炭鉱採掘とともに人口が急増したこともあり、1921年(大正10年)に村制から町制を経ずに市制に移行し厚狭郡から離脱した[9]。山口県内では下関市に次いで2番目の市制施行であり、村から市に直接昇格した例は旧市制下において長野県岡谷市、兵庫県芦屋市、長崎県佐世保市と本市の4例のみである[注釈 1]。
地理
地勢中心部を流れる真締川小野湖
宇部市は山口県の南西部、瀬戸内海側に位置する。市域は県中西部を南北に貫流する厚東川水系の下流域および有帆川水系の上流域にあたり[10]、南は周防灘に突き出した半島状地形の先端部から北は中国山地の丘陵地帯におよぶ[11]。厚東川河口付近の両岸に広がる平野部および海岸沿いの平地に市街地が広がり、人口集中地区を形成する[12]。
南部の平地は大部分が海底炭田により埋め立てられた跡地であり、「鵜の島」「浜町」などの地名はその名残である。市の中部から北部にかけて穏やかな山地が広がっており、近年は工業団地や新興住宅地の建設などにより開発が進められている。
また、市西部の厚南地区は「中野開作」「妻崎開作」などの地名に見られるように、大部分が稲作を目的とした干拓により開墾された地域である。このため、かつて同地区は水田が広がる田園地帯であったが、近年は国道190号沿線やゆめタウン宇部周辺を中心にロードサイド店舗の進出が活発化し、分譲マンションの建設が行われるなど市街化が著しい。
かつては宇部市に属する離島が複数存在したが、いずれも干拓や埋め立て等により陸地へ取り込まれ、最後まで残った鍋島も山口宇部空港の滑走路延伸工事のため埋め立てられ1999年(平成11年)に消滅した[13]。
宇部市は全国的にも最も地震の発生率が低い地域であり[14]、気象庁の震度データベースに記録が残る1919年(大正8年)以降、震度5弱以上の揺れは一度も観測されておらず、震度4を観測した地震も2001年(平成13年)の芸予地震、2005年(平成17年)の福岡県西方沖地震、2014年(平成26年)の伊予灘地震、2016年(平成28年)の熊本地震、の4回のみである[15]。震度3の地震も珍しく、1991年(平成3年)10月28日には地元夕刊紙の宇部時報(後の宇部日報)が、同日午前に発生し宇部市内で震度3が観測された地震について一面トップ記事で扱い、時計の落下による怪我や宇部線の運行停止など被害状況を報道している[16]。
山
荒滝山(459m[17]):市の北部、東吉部に位置する。市内最高峰[17]。
霜降山(250.2m[18]):市街地の北縁地域である善和に位置する。
河川
二級河川
厚東川:市域を北から南へ貫流し宇部港(周防灘)に注ぐ。
真締川:市街地の北部にある霜降山から南へ流れ中心市街地を貫き宇部港(周防灘)に注ぐ。
有帆川:市の北部の楠地区を北から南へ貫流する。
湖沼
常盤池:1698年(元禄11年)に農業用水確保を目的に築造された人工湖[19]。
小野湖 - 市の北部、小野地区にある厚東川ダムのダム湖。厚東川中流部の一部をなす。
未来湖 - 市街地の北縁地域の川上にある真締川ダムのダム湖。真締川上流部の一部をなす。
広袤(こうぼう)節内の全座標を示した地図 - OSM
節内の全座標を出力 - KML
表示
宇部市中心部周辺の空中写真。
2009年9月7日撮影の21枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。
国土地理院の世界測地系によると、宇部市の東西南北それぞれの端は以下の位置で[20]、東西の長さは16.5 km、南北の長さは27.4kmである[11]。