官僚
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その一方で日本の官僚、公務員の一人当たり賃金・人件費は、OECD加盟国調査対象の15ヶ国中で最高額となっている[2][3][4]
日本

律令制だった前近代の日本の官制において、役人である官人官位相当制により序列化されていた。

江戸時代には右筆が事務官僚の役割を担っていた。

王政復古により明治政府が成立した1868年1月3日以降は、以前からの官位相当制と先進国である西洋列強のシステムを取り入れた独自の制度に移行した(近代日本の官制)。

現代の日本における「官僚」とは、広義では、国家公務員試験に合格して中央官庁に採用された国家公務員全般を指すとされている。ただし、官僚という用語は法律で規定されている訳ではなく、公的なものを含めて明確な定義は存在しない。

狭義では、国の行政機関に所属する国家公務員の中でも、特に中央官庁の課室長級以上(これらの職級は任用上も特殊な扱いとなる[5])の管理職員を指す場合もある。

また「高級官僚」は、国の行政機関に所属する国家公務員の中でも、特に中央官庁指定職以上の地位にある者を指すことが一般的である。

日常会話において「官僚」ないし「高級官僚」と言う場合、霞ヶ関の中央官庁で政策に携わる国家公務員、中でも国家公務員T種試験や総合職試験等に合格して任官したキャリア公務員を漠然と指すことが多い。

大臣副大臣大臣政務官は上級の公務員であるという点は同じではあるが、選挙で選出された政治家国会議員)であるため官僚とは区別されていることが一般的である。

地方公務員は通常、官僚とは呼ばれないが、大規模自治体の幹部職員に対して「都庁官僚」のように比喩的に使われることがある[注釈 1][6]。日本の官僚については官吏キャリア (国家公務員)の項目も参照詳細は「Category:日本の官僚」を参照
官僚の任務

日本における官僚の任務は、主に下記として分類される(政府機関によって異なる)。
予算

近年の日本においては、予算は、まず内閣府経済財政諮問会議において基本方針が立てられ、各省庁の予算の細部については、財務省主計局が審査を行い、内閣が予算を作成し、国会議決を経なければならない。

各官庁では、大臣官房会計課長(予算課長、主計課長)が集計、管理する。また、各局長が主計局と折衝し、国会議員への根回しを行う。経済財政諮問会議や財務省主計局は、予算を通じて国政全般を仕切るところであるとも言える。
法案「タコ部屋 (日本の官僚)」も参照

法律の制定は国会国会議員)の仕事であるが、実質的に議員立法は全体の1割であり、官僚主導で内閣が議案を提出し国会で制定されることが多い。

これは、各官庁の大臣官房の文書課長、各局総務課長や審議官を中心として案をまとめ、国会議員への根回しを行う。その拠点となる法案準備室を霞が関では「タコ部屋」と呼ぶ。
人事

採用されたキャリア公務員の人事は、各省庁の大臣官房の秘書課長官房長事務次官が決定するとされている。なお、審議官以上の幹部職員の人事権は内閣人事局に裁量がある。
指揮・監督・許認可

指揮、監督、指導、許認可の権限と実施は影響力や予算規模の大小に応じて担当部署が類別されており、小規模の案件は地方局や地方公共団体(都道府県)で行うが、大きな案件は中央官庁が管轄し、各局の担当官にて執行される。
政策

官僚は政策の企画と施策を行うことが多い。この実現方法としては、法令の制定、予算確保による補助金や施設の発注、行政指導や許認可による民間企業へのコントロールという形を取る。内容的に上記の「予算」「法案」「監督・指導・許認可」に含まれるとも言える。この政策をまとめる局は、各省庁の筆頭局となることが多く、他局間の調整を行う。
任用制度

日本では資格任用制によるキャリア制度となっている。ノンキャリアであっても中央省庁審議官級の官僚になることはあるので、キャリア制度のみが官僚人事を構成しているわけではない。

律令制

科挙

進士 (日本)

日本の官僚の問題
法案作成に関する問題

立法国会の専権事項であるが、国会議員が自ら法案を起案することはほとんどない。法案のほとんどを占める内閣提出法案を官僚が作成するのはもちろん、議員立法も多くは官僚のサポートに依拠しており、成立法案でみると、閣法(内閣提出法案)が全体の85%程度を占める。

日本の政治家は選挙対策や、陳情、根回しなど、他の業務も数多く抱えている為、政策立案に時間を割くのは現実的に困難である。官僚は法律を起案すると所属省庁の大臣を通して国会に法案として提出する。大臣のほとんどは国会で多数を占める与党議員であるため、法案は形式上野党との審議が行われるものの、最終的には与党の賛成多数で国会を通過することがほとんどである。つまり日本の法律は現状として官僚の意のままに作られていると考えてよい。このようにして三権のうち行政権が極めて強くなる傾向を行政国家現象という。

これらの事務作業により官僚の労働時間が長くなっている[7]

なお、以上のような見方には有力な反論がある。特に自民党政権では、党の政務調査会の下にある各部会において、族議員が法案の修正を行うなどして内閣提出法案に影響力を及ぼしてきたとされる。部会での修正を経た法案は閣議にかけられた後、国会に提出される。与党議員にとっては修正の必要のない法案であり、野党もそれを認識しているので、牛歩戦術に代表される日程の遅延による廃案を狙った戦術が取られる。結果として国会の審議は空洞化し、井戸端会議と化しているのが実情である。
人事システムの問題

日本の官僚には政権政党によって官僚の人事が左右される猟官的要素が非常に少ないため、官僚組織は固定化される傾向が強く学閥の弊害が指摘されている。特に、採用時や昇進時に東京大学など特定大学出身者が優遇されているという指摘がなされる。採用時点では、国家公務員採用総合職試験の合格率及び合格者は旧帝大や国公立大の出身者が多いことは事実であり、採用者も多くなっている。

採用後は昇進については年功序列が徹底しており、40歳まで差がつかないがその後の出世レースから脱落すると定年前にいわゆる「肩たたき」が行われるが、2?3年周期で本人の意思とは無関係な異動により専門性が身につかないため、事務次官を目指す以外のキャリアは形成しにくいという指摘がある[7]
不透明な民間企業への関与の問題

民間企業に行政指導といった形で(実質上の)命令を行ったり、天下りといった形で人事に介入することが、民間企業を不当に支配するものだとして問題になることが多い。行政手続法などにより行政プロセスの透明化は進んでいるが、官僚に大きな裁量権が委ねられている部分は多く、特定の民間企業から政治献金を受け取った政治家が、官僚の裁量権に影響を与えようと圧力をかけるなど腐敗の温床になりやすい。
倫理観(日本、人事院調査)

2004年9月15日、人事院は「国家公務員に関するモニター調査」の結果を発表した。官僚について「倫理観が高い」と答えた人は1.85%、「全体として倫理観が高いが、一部に低い人もいる」と答えた人は43.1%、「全体として倫理観が低いが、一部に高い人もいる」と答えた人は21.8%、「倫理観が低い」と答えた人は10.5%、「どちらとも言えない」と答えた人は22.2%、「分からない」と答えた人は0.6%という結果となった。調査は2004年の5月から6月に公募したモニター500人を対象に実施され、487人から回答を得た。

ジャーナリストの田原総一朗は、自身のレギュラー番組サンデープロジェクトの中で、「世の中の悪しきことのほとんどは官僚が原因」という旨を発言しているが、官僚が制度上は国民に選ばれた政治家に指揮される存在であることを揶揄した発言ともいえる。


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