この他に太祖から理宗まで15代の『実録』と度宗1代を扱った史料集『度宗時政記』があり、これに他の歴史資料を組み合わせて編纂されたと考えられている。 後世史家の『宋史』への批判は、単に体裁の不備にのみ寄せられたのではなく、イデオロギー的側面もあったことは念頭に置く必要がある。すなわち宋代以降、 朱子学的正統論が喧しくなるが、それは『遼史』・『金史』・『宋史』編纂方針にも向けられた。正統論を唱える者は、『宋史』のみが作られるべきであって、遼や金については外国志のレヴェルで十分という意見であり、三史それぞれ別に作ることに反対を唱えた。だが、前述のように元の宮廷内には遼や金の遺臣もおり、そのような批判が受け入れられることはなかった。また、元に降伏した恭帝を最後の皇帝として、南方に逃れた人々によって擁立された端宗・衛王(帝?)を正式な皇帝と認めず本紀を立てなかったことも、朱子学者たちの激しい反発を呼んだ。 実際に元の支配が終わり、漢民族王朝である明代に入ると、柯維騏
後世の史家による批判
また、『史記』以来儒学者のために立てられていた「儒林伝」とは別に朱子学者のために「道学伝」が立てられたり、北宋末期の新法・旧法の争いでは、王安石を除いた新法党政権の要人の多くが「姦臣伝」に入れられ、また金と講和した南宋の宰相秦檜も「姦臣伝」に加えられているのも、朱子学的イデオロギー者が強く反映された結果と言え、清代以後に彼らの業績を客観的に見る動きが登場すると、『宋史』の記述が旧法党や対金強硬派に偏っているとみなされるようになった。 『宋史』の不備を補うために、後代いくつも補遺・改訂の試みがなされた。さきに挙げた『宋史新編』の他にも、宋人の伝記に焦点を当てた陸心源の『宋史翼 『宋史』では日本は巻四百九十一、列伝第二百五十、外国七において「流求」国の少し後で触れられている。「然が太宗に献上した『王年代紀』から引用して、天御中主から彦瀲尊まで23世と神武天皇から守平天皇(円融天皇)まで64世の系譜が述べられる。周の釐王の甲寅の年に神武天皇が即位したと記すが、『日本書紀』では即位は辛酉の年であり、甲寅は東征開始の年である。どちらも周の恵王の時代に当たる。聖徳太子が年3歳にして10人の言葉を聞き分けられたという逸話も紹介している。当時は歴代に加えられていなかった弘文天皇と淳仁天皇のうち、弘文天皇は記されていないが、淳仁天皇は「天炊天皇」と記し、神功皇后を「神功天皇」と記して歴代に加えているため、円融天皇を第64代とする現在の数え方と一致する。また日本が中国で滅失したものも含め多くの漢籍を蔵していることはこの頃から知られていたようで、「其國多有中國典籍」という記載も見える。記述は南宋の寧宗の嘉泰2年(1202年)の記事までで終わっている。
後世の補遺・改訂
『宋史』における日本
内容
本紀
本紀第一 ? 太祖一
本紀第二 ? 太祖二
本紀第三 ? 太祖三
本紀第四 ? 太宗一
本紀第五 ? 太宗二
本紀第六 ? 真宗一
本紀第七 ? 真宗二
本紀第八 ? 真宗三
本紀第九 ? 仁宗一
本紀第十 ? 仁宗二
本紀第十一 ? 仁宗三
本紀第十二 ? 仁宗四
本紀第十三 ? 英宗
本紀第十四 ? 神宗一
本紀第十五 ? 神宗二
本紀第十六 ? 神宗三
本紀第十七 ? 哲宗一
本紀第十八 ? 哲宗二
本紀第十九 ? 徽宗一
本紀第二十 ? 徽宗二
本紀第二十一 ? 徽宗三
本紀第二十二 ? 徽宗四
本紀第二十三 ? 欽宗
本紀第二十四 ? 高宗一
本紀第二十五 ? 高宗二
本紀第二十六 ? 高宗三
本紀第二十七 ? 高宗四
本紀第二十八 ? 高宗五
本紀第二十九 ? 高宗六
本紀第三十 ? 高宗七
本紀第三十一 ? 高宗八
本紀第三十二 ? 高宗九
本紀第三十三 ? 孝宗一
本紀第三十四 ? 孝宗二
本紀第三十五 ? 孝宗三
本紀第三十六 ? 光宗
本紀第三十七 ? 寧宗一
本紀第三十八 ? 寧宗二
本紀第三十九 ? 寧宗三
本紀第四十 ? 寧宗四
本紀第四十一 ? 理宗一
本紀第四十二 ? 理宗二
本紀第四十三 ? 理宗三
本紀第四十四 ? 理宗四
本紀第四十五 ? 理宗五
本紀第四十六 ? 度宗
本紀第四十七 ? 瀛国公・建国公・永国公
志
志第一 ? 天文一
志第二 ? 天文二
志第三 ? 天文三
志第四 ? 天文四
志第五 ? 天文五
志第六 ? 天文六
志第七 ? 天文七
志第八 ? 天文八
志第九 ? 天文九
志第十 ? 天文十
志第十一 ? 天文十一
志第十二 ? 天文十二
志第十三 ? 天文十三
志第十四 ? 五行一上
志第十五 ? 五行一下
志第十六 ? 五行二上
志第十七 ? 五行二下
志第十八 ? 五行三
志第十九 ? 五行四
志第二十 ? 五行五
志第二十一 ? 律暦一
志第二十二 ? 律暦二
志第二十三 ? 律暦三
志第二十四 ? 律暦四
志第二十五 ? 律暦五
志第二十六 ? 律暦六
志第二十七 ? 律暦七
志第二十八 ? 律暦八
志第二十九 ? 律暦九
志第三十 ? 律暦十
志第三十一 ? 律暦十一
志第三十二 ? 律暦十二
志第三十三 ? 律暦十三
志第三十四 ? 律暦十四
志第三十五 ? 律暦十五
志第三十六 ? 律暦十六
志第三十七 ? 律暦十七
志第三十八 ? 地理一
志第三十九 ? 地理二
志第四十 ? 地理三
志第四十一 ? 地理四
志第四十二 ? 地理五
志第四十三 ? 地理六
志第四十四 ? 河渠一
志第四十五 ? 河渠二
志第四十六 ? 河渠三
志第四十七 ? 河渠四
志第四十八 ? 河渠五
志第四十九 ? 河渠六
志第五十 ? 河渠七
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志第七十八 - 礼二十八
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