宇都宮線
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名称について

宇都宮線の名称は、当線沿線自治体の一つである栃木県の県庁所在地・宇都宮市に由来する。経緯は#「宇都宮線」の愛称制定後を参照。かつて宇都宮線で運用されていた211系電車のLED表示器には「東北線」と表示されることがあった(2006年6月撮影)

経緯にもある通り、地元自治体が働きかけて「宇都宮線」の呼び名が決まったため、関東地方(黒磯駅以南の直流区間)では「宇都宮線」の呼称が使用され、「東北線」(あるいは「東北本線」)の呼び名は東北本線のうち黒磯駅以北の区間を指すことが多い。

JR東日本の運行情報案内では、この区間については「宇都宮線」(愛称名)を用いており、黒磯駅以北については「東北本線」(正式路線名)または「東北線」の名を用いている。なお、JR東日本公式サイト掲載の時刻表の路線名表記は、すべての駅で「宇都宮線(東北本線)」となっている。また、2019年3月23日でサービスが終了した[報道 1] 公式スマートフォンアプリ『列車運行情報』でのみ「東北本線(宇都宮線)」表記を用いていた。

名称制定について住民感情に基づく紆余曲折を経ているため、駅構内時刻表やのりば案内、列車内停車駅案内で「宇都宮線(東北線)」と併記されることがある。当初は長距離旅客主体の新幹線の車内放送などでは「東北線」と案内することがあったが、現在は「宇都宮線」での案内が定着している。また、JR東日本公式サイト掲載の広域路線図[5]および上野駅・大宮駅などの構内図や、市販されている雑誌型時刻表の構内図では「東北本線(宇都宮線)」などと表記されている。

なお、宇都宮線の呼称制定前の国鉄時代に登場した211系電車の正面方向幕は、通常は列車種別である「普通」と表示するが、まれに「東北線」と表示させることがあった(写真参照)。一方、JR発足後に登場したE231系E233系電車の行先表示器は「宇都宮線」・「湘南新宿ライン宇都宮線直通」・「上野東京ライン宇都宮線直通」である。211系の場合でも、JR発足後に新規設定された湘南新宿ライン運用時の表示には「宇都宮線直通」で設定されていた。

関東地方では、各鉄道事業者(東海道新幹線を除く)などが車内放送や駅構内案内、在京各テレビ局[注 6]等マスコミの報道で「宇都宮線(あるいはJR宇都宮線)」を日常的かつ恒常的に用いており、「宇都宮線」の呼称が定着している。

また、東京駅 - 大宮駅間において高崎線列車が乗り入れていることから、同区間内においては、運行系統上一体化され「宇都宮・高崎線」と案内されることがある。上野東京ライン開通により、東京駅・新橋駅品川駅では「宇都宮・高崎・常磐線」と案内されることがある。

しかし、あくまでも「宇都宮線」は愛称であるため、出発信号機や場内信号機などの鉄道信号の表記は「東北」もしくは略した「東」が、踏切などの表記は「東北本線」「東北線」が用いられているほか、東海旅客鉄道(JR東海)が運営する東海道新幹線でも「東北線」(もしくは「東北・高崎・常磐線」)と案内している[注 7]西日本旅客鉄道(JR西日本)が運営する「JRおでかけネット」では上野駅や大宮駅の構内図[6]で「東北本線」の表記が見られる。JR東日本公式運行情報などで、大まかな方面別(東京から見て大宮方面)でくくる場合は「東北・高崎方面」と表記されている[7]

また、かつての各種寝台列車や今の豪華クルーズ列車「TRAIN SUITE 四季島」といった黒磯駅を越えて運行される列車では、宇都宮線内においても正式名称の「東北本線」と案内されている。

2023年2月現在、「Google マップ」では「宇都宮線」と「東北本線」が交互に表記され、地理院地図や、ゼンリンデータコムが運営する「いつもNAVI」や、「Yahoo!マップ」では全て「東北本線」と表記されている。その一方で、「Mapion」や「MapFan Web」では「宇都宮線」の単独表記となっている。また、市販されている地図では、国土地理院地形図や、ゼンリン社の道路地図や、日本自動車連盟の「JAFルートマップ」では「東北本線」の単独表記となっているが、昭文社の道路地図(街の達人など)や旧アルプス社の道路地図(アトラスRDXなど)では「東北本線(宇都宮線)」の表記が使用されている。昭文社の「文庫版都市図」など、同社のポケットサイズの地図では「宇都宮線」の単独表記が採用されたものもある。なお、iOS純正マップは「宇都宮線」の表記が大半だが、稀に「東北本線」表記も混在している。
歴史

