宗教法人法では宗教法人に対して名称に特定の文字を含めることを義務付ける規定を設けていない。そのため、正式名称に「宗教法人」の文字が入っていないケースもある。
所轄庁は、新規の設立認証申請、規則の変更認証申請いずれにおいても、可否の決定を申請の受理から3か月以内に行わなければならない(法第14条4項)。 宗教法人には、単位宗教法人(たんいしゅうきょうほうじん)と包括宗教法人(ほうかつしゅうきょうほうじん)がある。 さらに単位宗教法人は、被包括宗教法人(ひほうかつしゅうきょうほうじん)と単立宗教法人(たんりつしゅうきょうほうじん)に分類される。 単位宗教法人とは神社、寺院、教会のような境内建物(法第3条)を有する宗教法人であり、法第2条第1号に該当する団体である。包括宗教法人は単位宗教法人あるいは非法人の単位宗教団体を包括する宗教法人であり、法第2条第2号に該当する。例えば、仏教では宗派(宗団)が包括宗教法人に、末寺が被包括宗教法人にあたる。 また、単位宗教法人のうち、包括宗教法人もしくは非法人の包括宗教団体の傘下にあるものを被包括宗教法人といい、そうではないものを単立宗教法人という。被包括宗教法人が規則の変更手続きによって、包括宗教法人から独立して(被包括関係を解消して)単立宗教法人となることもでき(法第26条第1項)、その場合、包括宗教法人はその独立を妨害してはならない(法第78条)。 宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所を所管する都道府県知事とされるが、以下については文部科学大臣の所轄となる(法第5条)。但し、文部科学省は国としての宗教法人政策実務を担当する部署を直下に持たず、文化庁宗務課がそれを担う(文部科学省設置法第19条)。 宗教法人は、公益事業を行うことができ(法第6条第1項)、ほとんどの場合、寺社や教会といった宗教施設を有する。法人によっては、淀川キリスト教病院(在日本南プレスビテリアンミッション)といった病院や神宮幼稚園(伊勢神宮)のような学校[注釈 1]、鞍馬山鋼索鉄道(鞍馬寺)といった鉄道も運営している場合がある。 また、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業をも行うことができる(法第6条第2項)。もっとも、収益が生じたときは、自己又は関係のある宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。 宗教法人には、「規則」で定めるところにより、3人以上の責任役員をおき、そのうち1人を代表役員とする(法第18条第1項)。代表役員は規則に定めがないときは、責任役員の互選によって定める(法第18条第2項)。代表役員は当該宗教法人を代表して、全事務を総理し(法第18条第3項)、「規則」で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する(法第18条第4項)。しかし、これらの役員の法人の事務に関する権限は、宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限をも含むものではない(法第18条第6項)。 つまり、代表役員は必ずしも宗教団体の主宰者である必要はなく、教団事務の責任者が代表役員を務める宗教団体(浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、天理教など)も多い。『宗教年鑑』の文部科学大臣所轄包括宗教法人一覧には、備考欄に代表役員ではない宗教団体の主宰者の氏名が掲載されている[2]。すなわち「法人の代表権者」と「宗教活動従事者の最上位にある者」は必ずしも同一人物にならない。 代表役員又は責任役員が死亡その他の事由で欠員が生じた場合において、速やかに後任者を選ぶことができないとき、または代表役員又は責任役員が病気その他の事由により3か月以上その職務を行うことができないときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない(法第20条第1項)。代務者は、規則で定めるところにより、代表役員又は責任役員の職務を代行する(法第20条第2項)。 代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については代表権を持たず、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない(法第21条第1項)。責任役員は、当人と特別の利害関係がある事項については議決権を持たず、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなったときは、規則で定めるところにより、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選ばなければならない(法第21条第2項)。 「未成年者は宗教法人の代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員になれない(法第22条第1項第1号)」とされており、現在は18歳以上しか代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員になれない。また「心身の故障によりその職務を行うに当たつて必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者(法第22条第1項第2号)」や「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者(法第22条第1項第3号)」も、欠格事項に該当する。 他種の公益法人と異なり、宗教法人法では「現に反社会的勢力に所属している、または離脱してから一定期間が未だ経過していない」ことを役員就任の欠格事由に定めていない。この状況について、地域内に大規模な暴力団を抱える福岡県や兵庫県その他の合わせて9県が、「脱税やマネーロンダリング目的で休眠状態の宗教法人を乗っ取り、悪用する懸念がある」として宗教法人の役員資格にも暴排条項を織り込むよう内閣府に提言しているが、内閣府は「少なくとも最近10年間で実例が無く、規定を設けても実効性に乏しい」として、具体的な対応を行っていない[3]。
単位宗教法人と包括宗教法人
所轄する官庁
他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人
上記の宗教法人を包括する宗教法人
他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人
事業活動
宗教法人の役員
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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