翌1988年1月9日正午、宇野は肺癌のため榊原記念病院で死去した[7]。73歳没。2月10日に青山葬儀所で宇野の民芸葬が行われ、滝沢修が葬儀委員長を務めた[7]。
人物・エピソード
完璧主義・気難しいと呼ばれた滝沢修とは対称的な性格とされ、軽妙で気さくだった。
宇野の長男の寺尾聰も同じ俳優で、石原裕次郎の生涯を描いたテレビドラマ『弟』(2004年、テレビ朝日)では寺尾が父・宇野を演じた(石原裕次郎と共演した清酒のCMのシーン)。1968年の『黒部の太陽』や1976年の『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』では親子共演を果たしている。
1968年2月金嬉老事件の際、鈴木道彦や日高六郎、中嶋嶺雄、中野好夫らと共に銀座東急ホテルで「金さんへ」という呼びかけで始まる文書をとりまとめて、後日文化人・弁護士5人がその文書を吹き込んだテープを持って、金嬉老を訪ね会見している[8]。
詳細は「金嬉老事件#備考」を参照
受賞・受章歴
毎日映画コンクール
1948年:助演賞『わが生涯のかがやける日』『破戒』
1959年:男優助演賞『人間の壁』
芸術祭
1952年:奨励賞『泥の中』(ラジオドラマ)
1955年:芸術祭賞『西の国の人気者』
1962年:芸術選奨文部大臣賞『イルクーツク物語』
1963年:第9回テアトロン賞『初恋』『泰山木の木の下で』『消えた人』の演出
1969年:第23回毎日出版文化賞『新劇・愉し哀し』
1973年:第14回毎日芸術賞『三人姉妹』の演出
1977年:第28回NHK放送文化賞
1980年:第15回紀伊国屋演劇賞 個人賞『わが魂は輝く水なり』『古風なコメディ』の演出
1981年:紫綬褒章
1988年:福井県民賞(没後)
出演作品
舞台
どん底(1936年、新協劇団)
火山灰地(1938年、新協劇団) - 泉治郎
破戒(1948年、民衆芸術劇場) - 丑松
たくみと恋(1948年、民衆芸術劇場)
山脈(1949年、民衆芸術劇場)
かもめ(1950年、劇団民藝) - トレープレフ
その妹(1951年、劇団民藝) - 野村広次
炎の人(1951年、劇団民藝) - ペール・タンギー
厳頭の女(1952年、劇団民藝) - 井ノ口英造
冒した者(1952年、劇団民藝) - 須永
五稜郭血書(1952年、劇団民藝) - 平山金十郎
民衆の敵(1953年、劇団民藝) - ペーテル・スットクマン
日本の気象(1953年、劇団民藝) - 中尾敬吾
あっぱれクライトン(1953年、劇団民藝) - 海軍士官
セールスマンの死(1954年、劇団民藝) - ビフ
大和の村(1955年、劇団民藝) - 山下広吉
ヴィルヘルム・テル(1955年、劇団民藝) - ヴィルヘルム・テル
西の国の人気者(1955年、劇団民藝) - クリストファ・マホン
楡の木蔭の欲望(1957年、劇団民藝)
御料車物語(1957年、劇団民藝)
ガラスの中の動物園(1959年、劇団民藝)
どん底(1960年、劇団民藝)
火山灰地(1961年、劇団民藝) - 朗読
オットーと呼ばれる日本人(1962年、劇団民藝)
ゴドーを待ちながら(1965年、劇団民藝) - ウラジミール
瀬戸内海の子供ら(1967年、劇団民藝)
想い出のチェーホフ(1968年、劇団民藝)
夕鶴(1968年) - 与ひょう
炎の人(1969年、劇団民藝) - 声
鋤と星(1969年、劇団民藝)
もう一人のヒト(1970年、劇団民藝)
にんじん(1970年・1978年、劇団民藝)
星の牧場(1971年、劇団民藝)
ハバナの審問(1972年、劇団民藝)
三人姉妹(1972年、劇団民藝)
円空遁走曲(1973年、劇団民藝)
きぬという道連れ(1974年、劇団民藝)
赤ひげ(1974年、劇団民藝)
迷路(1975年、劇団民藝)
聖火 母の総て(1975年、劇団民藝)
リリオム(1976年、劇団民藝)
わが家は楽園(1977年、劇団民藝)
わが魂は輝く水なり(1980年、劇団民藝)
タナトロジー(1982年、劇団民藝)
エレジー 父の夢は舞う(1983年、劇団民藝)
こんな筈では(1985年、劇団民藝)
三年寝太郎(1986年、劇団民藝)
馬鹿一の夢(1987年、劇団民藝)
映画『怒りの街』(1950年)『愛妻物語』(1951年) 左は乙羽信子。『原爆の子』(1952年)右は奈良岡朋子。『第五福竜丸』(1959年) 左から一人置いて稲葉義男、宇野。『松川事件』(1961年)左から浜田寅彦、宇野、宇津井健。
太字はキネマ旬報ベスト・テンにランクインした作品
河向ふの青春(1933年、P.C.L.)
地熱(1938年、東宝映画) - 島田
海軍爆撃隊(1940年、東宝映画) - 羽山一空
多甚古村(1940年、東宝映画) - 杉野巡査
煉瓦女工(1946年、南旺映画) - 音松
わが生涯のかがやける日(1948年、松竹) - 高倉好雄
虹を抱く処女(1948年、新東宝) - 石塚守兵
破戒(1948年、松竹) - 土屋銀之助
わが恋は燃えぬ(1949年、松竹) - 村田隆
春の戯れ(1949年、映画芸術協会) - 正吉
今日われ恋愛す(1949年、CAC) - 牛田周二
白虎(1949年、連合映画) - 真野
新釈四谷怪談(1949年、松竹) - 与茂七
痴人の愛(1949年、大映) - 譲治
破れ太鼓(1949年、松竹) - 野中茂樹
今宵別れて(1949年、松竹) - 西信太郎
魔の黄金(1950年、大映) - 月江の夫
暴力の街(1950年) - 夏目記者
火山脈(1950年、大映) - 樋口良三
怒りの街(1950年、東宝) - 森宗久
婚約指環(1950年、松竹) - 九鬼道雄
午前零時の出獄(1950年、大映)
戦火の果て(1950年、大映)
風にそよぐ葦(1951年、東横映画) - 宇留木
愛妻物語(1951年、大映) - 沼崎敬太
或る夜の出来事(1952年、新映画社) - 茶木
花萩先生と三太(1952年、劇団民藝) - 村長
西陣の姉妹(1952年、大映) - 横山幸吉
西鶴一代女 (1952年、新東宝) - 扇屋弥吉
いとし子と耐えてゆかん(1952年、東映) - 竹野先生
原爆の子 (1952年、近代映画協会) - 孝司
母のない子と子のない母と(1952年、新教映) - 一郎のお父さん
女ひとり大地を行く(1953年、キヌタプロ) - 山田喜作
縮図(1953年、近代映画協会) - 銀蔵
もぐら横丁(1953年、新東宝) - 下宿屋