東北本線の建設についての詳細は「東北本線#歴史」を参照。
概略

1883年(明治16年)7月28日、日本初の「民営鉄道」として日本鉄道第一期線の上野駅 - 熊谷駅(現高崎線)間が開業した。開業時の開設駅は上野駅・王子駅浦和駅(・上尾駅鴻巣駅・熊谷駅)で、現在は中距離列車の停車しない王子駅も含まれていた一方、大宮には駅が設置されなかった。

第二区線の建設は急ピッチで進められ、まず、1885年(明治18年)7月16日に大宮駅 - 宇都宮駅間の営業が開始され、途中には蓮田駅久喜駅栗橋駅古河駅小山駅石橋駅が設置された。当時利根川の架橋が完了しておらず、この区間には渡船が運行され、栗橋駅 - 古河駅間の現在の利根川畔には中田仮停車場が設けられて利根川鉄橋の開通まで運用された。以後、1886年に黒磯駅まで開通した。1897年(明治30年)2月25日には、夏季の鬼怒川の大水に対する橋脚や護岸の補修費および時間がかさむという問題を解消するために宇都宮駅 - 矢板駅間の経路が変更され、現在のルートが開業した。

東京近郊区間には上野駅 - 大宮駅間を中心に三等車のみの近距離区間列車が複数設定され、現在の京浜東北線(東北本線電車線)が赤羽駅以南区間で運行開始されるまで、首都圏近距離区間輸送も担っていた。この京浜東北線開業後の1929年昭和4年)6月、日暮里駅から北東に分岐し貝塚操車場まで伸びていた回送線を赤羽駅まで延伸したうえで貝塚操車場を廃止、同所に尾久駅を設けて列車線とすることで、鶯谷駅・田端駅・王子駅を経由していた中・長距離列車と近距離電車線を相互に独立した形で運行させることが可能となり、同年6月20日より尾久駅経由の運輸が開始された。
高度経済成長期

第二次世界大戦中は戦時体制で運行本数は極限まで減らされたが、戦後はGHQの意図によって東京駅 - 上野駅間に東北本線の中・長距離列車が乗り入れ、青函連絡船函館本線室蘭本線等と一体化した東京 - 北海道間旅客輸送も行われた。さらに高度経済成長に伴う鉄道の高速化事業に乗り、当線も電化複線化が進み、東京から宇都宮駅を経て栃木県の観光地(日光・那須方面)間を結ぶ中距離優等列車が当時最新型の157系「日光型」を使用して運行された。当線の全線電化・複線化が完了した1968年(昭和43年)10月には「ヨンサントオ」と通称される白紙ダイヤ改正が実施され、これ以降東北本線にも485系電車や583系電車、455系電車、165系電車を用いた特急・急行列車が増発された。輸送は東北地方各地 - 関東地方栃木県各地 - 東京を結ぶ広域都市間輸送機能を主体としており、最盛期で毎時2 - 3本の東京 - 東北間長距離特急急行列車、および1日数本の長距離普通列車が往来し、長編成の貨物列車も定期運行されていた。

1963年、115系登場時の東北・高崎線の編成図・編・話・歴・PJRPJRNC
東北・高崎線の115系(1963年 - )

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クハ115モハ115モハ114クハ115クハ115モハ115モハ114クハ115クハ115モハ115モハ114クハ115
TcMM'Tc'TcMM'Tc'TcMM'Tc'
付属編成基本編成



東北新幹線開業に伴う変化

1982年昭和57年)6月23日東北新幹線大宮駅 - 盛岡駅間開業後は、東京と東北を結ぶ長距離昼行列車の運行は東北新幹線に引き継がれ、上越新幹線開業に伴う同年11月15日のダイヤ改正では特急「はつかり」・「ひばり」急行日光」などが当線から姿を消した。線路容量に余裕が生じた当線では、需要が見込まれていた中距離電車(中電)が増発されることとなった。

当時の中電の主力であった115系が全国から集められ、上野駅 - 黒磯駅間の普通快速列車が大幅に増発・長編成化され、結果的に当線の機能は首都圏内輸送に特化されることとなった。


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