ウカノミタマは、現在は穀物の神としてだけでなく、農業の神、商工業の神としても信仰されている。伏見稲荷大社(京都市)、笠間稲荷神社(茨城県)、祐徳稲荷神社(佐賀県)などの全国の稲荷神社で祀られているほか、ビルやデパートの屋上、工場の敷地内などにも、屋敷神として稲荷神を祀る社が設けられている(例えば、日本橋三越デパート屋上の三囲神社などがある)。稲荷神社以外でウカノミタマを祀る神社としては、以下のような例がある。
ほしいも神社(茨城県ひたちなか市)
堀出神社の境内末社。地域の特産物である干し芋の恵みを感謝すべく、干し芋生産の歴史に寄与した5名の先人と共に祀る。
利神社(静岡県掛川市)
大歳神とともに祀られている。式内小社。
小津神社(滋賀県守山市)
平安時代に制作された、ウカノミタマの神像(重要文化財)を祀る。垂髪(たれがみ)の女神の座像で、片膝を立て、手に宝珠を持つ。木製で像高50cm。ウカノミタマを主祭神とするが、稲荷神社ではない。
小俣神社(三重県伊勢市)
伊勢外宮の境外摂社。神道五部書の『御鎮座本紀』では、トヨウケ大神に随行してきた「ウカノミタマ稲女神」を祀ると記される。地元では、稲女(いなめ)さん・稲嘗(いなべ)さん、とも呼ばれる。
上社(三重県伊勢市)
合祀により、4座の宇迦之御魂神を祀る[14]。
葭原神社(三重県伊勢市)
皇大神宮の別宮月読宮の境内末社。
愛宕神社(福岡県福岡市西区)
江文神社(京都府京都市左京区)
※稲荷神として祀られる場合は、稲荷神・稲荷神社を参照。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ トヨウケビメ、オオゲツヒメ、保食神、ワカウカノメなどが該当し、いずれも食物を司る神として御食津神(みけつかみ)とも呼ばれる。
^ 調御倉(つきのみくら)、御稲御倉(みしねのみくら)、由貴御倉(ゆきのみくら)。調御倉は中世末に廃絶した。
^ 元々は老女を意味していたが、平安後期にはキツネを指して呼ぶようになった。
^ 外宮の調御倉は倉自体は廃絶したが、調御倉神は御酒殿(みさかどの)で合祀されている。
^ 朝廷の神祇官にある八神殿で、御巫(みかんこ)によって祀られた八神のうちの一柱。
^ 伏見稲荷の上社・中社・下社の神の総称。
出典^ 新潮日本古典集成『古事記』
^ a b c d e 三橋健「女人形稲荷神像の系譜」『神道及び神道史』55・56号、国学院大学神道史学会、2000年。
^ 中村陽・監修『稲荷大神』戎光祥出版、平成21年、67頁。
^ a b 稲田智宏「稲荷大神五柱とは何か」『稲荷大神』戎光祥出版、平成21年。
^ 喜田貞吉『福神』宝文館出版、昭和51年、34頁。
^ 次田潤『新版 祝詞新講』戎光祥出版、平成20年、250頁。
^ 『福神』49頁。
^ 『福神』59頁。
^ 松前健・編『稲荷明神』筑摩書房、1988年、7頁。
^ 山折哲雄・編『稲荷信仰事典』戎光祥出版、1999年、34頁。
^ 『官幣大社稲荷神社明細図書』に基づく。
^ 『稲荷大明神利現記』(元禄年間・成立)など。
^ 『稲荷大明神流記』(南北朝初期・成立)など。
^ 宇治山田市役所 編『宇治山田市史 下巻』宇治山田市役所、昭和4年3月5日、1690p.(948ページより)
関連項目
トヨウケビメ
オオゲツヒメ
保食神
稲荷神
サタヒコ
オオミヤノメ