1993年の発行から、ブームが一段落するまでの長期間にわたって、書店の店頭での立ち読みや購入、公立図書館でも開架図書にて未成年者を含め、誰でも閲覧・貸し借り出来る状態だった[3]。1997年以降、群馬県から始まった有害図書の指定は、ほぼ同時期に強まった投稿写真雑誌等への規制と同様、いわゆる「有害情報」に対する青少年保護育成条例の規制強化を反映したものだった。太田出版は対抗措置として「18歳未満の方の購入はご遠慮願います」と書かれた帯を付け、(特に未成年者に)立ち読みさせない様、ビニールパックをして販売する事となった[4]。
東京都青少年の健全な育成に関する条例では、第8条1項にて「販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し…(中略)著しく自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」と定義されているが、東京都において『完全自殺マニュアル』は不健全図書に指定されていない[4][3]。
有害図書指定が広がるきっかけとなった事件・出来事は特になく、本書が主たる原因とされる自殺事例は未だになく[要出典]、自殺対策基本法に基づき発行された平成19年度(2007年度)の『自殺対策白書』でも、自殺者増加の要因として「金融機関の経営状態の悪化により、中小企業が貸し渋り・貸し剥がしに遭い、自殺者を増加させる一因となった」と、経済問題だったことが記述されている。 ワイドショーなどの大手メディアから批判があったものの、評論家・言論界からの評価は概ね肯定的であり、読者からは本の意図を受け止め、「生きようと思った」とする意見が、多く寄せられた[1]。さらに後の批評には、批判するもの[5]、肯定するもの[6][7]があり、問題作によく見られる「賛否両論」である。 本書において青木ヶ原樹海が自殺に適した場所であるかのように受け取られる記述が有り、実際、樹海での自殺者の遺品に中に本書があったことから、周辺自治体から苦情の声があがりTVマスコミもとりあげた。樹海内は人目につかないという印象があるが、実際には周辺自治体が定期的に樹海内を捜索して自殺者の遺体を収容・供養しており、その経費が自治体の予算を圧迫しているとの苦情があった。
評価
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 警察庁『自殺統計』よれば、日本の自殺者数が3万人を超えたのは、本書のブームが去った後の1998年(平成10年)から、2011年(平成23年)までであり、最も多くの自殺者を出したのは、2003年(平成15年)の3万4,427人である。この2003年は世界保健機関の世界自殺予防デーの導入年である。
^ a b 2023年(令和5年)現在、本書の改訂はまだ一度もない。そもそも2023年現在では絶版となっている。
^ 「その他の手段」の章で解説されている方法は熊(猛獣の檻への飛び込み)、餓死、流砂(砂による窒息死)、自殺装置(タナトロン)の4種。
出典^ a b 『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』(鶴見済編著 太田出版 1994年2月26日発行)
^ 鶴見済『 ⇒完全自殺マニュアル』太田出版、1993年7月7日、15頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784872331264。 NCID BN10157682