現在の日本の法令では「官舎」の語は使用されておらず、国家公務員向けの「官舎」については国家公務員宿舎法(昭和24年5月30日法律第117号)第2条で「宿舎」と定義されている。 財務省所管の公務員宿舎で、財務大臣が設置要求をして設置する。原則として都市部(合同化地区)に設置されることが多く、地元の各財務局または財務事務所が管理・運営を行っている。 集中化・高層化が進んでおり、現在は1棟100戸を超えるマンションタイプの宿舎が設置されることも珍しくはない。比較的規模が大きいため、外部委託で管理人が常駐(ただし、勤務時間は公務員と同じ)しているところが多い。 都心部の格安宿舎としてマスコミが紹介するのは、この合同宿舎である(財務省は都心部には合同宿舎以外の宿舎の設置を認めていない)。 各省庁所管の公務員宿舎で、各省庁の長が財務大臣に対して設置要求をするよう要求して設置する。東京23区外の郊外及び地方合同庁舎がある地方都市(官署集中地区)に設置されることが多く、各省庁の地方部局が管理・運営を行っている。 各省庁で特定の地域の必要な個数を設置することになるため、合同宿舎のように大規模な設置は、まずない。現在は一戸建ての公務員宿舎は一部の例外を除いて新規設置が認められないため、宿舎を必要とする複数の省庁間で小?中規模なマンションタイプが設置されている。 気象庁では、地震津波監視課が、たとえ深夜であっても大地震(マグニチュード7以上で何らかの被害が出ている)発生の場合は分析結果を発表する会見をしなければならないため、本庁に徒歩で30分以内に出勤出来る範囲に専用の課長官舎を持つ。 自衛官は自衛隊法第55条により指定場所に居住する義務があり、基本的に駐屯地や基地内の営舎で生活する。既婚者など一定の条件を満たせば自衛官向けの官舎で生活することもできる。 官舎に空きが無い等のため民間のアパートなどを借りる場合は家賃補助(国家公務員の住居手当と同様で上限は27,000円)が受けられる。 47都道府県知事の住まいの内訳は、知事公舎が23道県で西日本に多く、自宅が東京、大阪など15都府県、県幹部職員の公舎を利用が5府県、民間マンションの一室を借り上げが4県だった[4]。 都道府県議会では新潟県で2021年度中に議長公舎が廃止されることになり、宮崎県が議長公舎を保有する唯一の都道府県となった[5]。 霞が関で勤務する職員には、首都直下地震などの緊急時に初動対応として3時間以内に職場に集合する「緊急参集要員」が指定されており、仮に公共交通機関や道路などが壊滅的被害を受けた場合でも徒歩で集合できるように都心に官舎が確保されていた[6]。しかし、2006年ごろからマスコミが「都心の官舎に安い家賃で住む公務員」としてネガティブキャンペーンを展開したことから、政府は都心の官舎の売却を進め、その結果2021年には都心部で4千戸ほどが不足し、初動対応に支障を来している[7]。残った建物も老朽化により大地震で倒壊する恐れもあるが、都心に再び官舎を建設するにはコストや批判があるため難しいとされる[7]。 また売却益は国家予算と比較して少額のため国家財政には寄与せず、都心の一等地を得られる不動産業者しか利益がないという意見もある[8]。 時事通信は、マスコミによる的外れな報道によって上記のような悪影響を及ぼしていることについてネット上で叩かれていることを認識しつつ、「当時のマスコミの報道」として反省などは述べていない[6]。 旧国鉄は、駅業務の場合において宿泊勤務を伴うので、駅の傍に置かれていた。現在では、窓口業務を早朝・深夜は行わない日勤で営業する駅が増えたり、信号操作は本社または支社指令からの遠隔操作により、各駅において信号操作の要員を置く必要がなくなったため、社宅を駅傍に置くことは見られなくなっている。機関区を持つ(=運転士が駐在する)駅になると、職員の数は必然的に多くなり、官舎に住む家族も含めると小さな団地を形成することもあった。そのような官舎には物資部による商店も存在した。炭鉱住宅や工業地帯にある社宅の「購買所」「供給所」の様なものである。国鉄の名残で、JR各社が従業員に提供する住宅も宿舎と呼ばれている。
合同宿舎
省庁別宿舎
気象庁
自衛隊
都道府県知事「知事公館」も参照
都道府県議会議長
マスコミの批判と影響
公企業の宿舎
脚注^ デジタル大辞泉 かん‐しゃ〔クワン‐〕【官舎】
^ 精選版 日本国語大辞典「公舎」ほか
^ 「国家公務員宿舎の削減計画」等の実施状況等について
^ “(ニュースQ3)知事住まぬ公舎、空き家では済まされぬ?”
^ 県議会議長公舎、本県のみ保有へ 管理費年200万円
^ a b 「首都直下地震への備え、大丈夫? 関連調査から日本の防災を考える【けいざい百景】
^ a b 「国家公務員宿舎 不足と老朽化 財務省が対応苦慮