年) - 広島県音戸町呉市を結ぶ連絡船が転覆。死者・行方不明者29人。定員23人の船に6倍近くの137人を乗せていたもの[9]

第十東予丸沈没事故1945年) - 愛媛県伯方島沖合で連絡船が転覆。死者・行方不明者397人。定員210人の船に3倍以上の乗客を乗せていた。

河口湖ボート転覆(1949年) - 河口湖で遊覧ボートが湖で転覆。死者16人。定員20人の船に44人を乗せていたもの[10]

内郷丸遭難事件1954年) - 相模湖で遊覧船が転覆。死者22人。定員19人の船に約4倍の78人を乗せていたもの[11]

脚注[脚注の使い方]^ a b 井上孝司『車両研究で広がる鉄の世界』秀和システム、2010年、55頁
^ a b 井上孝司『車両研究で広がる鉄の世界』秀和システム、2010年、273頁
^ “混雑度の目安”. 国土交通省鉄道局. 2019年11月17日閲覧。
^ 『鉄道日本一!事典』2011年4月
(乗車率)180パーセントを超える区間から抽出
^ 主要路線の混雑率(平成19年度) - 国土交通省
^ 混雑率180%を超える路線(平成23年度) - 国土交通省
^国内各路線の混雑率(平成26年度) - 国土交通省
^ “都市鉄道の混雑率調査結果を公表(平成30年度実績)”. 国土交通省. 2019年11月17日閲覧。
^ 『呉市史 第5巻』pp.245 昭和63年3月31日 呉市史編纂委員会編
^ 「乗り物のの定員超過 実情と対策をきく」『日本経済新聞』昭和29年10月10日11面
^ 「定員の四倍が乗船」『日本経済新聞』昭和29年10月9日11面

関連項目

群集事故

参考文献

『大都市交通網の整備にかかわる調査研究報告書』運輸経済研究センター 1984年

『都市交通年報
』運輸政策研究機構

「第11章 駅の旅客流動」『鉄道システムへのいざない』共立出版 2001年4月


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