守貞は30歳近くなって初めて江戸に移り、その事物習俗が京・大坂と余りに異なるのに驚き、また絵心もあったので写生なども交え稿を重ねていったという。ただし、「京阪」と記していても、著者は京都に暮らしたことはないので、もっぱら大阪のことである、と述べている[1]。
全35巻の構成は以下の通り(下記各巻リンクは『類聚近世風俗志』の名で活字版化されたのもの。原本は外部リンクを参照)。
時勢(巻之一)[1]
以下のような点がこの守貞謾稿を一級の資料として特徴付けており、今日の読者にとっても示唆に富む。 本書は、『類聚近世風俗志』の書名で、1908年に東京の國學院大学出版部から、1934年に京都の更生閣書店から再出版されている。文字は活字に変更され、挿絵は原本を模写したものでやや稚拙になっている(一部割愛も)。
「京大坂では?、江戸では?」と、可能な限りの比較対照を試みていること
記載事項に不明点がある場合、まず判明していることだけを記述し、そこにあらかじめ白紙を綴り入れ、後年になり判明点を「追考」「追書」として補筆していること
自己の誤謬点も追書で明確に訂正を行っていること
他書の記述に依拠した点は「?に曰く」「?に云ふ」という形で引用を行い、守貞の考察による記述と明確に区分していること。時には図も「?所載の図」として模写を行っている
詳細な描図を多数配置し、読者の理解を助けていること
再出版
参考文献
宇佐美英機(校訂)『近世風俗志--守貞謾稿』(全5巻。岩波文庫版)(ISBN 4-00-302671-3 ISBN 4-00-302672-1 ISBN 4-00-302673-X ISBN 4-00-302674-8 ISBN 4-00-302675-6) - 全巻を翻刻の上、ひらがな表記としたもの。底本は国会図書館蔵『守貞漫稿』。
脚注^ a b c 守貞謾稿とその著者
外部リンク
『守貞謾稿( 巻1,3-16,18-30,後集巻1-4)』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
『類聚近世風俗志