宇宙艦隊
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宇宙条約には宇宙空間の「平和利用の原則」が記載されているが、明確に禁止されているのは「宇宙空間への大量破壊兵器の配備」および「およびその他の天体の軍事利用」であるため、大量破壊兵器ではない兵器を天体以外の宇宙空間へ展開することや、軍事衛星の活用は、条約解釈によっては可能となる[1][2]。部分軌道爆撃システムは宇宙条約に抵触しないよう、地球を周回する前に逆噴射により減速し弾頭を分離する仕組みが採用された。

第二次世界大戦中のドイツではアメリカ爆撃機計画のひとつとして、弾道飛行(衛星軌道ではない)により対蹠地でさえも爆撃できる有翼宇宙機ズィルバーフォーゲル(Silbervogel)が考案されたが、当時の技術水準では実現は困難であり、構想のみで終了した。

アメリカの戦略防衛構想 (SDI) では、ミサイル迎撃用レーザー衛星の打ち上げが予定されていたが、冷戦の終結等により計画は凍結されている。アメリカ空軍ではジェミニ計画のハードウェアを利用し軍事宇宙ステーション(有人軌道展開システム)や敵性人工衛星の偵察(ブルー・ジェミニ)などを計画していたが、費用を理由に中止された。

ソ連では早期警戒レーダー網に探知されにくい部分軌道爆撃システム(FOBS)は実際に配備されていたが、命中精度などの問題が多く短期間で退役している。また宇宙ステーションアルマースは宇宙からの偵察や監視を目的としていたが、『自衛用』としてNR-23機関砲が搭載された。地上からの遠隔操作で衛星を狙撃することに成功し、機関砲の代わりに無誘導ミサイルを搭載した機種も存在したが、実際には制約が多く実験のみで終了した。この他にも炭酸ガスレーザーを備えた軍事衛星ポリウスを打ち上げたが、軌道投入に失敗し運用に至っていない。また1970年代には宇宙飛行士の装備として、反動無しで相手の光学機器や目にダメージを与える非殺傷兵器としてフラッシュライト付きレーザーガン(ロシア語版)が試作されたが、軍縮の流れによってプロジェクトは終了した。なおサバイバルキットには狩猟用の拳銃(TP-82)が含まれていた。

このように、宇宙空間に兵器を直接配置する事は技術的には可能だが、費用や政治の問題があり冷戦終結後に中止されている。

1991年に湾岸戦争が勃発すると、衛星を利用した攻撃目標の詳細位置の判別、GPS衛星を使用したミサイルの誘導、監視衛星による敵ミサイル発射の察知、気象衛星の情報を元にした作戦立案、通信衛星による連絡を通した戦場での部隊連携が行われた[3]。このためコリン・グレイは湾岸戦争を「最初の宇宙戦争」と呼んだ[3]。同戦争では、イラク軍によりGPSジャミング装置6台が試験的に導入され、衛星通信を妨害することでミサイルを外させることを試行しようとしていたが、実際に稼働する前に空爆で破壊されていたためにGPSジャミングは失敗したと見られる[3]。軍事部門における宇宙空間の重要性が知られるようになると、各国とも研究するようになり、中国は衛星破壊実験を、北朝鮮はGPSジャミング実験を行っている[3]。2007年には米空軍がGPS衛星が撃墜された想定で訓練を行っている最中に誤って民間使用分のGPS通信も切り、時刻同期にGPSの信号を用いる携帯電話やATMが停止するなど予想外の被害が広がった[4]。また、空港の管制システムの停止も確認され、GPSジャミング機を使用した実験では船のジャイロコンパスのクラッシュも確認されている。このように、先端技術は様々な形で衛星に依存しており、宇宙空間の安全の確保が軍事的にも経済的にも重要であるために、アメリカでは宇宙優勢システム航空団が設立されている。

2018年にアメリカのドナルド・トランプ大統領は新軍種としてのアメリカ宇宙軍(United States Space Force)の設立構想を明らかにし[5]、2019年12月20日に正式に設置された[6]

近年では他国の人工衛星の直接監視や、自国の人工衛星への補給を行う無人宇宙船も検討されている[7]
各国の宇宙関連部隊
アメリカ合衆国
軍種

宇宙軍(United States Space Force、2019年?)(旧 空軍宇宙軍団(Air Force Space Command、1982年?2019年))

統合軍

アメリカ宇宙コマンド(United States Space Command、1985年?2002年、2019年?)

アメリカ戦略軍(United States Strategic Command、2002年?2019年)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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